28 / 81
28. 開き出す薔薇の花びら
しおりを挟む こんど伶莉さまに寝かされたところは、からだが沈みこむくらいふかふかしていた。
背中がやわらかくてあたたかくって、触れてるところから幸せになる。
ただ寝ているだけで心地いい。ごろごろところがって幸せをあじわう。
「そんなに綿布団が気に入ったか」
「うん! だってこんなふかふかなところで寝たことないよ」
「ノノが気に入ったのなら良かった。だが、少々妬けるな」
「うん?」
伶莉さまの顔がだんだんと近づいてきて大きくなる。
はずかしくなって目を閉じた。
またくちびるを、吸われる。
「ん……!」
くちびるだけじゃなくって伶莉さまの体も、かぶさってくる。
背中はふかふか、上は伶莉さまにはさまれて、しあわせすぎるよ……!
ふかふかの上にねころがって落ちついてきてたのに、また体がきゅんときてふるふるっとそれを流した。
「調子はどうだ?」
「ふかふか……」
だって背中がすっごい気持ちよくってそれしか考えらんない。
それしか、でもない。
伶莉さまと重なると、まだ兄から飲まされたものが効いてるのが、うずうずとして分かる。
まだ、あつい──
「調子はいいと受け取っておく」
伶莉さまがゆっくりとわたしの髪を梳く。
まだ濡れてておもたい髪の間に指を通されるのがくすぐったい。
とんとんと肩をたたいてくれるのも、おちつくようでおちつかなかったりもする。
そしたら、襦袢の足のあいだを割られてびっくりする。
薄目をあけてみる。伶莉さまのお顔立ちに美しいだけじゃなく熱がこもっているのにどきどきとして、また閉じた。
「はっ」
さっきも触れられた敏感なところを伶莉さまにまた指でなぞられ、思わず腰をひく。
ふかふかな綿布団にすこしおしりが沈むけど、それでもぜんぜん伶莉さまからは逃げられない。
いちど伶莉さまにほぐされたところは、すぐにずぶずぶとその指を受け入れてしまう。
「伶莉さま……っ」
「そのままでいい」
そのままじゃなくて、胸のあいだも広げられてその先も吸いだされる。
伶莉さまに愛でられたところはすぐにさっきのことを思いだしたように敏感に感じてしまう。
「ん……はぁ、伶莉さまぁ、からだ、変、です、っ」
「慣れないかもしれないが、大丈夫だ。ノノにおかしいところはない」
「わたし、わたし……、おかしくないです、か?」
「ああ」
さすさすと肩から二の腕までをなでられるとちょっと安心する。
でも熱いのはどうしようもなくて、ほぐされたわたしのなかはぐしょぐしょに溶けていた。
「少し痛いかもしれないが、少しだけだからこらえて欲しい。我の愛するノノと一つになりたい」
「……はい」
ちょっと不安を感じたけど、いやとは言えなかった。
伶莉さまの体に腕まわしてると、すこしだけ落ち着いた。
すると足のあいだに、指よりもっと熱くて大きいものが添えられる。
ずぶずぶと、入ってくる──
伶莉さまと一つになってく感覚が持てて、入ってくるぶんまでは我慢できた。
だけど全部入りきってもそこで止まって、痛みが抜けない。
こらえるけどこらえきれなくって、伶莉さまにうったえてしまう。
まだ我慢できたけど、伶莉さまには聞きたくって、うったえてしまう。
「ぃたい、いたいです、伶莉さま……!」
「すまない。少し痛みが安らぐから、ゆっくり体の力を抜いて欲しい」
体の痛みだけだったらまだもうすこし、我慢できた。
けど、痛いのはそれだけのせいじゃない──
「伶莉さまもわたしのこと痛くしたい? とろいから? 頭悪いから? ううん、痛くしたいならいいんです。けど」
(痛いのは慣れてるもんね)
お兄ちゃんたちと一緒だし、それよりはいいかもしれない。
あきらめがつくと気が抜けて、すこし痛いのが楽になる。
「大事なノノにはできるだけ痛くないようにしたかった。我の手違いだ。すまない、すぐ痛みが和らぐようにする」
「ううん、いいんで」
答えきる間もなく口をふさがれた。
舌をいれられることにだってびくっとしてしまう。
けど、舌どうしを絡ませられると胸がぽうっとしてくる。
伶莉さまとわたしの口のなかが混ざりあうと、舌の気持ちいいので繋がってるところもすこし気持ちよく感じてくる、ような気がした。
口づけられながら、小さい子がしてもらうみたいに頭なでられる。
ゆっくりゆっくりなでられると気持ちよくって、痛いのがすこしずつ気にならなくなる。
(伶莉さまは、兄たちとはちがう……)
口のまわりべたべたするくらいいっぱいすると、痛いのはこらえきれるくらいになった。
それより、かすかに伶莉さまが動くときに感じるつんとした気持ちよさに甘い期待がこみあげてくる──
けど唇がはなれて、すこしさびしくなってそのあとにつたう銀色の線を見上げてしまう。
「大丈夫か? ノノ」
大丈夫じゃない気もするし、もう少し感じてみたい気もしてしまう。
でもどっちの返事も、していいものなのかなって迷う。
「伶莉さま、どうすればいい?」
「ノノはそのままでいい。また痛みが酷かったら教えてくれ」
(また口くっつけて欲しいな……)
そんなふうにぽーっと見あげてたら、また伶莉さまの唇が降ってきて重なる。
唇だけじゃなくって、わたしのなかの伶莉さま自身もゆっくり小さく動きだす。
「あ……う……んふっ……ん、ん……!」
伶莉さまに広げられてると、まだ少し痛む。
でも違和感より、つながってるしあわせのほうがずっと大きい。
「善くなったようだな。誠に可愛らしい」
口つなぎ頭なでられる。
おちつくのに、でもなかの伶莉さまを感じさせられてどうしようもない気持ちがあふれてくる。
お湯の池とちがって部屋中静かで、伶莉さまのうごきが速くなるにつれてはずかしい音も耳に流れてくる……!
「ん……! は……っ、あ、あぁ……ん……そこ、へん……!」
「おかしくしている。もっと乱れたノノを見せてくれ」
どうすればよいのかわかんなくって、それはわかんない。
でも伶莉さまは今のままでいいんだってことだけ分かって、それでほっとする。
確かめるように、腕まわしなおした。
伶莉さまの背中広くて、なかなか手は合わさらない。
「ん、ぁ、あぁ、はい……!」
伶莉さまがわたしのなかにいるのが、こすれる感覚でも耳にながれこんでくる水音でもわかってしまう。
おかしいのがわたしだけじゃなくって、伶莉さまの息も乱れてるのがきこえてくる。
それも一緒なのが、きもちいい──
「ノノ……ッ! 夢中になってしまっているが、平気か」
「ううん、もうへいき。……や、ん……ぁっ……ね、伶莉さまぁ」
「なんだ?」
「名前、呼んでくれるのうれしくて……ん、ぁ……ん……ん、んぅ……」
お前とかそれとかじゃなくて、ノノって呼んでもらえるのがうれしい。
それも伶莉さまの雄々しい声で呼ばれると、耳からだってきゅんきゅんしてくるしくなっちゃう。
「ノノ……ぐ……! ノノ、ノノ」
「あぅ……ん、んん……! ん、伶莉さま、んん、んんぅ……!」
引き抜かれたり奥まで満たされたりって、怜悧さまとの繋がりはめまぐるしく変わる。
一つじゃないから触れ合う感覚があるのに、でもこすれあうともっと一つになってるように感じる。
しあわせで目からなみだがこぼれてきた。
唇がはなれてさびしくなって見あげる。
そしたら急に目尻のなみだをなめとられてびっくりする。
「やぁ……ん……やんっ!」
怜悧さまの動きがしだいに速くなって体がくがくってなる。
けど背中がふかふかにはねかえされて、体じゅう怜悧さまと一つになってしあわせがあふれてくる。
しあわせすぎて、おかしくなる──
「や、あ、あ、伶莉さま、おかしくなる、おかしくなっちゃうよ、あっ、あっ!」
「そのまま身を任せろ。ノノ、く……いけ」
「あ、う……あ、ああ、や」
体じゅうにしあわせがどっとあふれる──
伶莉さまにつながりをほどかれる。
ちいさなうめき声。おへその下にお湯より熱いものがかけられるのを、感じた。
熱が抜けると、兄に飲まされてから体おかしかったのも治ってた。
* * *
お嫁さんになったわたしは、なにもない日に伶莉さまとごろごろしてた!
人の姿をとると疲れるのか、伶莉さまはよく前みたいなキツネ姿で寝ている。今もね。
「もふもふ気持ちいいー!」
ぎゅうーと抱きしめると、ふさふさの毛が肌をなでる。
手入れのゆきとどいたキツネっ毛は、服の上からだって肌に直接あたるところだってきもちいい。
すりすりってしあわせを味わう。
「襲うぞ」
伶莉さまが不機嫌そうにふりむく。
ほんとはキツネ姿だって人の言葉もしゃべれるんだよ伶莉さま。
「いいよ」
「ん?」
顔近づけてくるからもう一回言う。
「おそってもいいよ。怜悧さまにおそわれるのはしあわせだから」
そう言って目とじて、自分のくちびるをつんと人差し指でついた。
「ここ。おそって?」
怜悧さまはぎゅうって抱きしめてても器用にくるんと体をわたし側に返す。
怜悧さまがひっくり返るときにもふもふの毛がこすれるのだって、とっても気持ちいい……!
向かい合うとくちびるをつん、と怜悧さまのくちびるで突かれた。
うん。しあわせだねっ!
「今日は霧も出てないし呼吸法の修練には丁度佳い。起きるぞ」
「ねむいよ……」
「愛するノノが山を飛び降りても気圧差に耐えられる程度の呼吸法を覚えてくれないと、我も下界に降りられん。ノノは離せないからな」
そういってやり返すみたいに体抱かれるから、どきりとしてしまう。すこし目が覚めた。
怜悧さまはすかさずわたしの体を起こしてくる。
「もう! ばか! 大好き!」
そしたらまた、うるさくした口をふさがれた。
静かにゆっくりと、重ねられていた。
(終)
背中がやわらかくてあたたかくって、触れてるところから幸せになる。
ただ寝ているだけで心地いい。ごろごろところがって幸せをあじわう。
「そんなに綿布団が気に入ったか」
「うん! だってこんなふかふかなところで寝たことないよ」
「ノノが気に入ったのなら良かった。だが、少々妬けるな」
「うん?」
伶莉さまの顔がだんだんと近づいてきて大きくなる。
はずかしくなって目を閉じた。
またくちびるを、吸われる。
「ん……!」
くちびるだけじゃなくって伶莉さまの体も、かぶさってくる。
背中はふかふか、上は伶莉さまにはさまれて、しあわせすぎるよ……!
ふかふかの上にねころがって落ちついてきてたのに、また体がきゅんときてふるふるっとそれを流した。
「調子はどうだ?」
「ふかふか……」
だって背中がすっごい気持ちよくってそれしか考えらんない。
それしか、でもない。
伶莉さまと重なると、まだ兄から飲まされたものが効いてるのが、うずうずとして分かる。
まだ、あつい──
「調子はいいと受け取っておく」
伶莉さまがゆっくりとわたしの髪を梳く。
まだ濡れてておもたい髪の間に指を通されるのがくすぐったい。
とんとんと肩をたたいてくれるのも、おちつくようでおちつかなかったりもする。
そしたら、襦袢の足のあいだを割られてびっくりする。
薄目をあけてみる。伶莉さまのお顔立ちに美しいだけじゃなく熱がこもっているのにどきどきとして、また閉じた。
「はっ」
さっきも触れられた敏感なところを伶莉さまにまた指でなぞられ、思わず腰をひく。
ふかふかな綿布団にすこしおしりが沈むけど、それでもぜんぜん伶莉さまからは逃げられない。
いちど伶莉さまにほぐされたところは、すぐにずぶずぶとその指を受け入れてしまう。
「伶莉さま……っ」
「そのままでいい」
そのままじゃなくて、胸のあいだも広げられてその先も吸いだされる。
伶莉さまに愛でられたところはすぐにさっきのことを思いだしたように敏感に感じてしまう。
「ん……はぁ、伶莉さまぁ、からだ、変、です、っ」
「慣れないかもしれないが、大丈夫だ。ノノにおかしいところはない」
「わたし、わたし……、おかしくないです、か?」
「ああ」
さすさすと肩から二の腕までをなでられるとちょっと安心する。
でも熱いのはどうしようもなくて、ほぐされたわたしのなかはぐしょぐしょに溶けていた。
「少し痛いかもしれないが、少しだけだからこらえて欲しい。我の愛するノノと一つになりたい」
「……はい」
ちょっと不安を感じたけど、いやとは言えなかった。
伶莉さまの体に腕まわしてると、すこしだけ落ち着いた。
すると足のあいだに、指よりもっと熱くて大きいものが添えられる。
ずぶずぶと、入ってくる──
伶莉さまと一つになってく感覚が持てて、入ってくるぶんまでは我慢できた。
だけど全部入りきってもそこで止まって、痛みが抜けない。
こらえるけどこらえきれなくって、伶莉さまにうったえてしまう。
まだ我慢できたけど、伶莉さまには聞きたくって、うったえてしまう。
「ぃたい、いたいです、伶莉さま……!」
「すまない。少し痛みが安らぐから、ゆっくり体の力を抜いて欲しい」
体の痛みだけだったらまだもうすこし、我慢できた。
けど、痛いのはそれだけのせいじゃない──
「伶莉さまもわたしのこと痛くしたい? とろいから? 頭悪いから? ううん、痛くしたいならいいんです。けど」
(痛いのは慣れてるもんね)
お兄ちゃんたちと一緒だし、それよりはいいかもしれない。
あきらめがつくと気が抜けて、すこし痛いのが楽になる。
「大事なノノにはできるだけ痛くないようにしたかった。我の手違いだ。すまない、すぐ痛みが和らぐようにする」
「ううん、いいんで」
答えきる間もなく口をふさがれた。
舌をいれられることにだってびくっとしてしまう。
けど、舌どうしを絡ませられると胸がぽうっとしてくる。
伶莉さまとわたしの口のなかが混ざりあうと、舌の気持ちいいので繋がってるところもすこし気持ちよく感じてくる、ような気がした。
口づけられながら、小さい子がしてもらうみたいに頭なでられる。
ゆっくりゆっくりなでられると気持ちよくって、痛いのがすこしずつ気にならなくなる。
(伶莉さまは、兄たちとはちがう……)
口のまわりべたべたするくらいいっぱいすると、痛いのはこらえきれるくらいになった。
それより、かすかに伶莉さまが動くときに感じるつんとした気持ちよさに甘い期待がこみあげてくる──
けど唇がはなれて、すこしさびしくなってそのあとにつたう銀色の線を見上げてしまう。
「大丈夫か? ノノ」
大丈夫じゃない気もするし、もう少し感じてみたい気もしてしまう。
でもどっちの返事も、していいものなのかなって迷う。
「伶莉さま、どうすればいい?」
「ノノはそのままでいい。また痛みが酷かったら教えてくれ」
(また口くっつけて欲しいな……)
そんなふうにぽーっと見あげてたら、また伶莉さまの唇が降ってきて重なる。
唇だけじゃなくって、わたしのなかの伶莉さま自身もゆっくり小さく動きだす。
「あ……う……んふっ……ん、ん……!」
伶莉さまに広げられてると、まだ少し痛む。
でも違和感より、つながってるしあわせのほうがずっと大きい。
「善くなったようだな。誠に可愛らしい」
口つなぎ頭なでられる。
おちつくのに、でもなかの伶莉さまを感じさせられてどうしようもない気持ちがあふれてくる。
お湯の池とちがって部屋中静かで、伶莉さまのうごきが速くなるにつれてはずかしい音も耳に流れてくる……!
「ん……! は……っ、あ、あぁ……ん……そこ、へん……!」
「おかしくしている。もっと乱れたノノを見せてくれ」
どうすればよいのかわかんなくって、それはわかんない。
でも伶莉さまは今のままでいいんだってことだけ分かって、それでほっとする。
確かめるように、腕まわしなおした。
伶莉さまの背中広くて、なかなか手は合わさらない。
「ん、ぁ、あぁ、はい……!」
伶莉さまがわたしのなかにいるのが、こすれる感覚でも耳にながれこんでくる水音でもわかってしまう。
おかしいのがわたしだけじゃなくって、伶莉さまの息も乱れてるのがきこえてくる。
それも一緒なのが、きもちいい──
「ノノ……ッ! 夢中になってしまっているが、平気か」
「ううん、もうへいき。……や、ん……ぁっ……ね、伶莉さまぁ」
「なんだ?」
「名前、呼んでくれるのうれしくて……ん、ぁ……ん……ん、んぅ……」
お前とかそれとかじゃなくて、ノノって呼んでもらえるのがうれしい。
それも伶莉さまの雄々しい声で呼ばれると、耳からだってきゅんきゅんしてくるしくなっちゃう。
「ノノ……ぐ……! ノノ、ノノ」
「あぅ……ん、んん……! ん、伶莉さま、んん、んんぅ……!」
引き抜かれたり奥まで満たされたりって、怜悧さまとの繋がりはめまぐるしく変わる。
一つじゃないから触れ合う感覚があるのに、でもこすれあうともっと一つになってるように感じる。
しあわせで目からなみだがこぼれてきた。
唇がはなれてさびしくなって見あげる。
そしたら急に目尻のなみだをなめとられてびっくりする。
「やぁ……ん……やんっ!」
怜悧さまの動きがしだいに速くなって体がくがくってなる。
けど背中がふかふかにはねかえされて、体じゅう怜悧さまと一つになってしあわせがあふれてくる。
しあわせすぎて、おかしくなる──
「や、あ、あ、伶莉さま、おかしくなる、おかしくなっちゃうよ、あっ、あっ!」
「そのまま身を任せろ。ノノ、く……いけ」
「あ、う……あ、ああ、や」
体じゅうにしあわせがどっとあふれる──
伶莉さまにつながりをほどかれる。
ちいさなうめき声。おへその下にお湯より熱いものがかけられるのを、感じた。
熱が抜けると、兄に飲まされてから体おかしかったのも治ってた。
* * *
お嫁さんになったわたしは、なにもない日に伶莉さまとごろごろしてた!
人の姿をとると疲れるのか、伶莉さまはよく前みたいなキツネ姿で寝ている。今もね。
「もふもふ気持ちいいー!」
ぎゅうーと抱きしめると、ふさふさの毛が肌をなでる。
手入れのゆきとどいたキツネっ毛は、服の上からだって肌に直接あたるところだってきもちいい。
すりすりってしあわせを味わう。
「襲うぞ」
伶莉さまが不機嫌そうにふりむく。
ほんとはキツネ姿だって人の言葉もしゃべれるんだよ伶莉さま。
「いいよ」
「ん?」
顔近づけてくるからもう一回言う。
「おそってもいいよ。怜悧さまにおそわれるのはしあわせだから」
そう言って目とじて、自分のくちびるをつんと人差し指でついた。
「ここ。おそって?」
怜悧さまはぎゅうって抱きしめてても器用にくるんと体をわたし側に返す。
怜悧さまがひっくり返るときにもふもふの毛がこすれるのだって、とっても気持ちいい……!
向かい合うとくちびるをつん、と怜悧さまのくちびるで突かれた。
うん。しあわせだねっ!
「今日は霧も出てないし呼吸法の修練には丁度佳い。起きるぞ」
「ねむいよ……」
「愛するノノが山を飛び降りても気圧差に耐えられる程度の呼吸法を覚えてくれないと、我も下界に降りられん。ノノは離せないからな」
そういってやり返すみたいに体抱かれるから、どきりとしてしまう。すこし目が覚めた。
怜悧さまはすかさずわたしの体を起こしてくる。
「もう! ばか! 大好き!」
そしたらまた、うるさくした口をふさがれた。
静かにゆっくりと、重ねられていた。
(終)
15
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
天才外科医は仮初の妻を手放したくない
夢幻惠
恋愛
ホテルのフリントに勤務している澪(みお)は、ある日突然見知らぬ男性、陽斗(はると)に頼まれて結婚式に出ることになる。新婦が来るまでのピンチヒッターとして了承するも、新婦は現れなかった。陽斗に頼まれて仮初の夫婦となってしまうが、陽斗は天才と呼ばれる凄腕外科医だったのだ。しかし、澪を好きな男は他にもいたのだ。幼馴染の、前坂 理久(まえさか りく)は幼い頃から澪をずっと思い続けている。

溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる