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10. シベリウスの館
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窓から差し込む朝陽でジュエリアが目覚めると、見知らぬ部屋の天井が目に入って飛び起きた。
周りを見れば、広い部屋の中いっぱいに彩り豊かな花々が所狭しと飾られており、家具や調度品も一目でそれがどれだけ高価な物かわかるような品々だった。
「えっと……ああ、そうだった、私は昨日から……」
頭がハッキリしてきた時、ジュエリアの隣で誰かがまどろんだ声を出して寝返りを打った。
「うーん……」
「ひっ」
ジュエリアは咄嗟にシーツをたくし上げて胸元を隠し、寝返りを打った男を見る。厚く引き締まった胸筋を露わにしたシベリウスであった。
ジュエリアは恐る恐る自分の胸元に目を向ける。
「はああーっ! 良かったあぁぁぁ~」
ジュエリアはちゃんとナイトウェアを着ており、乱れた様子も、身体にも何ら異変も違和感もない。
「うぅん……ジュエリア……」
シベリウスの目がゆっくりと開き始め、ジュエリアを捉えると、幸せそうにふにゃりと笑った。
ジュエリアは不覚にもその笑顔に顔を赤くしてしまう。
「ふふっ、ジュエリア。顔が赤いのはなぜ?」
シベリウスは嬉しそうに肘をついてジュエリアを見つめた。
「あっ、赤くなんかないわよ。ちょっと、それより、何でシベリウスが一緒のベッドにいるのよ」
「シヴィ」
「え?」
シベリウスは片手でジュエリアの腕を強く引くと、ジュエリアはシベリウスの胸に飛び込むように体勢を崩し、まんまと抱きしめられてしまった。
ジュエリアの顔はシベリウスの胸元にあり、彼の素肌の温度を直に感じて、頬の赤みが一層増していた。
「シヴィって呼んでください」
「は?」
「私はジュエルと呼んでもいいですか?」
「はあ?」
シベリウスはジュエリアをぎゅっと抱きしめ、喜びを噛み締めるように彼女の耳元近くで囁く。
「僕のジュエル……」
シベリウスはそのままキスをしてこようとしたので、ジュエリアは必死に避けた。
「なぜ逃げるんです???」
「なんでキスしようとするの?」
「愛してるからに決まってるでしょ?」
「あっ、愛!? ちょっとシベリウス、あなた大丈夫?」
「城から出れたのだから、もう私との婚約を拒む理由はないですよね?」
「ぐっ……」
ジュエリアが言葉に詰まると、その隙にシベリウスはぐるんと体勢を半回転させ、ジュエリアに覆いかぶさるような体勢になり、彼女の両手を掴んで逃げれないよう拘束した。そして不敵な笑みを浮かべてジュエリアを見下ろす。
「ふふふ……さあ、観念しましょう」
部屋の中の花の香りか、はたまたこれが男性の香りなのか、この匂いが鼻をかすめると、心拍数は更に上がり、呼吸が荒くなり、身体が火照る。シベリウスの視線が熱く、目を合わせていると彼に呑まれてしまいそうになるので、ジュエリアは逃げるように視線を逸らすと、今度は逸らした先の彼のたくましい胸板に目が釘付けになってしまう。
ごくりっ——。
ジュエリアは「しまった」と思った。思わず喉を鳴らすほどに唾を飲みこんでしまった。
シベリウスの顔に視線をゆっくりと戻すと、彼は勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。
「結婚前に味見します?」
「いえ、結構ですっ!!」
ジュエリアは八方塞がりとなり、神に助けを求めようとした時、突然バタンッと扉が開いた。
「お熱い中すいませんが、さっさと起きてきてもらえません?」
なんと扉を開けたのはサイオン卿の侍従トマスであった。
「神!!」
ジュエリアは叫んでしまった。
周りを見れば、広い部屋の中いっぱいに彩り豊かな花々が所狭しと飾られており、家具や調度品も一目でそれがどれだけ高価な物かわかるような品々だった。
「えっと……ああ、そうだった、私は昨日から……」
頭がハッキリしてきた時、ジュエリアの隣で誰かがまどろんだ声を出して寝返りを打った。
「うーん……」
「ひっ」
ジュエリアは咄嗟にシーツをたくし上げて胸元を隠し、寝返りを打った男を見る。厚く引き締まった胸筋を露わにしたシベリウスであった。
ジュエリアは恐る恐る自分の胸元に目を向ける。
「はああーっ! 良かったあぁぁぁ~」
ジュエリアはちゃんとナイトウェアを着ており、乱れた様子も、身体にも何ら異変も違和感もない。
「うぅん……ジュエリア……」
シベリウスの目がゆっくりと開き始め、ジュエリアを捉えると、幸せそうにふにゃりと笑った。
ジュエリアは不覚にもその笑顔に顔を赤くしてしまう。
「ふふっ、ジュエリア。顔が赤いのはなぜ?」
シベリウスは嬉しそうに肘をついてジュエリアを見つめた。
「あっ、赤くなんかないわよ。ちょっと、それより、何でシベリウスが一緒のベッドにいるのよ」
「シヴィ」
「え?」
シベリウスは片手でジュエリアの腕を強く引くと、ジュエリアはシベリウスの胸に飛び込むように体勢を崩し、まんまと抱きしめられてしまった。
ジュエリアの顔はシベリウスの胸元にあり、彼の素肌の温度を直に感じて、頬の赤みが一層増していた。
「シヴィって呼んでください」
「は?」
「私はジュエルと呼んでもいいですか?」
「はあ?」
シベリウスはジュエリアをぎゅっと抱きしめ、喜びを噛み締めるように彼女の耳元近くで囁く。
「僕のジュエル……」
シベリウスはそのままキスをしてこようとしたので、ジュエリアは必死に避けた。
「なぜ逃げるんです???」
「なんでキスしようとするの?」
「愛してるからに決まってるでしょ?」
「あっ、愛!? ちょっとシベリウス、あなた大丈夫?」
「城から出れたのだから、もう私との婚約を拒む理由はないですよね?」
「ぐっ……」
ジュエリアが言葉に詰まると、その隙にシベリウスはぐるんと体勢を半回転させ、ジュエリアに覆いかぶさるような体勢になり、彼女の両手を掴んで逃げれないよう拘束した。そして不敵な笑みを浮かべてジュエリアを見下ろす。
「ふふふ……さあ、観念しましょう」
部屋の中の花の香りか、はたまたこれが男性の香りなのか、この匂いが鼻をかすめると、心拍数は更に上がり、呼吸が荒くなり、身体が火照る。シベリウスの視線が熱く、目を合わせていると彼に呑まれてしまいそうになるので、ジュエリアは逃げるように視線を逸らすと、今度は逸らした先の彼のたくましい胸板に目が釘付けになってしまう。
ごくりっ——。
ジュエリアは「しまった」と思った。思わず喉を鳴らすほどに唾を飲みこんでしまった。
シベリウスの顔に視線をゆっくりと戻すと、彼は勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。
「結婚前に味見します?」
「いえ、結構ですっ!!」
ジュエリアは八方塞がりとなり、神に助けを求めようとした時、突然バタンッと扉が開いた。
「お熱い中すいませんが、さっさと起きてきてもらえません?」
なんと扉を開けたのはサイオン卿の侍従トマスであった。
「神!!」
ジュエリアは叫んでしまった。
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