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プロローグ②
しおりを挟む「キャスカ」と聞いて思いだした。
恋人がプレイしていた乙女ゲームのヒロインの名だと。
このゲームの世界観は、中世の西洋風でありながらファンタジーが混ざったもの。
この世に住むのは獣人で、だれしも必ず一種の動物が組み合わせっている。
それぞれの動物の性質によって人間離れした特殊能力を持っているが、まあ、細かい設定についてはさておき。
ベッドの脇にいるのは兎の獣人、ラビオス、そして俺は狼の獣人、ウルフィー。
二人とも攻略キャラの侯爵令息であり、幼なじみの親友、そしてヒロインに恋するライバルでもある。
ちなみにどちらも恋人の推しキャラではない。
恋人がプレイしていたのを見た限り、ラビオスとウルフィーはライバス心を持ちつつ、登場するときはほぼ二人セットで、和気藹々と親しげにしていた。
今も同じ状況のようで(大勢でとはいえ)俺とキャスカが遊びにいったのを妬んだり怒っていたとして、あまり表情にださず「もう、一生、目を覚まさないかと思った・・・」と涙を拭っている。
直前に、気ちがいじみた恋人に包丁を突きたてられた俺だ。
色恋沙汰でまた不条理な事態に陥るのは勘弁だから、ラビオスが嫉妬に狂うことなく、揺るぎない友情を抱いてくれていることに一安心。
顔は似ていなくても、親交の深かっただれかに似ているようにも思えるし。
おおよその状況把握が済み、現状に危険はなさそうと判断して、肩の力をぬいたら、くしゃみ。
「ずっと高熱だったから汗をかいたんだな!」と立ちあがったラビオスが、一旦ベッドから離れると水がはいった桶とタオルを持ってきた。
「まだ風呂にははいれないだろうから、体を拭いてやろう。
新しい寝間着にも着替えさせてやる」
「ささっとぼくがやろうか?それとも従者を呼ぶか?」と問われて「お願いする」と応じる。
元庶民の俺だから従者に甲斐甲斐しく世話をしてもらうのは、きっと落ちつかない。
兎の耳を生やした初対面の麗人に裸を見られるの、どうかと思うけど、親友設定ならましなほう。
じつは経験がなくはないし。
そのときのことを思いだしながら起きあがり、寝間着のボタンを外して上半身を露に。
搾ったタオルを背中に当てられ「んっ・・・」と漏らすと、一瞬、手が止まったとはいえ、すぐに拭くのが再開され「そういえばさあ、この前、社交場で」とラビオスがおしゃべり。
三日間、意識を失い熱にうなされていたというに起き上がっただけで目がくらくら。
呆けなてラビオスの話を聞くともなく聞きつつ、濡れたタオルで拭かれるのが心地いいようなくすぐったいようなで微かに体を震わす。
背中を拭き終わり前へ。
体臭がきついだろう汗まみれの肌を拭くのが、そんなに愉快なのか、鼻歌を鳴らし、そのリズムにあわせて兎の耳をゆらゆら。
ふと視線が交わり、頬を熱くして顔を逸らすも、気にしていないように鼻歌は聞こえつづけ、タオルが体を滑っていく。
向きあうのが、なんだか恥ずかしく、顔をあげられず口を利けなかったものを、乳首に冷たいタオルがかすめたとき肩を跳ねてしまい。
気づいていないのか、気にとめていないのか、胸のあたりを拭きつづけて、乳首に触れそうに触れずを何回も。
喘ぎそうになるのを堪えるも体温上昇はどうしようもなく、息を切らしてもじもじ。
やっとタオルが胸から遠のき、ほっとする間もなく「あ・・・」とラビオスの手が止まる。
視線を落としたままでいるのに、俺も見やれば、股間の辺りがもっこり。
かっと顔を熱くし「こ、これは!」と慌てて弁明しようとするも「すっきりさせてやろう」とワンピースのような寝間着の裾から、ラビオスの手が侵入。
「まだ全快していないから休まないと。
ぐっすり眠るには、だしてしまったほうがいい」
あくまで負傷した俺の体に配慮しての行為といわんばかりの口調。
それにしても見た目が可憐な兎の獣人に扱いてもらうのは、おおいに抵抗が。
「や、やめ、いいって・・・」と布越しに手をつかもうとするも、病み上がりで力がはいらず、快感がこみあげてはなおのこと。
弱弱しく肩を爪でひっかきつつ、寝間着の中から水音を立てて「は、やあ、ああ・・・♡」と腰をくねらせてしまう。
とても顔を合わせられず、ひたすら俯いていたら、手を止めずにラビオスが接近した気配。
視界にはいったのは、きつそうなズボンの膨らみ。
「ね、ぼくのも触って・・・」
「彼女に殺された直後にこんな」とためらいがありつつ、震える手で触り「はう、んん・・・ああう♡」とより興奮してお漏らしを溢れさせる。
喘いで悶えて扱くのがままならず、じれったくなってか、俺の股間に固いのを押し当てずっちゅずっちゅ。
スカートの中で先っぽを指でぐりぐりしながら、布越しに擦られるのは大変、大変よろしくて。
おまけに胸を揉まれるし「いつも立っている耳と尻尾をそんなしおしおしちゃって、かわいい」と獣人である自分のあられもない痴態ぶりを想像させられるし。
狼男のコスプレをしたような俺が、兎耳の貴族のコスプレをした男に辱められるなんて・・・。
「や、やあ、やだあ・・・こんなあ、恥ずかしひい♡あ、ああ♡ああ♡見な、でえ・・・♡こんなあ、俺え、見ちゃあ♡やらああ♡」
やだやだと言葉だけで、自ら腰を押しつけ、みっともなく揺らして水音を垂れ流し。
「はあ、は、そんなこといわないで見せて♡狼のきみのイくところ♡」とさらに煽られ、乳首を指で弾かれ、先っぽに爪先を突きたてられてはもう耐えられず。
「んあああ♡」と大量に噴射し「お、狼の、イくとこお、最高お・・・♡」とラビオスもえんりょなくぶっ放したようで、寝間着の中がえらいことに。
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