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11-3※
しおりを挟む言われて、ハッとする。身体の中でドクンドクンと脈動する央翔の昂ぶり。その僅かな動きにも、腰がビクビクと反応してしまう。
「いや、嘘だ……」
そして感じたこの男に対する恐れ。このままでは、本当に逃げられなくなる。心が焦り、央翔を押し退けようとするけれど、どうしても腕に力が入らない。
「駄目、駄目だから……。早く、早く抜いて、久我、おねが…… 」
だが、言葉とは反対に、真祝の柔らかい肉は央翔を咥え込み、包み込んだ襞はうねりながら最奥へと貪欲にいざなう。
「……本当にいいの? 本当にそう思ってる? 」
こくこくと頷く真祝の耳朶をあまく噛んで、央翔が優しく囁いた。
「でも、それは…… 」 央翔がゆっくりと、真祝の片足を肩に担ぐ。
「出来ません……ねっ!」
いきなり、ずんっと更に奥まで突き入れられた。息が止まりそうな、凄まじい快感に頭がビリビリとし、身体の中心を陶酔が駆け抜ける。
それと同時に、うなじに鋭い痛みが走った。
ーーー噛まれたっ!!
「あ、あ……、あ…… 」
かちかちと合わない歯の根、力の入らない指先がビクビクと震えた。ぎりぎりと、うなじの痛みが深く食い込む。
「嫌、だ…… 」
そんな、酷い。勝手に、番にさせられた。
受け止めがたい事実に、涙が止まらない。もう、嫌だ、こんなの。
「……やめ、ろ。やめてく……れ…… 」
けれど、逃げようとする身体は押さえ込まれ、更に深く歯を立てられた。一生消えない印を刻み付けられる。嫌だと言っても聞いてはもらえない。
それどころか、そのまま奥を何度も突かれて、今までに感じたことのない痺れるくらいの快感が押し寄せてくる。
波はその度に大きくなり、身体ごと、どこかに連れ去られそうだ。
「やめて……、やめ、て 」
……気持ちいい、もっとして欲しい。もっと。
相反する言葉と身体。抗う言葉は最後の抵抗だったがそれも時間の問題だった。
「や……めて……。あ、ふ……、やめ…… 」
大きな波に幾度も飲み込まれて、息が出来ない。溺れる。沈んでいく。
「……やめな、いで 」
もう、何も考えられない。唯、涙が止めどなく溢れていく。
「愛して、ます。……愛して……る 」
あまく、激しい律動の向こうで、誰かが囁いている。
「もっ、と……、して。もっと、擦っ……て、奥まで、欲し…… 」
「あげ、るよ。全部、真祝さんの、もの、だ。 」
「気持ち、い、あ……、あぁ……っ !」
「俺も、だよ。くっ、すごい……っ、真祝さっ、真祝さん……っ 」
ーーーふ、みと……。
達する瞬間、真祝の口から零れた名前は、央翔にも真祝自身にも、聞こえてはいなかった。
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