月夜の小鳥は哀切な嘘をつく【本編完結。アナザーストーリー連載中★】

山葵トロ

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15.

◆blue bird-2

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 あぁ、もうっ! どうしてコイツはっ!

 感情が溢れる。膨れ上がった気持ちに、真祝は思わず二海人に飛び付いた。


 いつもは言葉が少ないくせに、何でこんなに的確に自分の欲しい言葉をくれる?
 
 そのまま2人で勢いよく倒れ込み、横たわりながら視線を交わす。


 「おま……っ、危ねぇだろ。いきなり何す…… 」

 「二海人、大好きだよ 」

 息を飲む音が聞こえた気がした。瞠目した瞳に、二海人が酷く驚いているのが分かる。


 「 好き。大好き、めちゃくちゃ好き、愛してる 」

 「まほ? 」

 「ねぇ、ちゃんと俺の気持ち伝わってる? 」

 αだって、βだって、Ωだって何だっていいんだ。二海人だったら、俺は何だっていいんだ。

 真祝を見詰める二海人の眼差しが柔らかく緩む。


 「知ってるよ。出逢った時からね 」

 「は? 出逢った時って……、小学生じゃん! 」

 「友達になる前からずっと俺のこと見てたろ? あんなに可愛い子が、何で俺のことをそんなに見るんだろって思ってた 」

 「かっ、可愛いって 」

 「あぁ、勿論そういう意味 」


 ケロリと告げられて、かぁ……と頬が熱くなる。
 そうだ、聡い二海人が俺の気持ちに気付いてない訳なかった。告白なんかしなくったって、俺の気持ちなんかバレバレだったんだ。


 「じゃあ知ってるだろうけど。俺、嫉妬焼やきもちやきだから、覚悟してね? 」

 「そんなの、お互い様だよ 」

 ぷっと吹き出した二海人が言う。

 ぎゅっと抱き付くと、二海人の胸の中はとても暖かくてい匂いがした。やっぱり本物が1番いい。


 じゃあ二海人、これは知ってる? 僕の幸せって、全部ここにあるんだよーーー。

  


                                                   『おわり』


                         

 

 
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