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火照る身体が熱くて、燃える様だ。息をするだけで喉がひゅうと鳴り、焼け付くように痛い。
このまま灰になってしまえれば、そっちの方がどんなにか楽だろう。
「……んっ、あ、は……っ 」
熱を収めたくて、何度目かの欲望を放とうとするけれど、手に力が入らなくなっていた。膝ががくがくして、手足の先が痺れる。
どうしよう、ここまで酷い発情は初めてだ。激しいヒートに身体が耐えられなくて死んでしまうΩもいるという。もしかして、自分も死んでしまうのかもしれない。
そう思ったら、真祝は突然怖くなった。
嫌だ……っ! 助けて、助けてっ!!
「二、海人……ッ 」
―――『少し待ってろ、直ぐに行くから 』
さっき聞いた、愛しい男の声を思い出したら少し恐怖が和らいだ。
二海人なら助けてくれる。苦しい時には、いつも自分を助けてくれた。だからきっと、今回のこの苦しみからも救ってくれる。
「あ…、は、く……っ。ふみ、と、……み、とぉ…… 」
早く、早く来て。抱きしめて。
肘が重くて、その場から動くことも出来ない。
もどかしくベッドに押し付けながら、力の入らない手でシーツを掴むと、白い布が弱々しい波を作る。
その時、ガチャッとドアの開く音がした。
「ふ、みと……? 」
やっと来てくれた。安心感からか、涙が溢れて来るのが分かる。しかし、その安心感は次の瞬間、霧散した。
「真祝さん……? 」
声と同時に甘い香りが部屋に広がる。
ギョッとしてドアの方を見れば、そこに居たのは……。
「く、が……? 」
霞む視界の中に、見知った男の姿が見える。ザーッと血の気が下がる音が聞こえた。
「な…… 」
……んで、お前がここに?
問いたいが、頭の中が真っ白になってしまい声が詰まった。ただ、こんな所へαが来たらとんでもないことになるのは容易に想像が付く。
「真祝さん、発情期…… 」
けほっと咳き込みながら、央翔が手の甲で口許と鼻を押さえた。
「匂いに噎せ返りそうです。かなり、酷いみたいですね。 大丈夫ですか? 」
「く、来るな 」
ふらりとよろめきながら近付いて来る央翔に、真祝はゆるゆると首を振る。
心臓が狂ったように鼓動を打ち、息が出来ないくらいに苦しい。掠れる声を絞り出すのが精一杯だった。
後退去ろうとするが、力の入らない手では這うことも出来ないし、重い足はずるりと弱くシーツを蹴るだけで動かない。
しかし反対に、央翔の放つ甘ったるい匂いは真祝の中心を刺激する。張り詰めた下半身はびくびくと震え、後ろからもたらりと蜜が溢れてくるのが分かり、ぎょっとした。
「そんなに辛そうなのに、何を言っているんですか 」
「やだ。来ない、で 」
真っ直ぐに、瞬きもせず見詰めてくる央翔の目が怖い。獲物を捕らえようとする肉食獣の様な瞳。
真祝はこの目を知っていた。あの時と同じ、だがあの時とは違う。αに襲われそうなこの状況で、自分の身体のこの反応は何だ?
「……あぁ、どれだけフェロモン出してるの。頭がくらくらする。意識が遠退きそうだ 」
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