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しおりを挟む言われている意味が分からなくて、真祝は首を傾げて自分に指を向ける。
「俺? 」
「本当に分からないんですか? 」
誘えば、喜ぶと思ったのに。
顔に出ていたのか、京香はその可愛い顔を顰めると頭を振った。
「 ……お兄様が余りに不憫だわ 」
「はぁ? だから、何で? 」
年下の女の子に馬鹿にしたみたいに言われて、真祝はムッとする。すると、それを見た京香が真祝にニッコリと微笑《わら》った。
「じゃあ、真祝さんは兄のこと、どの位、愛していますか? 」
「へ? あ、愛?」
真祝は、食べているパスタのフォークを、危うく取り落としそうになった。どうして、いきなりそんな話になるんだ?
「私、運命の番って、とても憧れてるんです。本能で惹かれ合う、究極の両想い! 世界で2人だけが持つ絆! でも、お兄様が真祝さんに夢中なのは見ていて分かるんですが、真祝さんが本当にそうなのか…… 」
チロリと疑い深い視線を寄越されて、真祝はギクリとした。
「そ、そんなの、決まってんだろ。結婚すんだから 」
「本当ですか? でも、今だって、2人だけのデートに私を誘ったりするし 」
「それは、京香ちゃんに悪いと思ってるから……っ 」
つーか、今夜のアレ、デートなのか。
今更に気付いて、冷や汗が出た。食事なんて、いつも行ってるから、そんな意識まるで無かった。
「それじゃあ、きちんと愛してるって言ってください!」
「ちょっと待て! 何で、京香ちゃんに?」
机を叩きそうな勢いに呑まれそうになるが、それはおかしいだろうと気付く。けれど、京香も引かなかった。
「それは、兄が真祝さんから愛してるって言われたことがないって、悶々と悩んで相談してくるからです。本当、うざったいったら 」
だから、今言って下されば私が伝えますからと言われて、真祝は頭を抱えたくなる。
あの野郎……。全く、何てことを、妹に相談してんだよ。
「ごめん。迷惑懸けて 」
謝ったら、「そんな言葉が聞きたいんじゃありません 」ときつく返された。真祝は両手を上げる。
「ハイハイ、分かったよ。俺はアイツのことを愛……?! 」
しかし、仕方なく言おうとした言葉が、喉奥で詰まる。こんなのただの言葉だ、何てことない。……なのに。
「……好き、だよ 」
言い換えた言葉だったのに、京香は満足したらしく、きゃあと嬉しそうに両手を頬に当てはしゃぐ。
「やっぱり、愛し合っていらっしゃるんですね。そうですよね! 真祝さんとお兄様は運命の番なんですから 」
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