私が悪役令嬢の身代わり？！～和菓子職人を夢見る少女の転生記〜(イラスト有り)

一章

6話（すずひ）

 夜中2時、約束の時間。
 私はカトリーナ様の部屋の前で立ち尽くしていた。
 処刑の宣告をされるのかと言う不安と、間違った受け答えをしてしまわないだろうかという緊張感……。
 その両方に押しつぶされそうになり、とても怖くて仕方がない。
 今日だって、時間を指定された瞬間から脳内がその事ばかりで、他のことに手をつけられなかったのだ。
 今日が私の命日になるのだろうか。
 そう考えると、今日だけでも楽しんだ方が良かったかもしれないと少し後悔する……
 
 「はぁ………」

 私は大きなため息をつき、ノックをした。