傍へで果報はまどろんで ―真白の忌み仔とやさしい夜の住人たち―

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夜に暮らす穏やかな

さいどの生よ、どうか次こそ

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「……ヒナタ。ほら、パパだよ?」

私が声をかけてヒナタをそっと手渡すと、ヴァロンは戸惑った様な照れた様な表情で抱いて……。
腕の中のヒナタに、微笑んだ。


「……こんにちは、ヒナタ。
あ、いや……。はじめまして……かな?」

ヴァロンのとても愛に溢れた優しい眼差しに見つめられて、暫くじっと見ていたヒナタも可愛らしく微笑った。
嬉しそうに彼の頬にペチペチ触れて、無邪気な笑顔を浮かべてる。


「っ……やべぇ。
なんでこんな……可愛いんだよッ」

真っ赤に染まった顔を歪ませて、少し俯いたヴァロンの瞳から溢れた涙。
その涙を見たら私も胸が熱くなって、また涙が溢れて止まらなくなった。


「……アカリ。
っ……ありがと、な」

子供みたいに泣きじゃくる私を、ヴァロンは片手でヒナタを抱きながらもう一方の手で抱き寄せて……。とても幸せそうに微笑ってくれた。
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