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しおりを挟む「そ、そんなこと……っ 」
パッと頬が熱くなって、美花は浩峨から顔を背けた。あれ程あった抵抗や罪悪感も、この人の前ではもう無駄だと分かっている。
うるさい鼓動は、収まるどころか苦しくなるばかり。
それを見た浩峨はクスッと笑みを漏らすと、朱く染まった美花の目許に口唇を寄せた。
「……僕は凄くいいよ?、 美花ちゃんのなか。 熱くて、僕にぴっとりと纏わり付いてくる 」
「えっ!? な……っ 」
突然、何を言い出すのか。
瞳を見開くと、下りてきた口唇が耳朶を食んだ。
「僕のこと、欲しい欲しいって言われてるみたい。 ほら、今も…… 」
ダイレクトに鼓膜の奥に落ちる掠れた低い声が、身体全体にびぃ……んと響いて末端にまで届く。
同時に内側を、柔らかくねっとりと撹拌されて、声を我慢することなんて出来なかった。
「や……、あっ、あ……っ」
「違うかなぁ、僕の思い違いじゃないよね? 美花ちゃん、とっろとろになってるの、自分でも分かるでしょ? 」
耳殻に舌を這わせながら、「ねぇ、言ってよ 」と催促されて、美花はじたばたとしたいのを堪えながら、この意地悪な男から逃げられないと観念する。
「……いい、から 」
「え…… 」
聞き返されて、美花は耳を疑う。
信じられない、二度も言わせる気だろうか?
浩峨のキョトンとした表情に、泣きそうになりながら、美花はもう一度恥ずかしい言葉を口にした。
「気持ちいい……から。 だから…… 」
「嘘、そっち?! 」
浩峨の驚いた声に、美花は困惑する。何か間違ったのかと思ったら、浩峨が美花の肩口に顔を埋めた。
「もういいって、いい加減にしろって、呆れられたかと思った 」
「橘……、さん? 」
「それにちょっとソレ、ヤバイでしょ? 『分かる』って頷くだけならまだしも……。待ってよ、恥じらいながら『気持ちいい 』って 」
「や……、だって橘さんが言えって…… 」
「マズイよ、……可愛い過ぎんだろ? 」
何かを堪えるように一際低くなった声音と、身体の奥で更に膨らんだ只でさえ大きなそれが、美花の身体を震わせる。
途切れさせず与えられるゆるりとしたあまい刺激。 襲って来るどうしようもなく心許ない不安感。
堪らず、美花は子どものように泣いてしまった。
「やだ……ぁ、これ以上大きく、しないで…… 」
「えっ、えっ……?」
こんなの自分じゃない。
思うのに止まらなくて、訴えながら洟を啜る。
「怖い、どうにかなっちゃう。変になっ…… 」
「……っ。 だから、これ以上煽んないでって!」
すすり泣きごと口唇を吸われ、ぬるりと絡められる舌の感触に頭の芯がじん……となった。
うっとりと瞳を閉じれば、浩峨が口付けの合間に独り言のように呟く。
「……あー、もう。 頭からバリバリ食っちゃいてー 」
抱えられた脚に、腰が浮かされる。深くなる繋がりと速さを増す律動、けれど先程の自分勝手な動きとは違った。
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