19 / 38
19. ソウルメイト
しおりを挟む
社交シーズンが始まった王都は、ルイス王子の顔を知る貴族で溢れている。その為、ルイス王子は薄手のローブのフードを深く被り、酒場までは顔を隠していた。
安酒場に貴族が居るわけがないので、中に入ってしまえばある程度は安心だ。店内に入るとフードを降ろして店中をくまなく見回す。だがアルタンの姿はない。
目立たない店の奥の席に座り、ビールを頼む。酔っぱらってしまわないよう、少しづつ飲みながら、彼女が現れるように祈った。
「やっと来たな、ルーズ」
むさ苦しい男だらけの酒場で、女性の声と香りが背中からした。ルイス王子は嬉しさを抑えきれず喜色満面で振り返る。そこには会いたくてしかたなかった彼女がいた。
「アルタン! なかなか来れず、すまなかった。お詫びに一杯おごるよ」
「あたりまえだ。おーいおやじ、ビールを大きいジョッキで」
アルタンは大声を張り上げてカウンターにいた店主に酒を頼んだ。相変わらず豪快で、やはり一緒にいると笑ってしまい、心地良く、気持ちが晴れる。
「じゃあ、再会を祝して、カンパーイ!」
アルタンの乾杯の音頭で、ジョッキをカチンと合わせた。
「気になってるんだけど、アルタンは一体何の商談で来てるの?」
「言わないっていっただろ」
「手伝えることもあるかもしれないじゃないか」
「ないね」
アルタンはルイスを見ながら笑った。ルイスもつられて笑う。
「私はだいぶ軽く見られてるんだな」
「そうじゃない。危険なんだ」
「アルタンは危険が似合う」
「だろ」
ルイス王子はアルタンに軽くあしらわれても、このやり取りだけで楽しかった。彼女は自分をポジティブに変えてくれる存在だ。ソウルメイトだと信じたい。
彼女がこの国を離れるまでに、沢山彼女と話して、関わって、彼女との絆を確実なものにしたい。
彼女との時間は自分をより良い人間に変えてくれる予感がする。
「なあルーズ、お前、なんかあったか?」
「え?」
「お前は顔に出る。聞いてやるから言え」
ルイス王子は、やはりアルタンは自分のソウルメイトに違いないと思った。出会ったばかりだが、彼女になら何でも話せる。
「婚約をしようと思っている」
アルタンはジョッキを口元で止めた。そして、珍しく物静かに祝ってくれた。
「おめでとう」
ルイス王子はその言葉に鼻で笑う。アルタンはもちろんムッとした顔をする。
「人が祝ってやってるのにその態度は感じ悪いな、お前」
「ああ、ごめん。そうじゃないんだ。本当は婚約なんてしたくない」
「なら、しなきゃいい」
「そうもいかない。私がその相手と婚約しないと、兄が大切な人と結婚出来ない」
「意味不明だな、お前の国は。弟が婚約しないと兄は結婚出来ないのか???」
「この国の決まりじゃないよ。私だけの特別な事情だ」
「お前も色々背負ってるんだな」
「いや、背負ってるのは兄だ」
「ふーん……」
アルタンはビールを飲みながら何かを考えていて、しばらく沈黙が続いた。
ルイス王子がやっとアルタンと目が合ったと思えば、彼女の表情はいつになく真剣だった。
「ルーズはもしかして貴族か?」
「え?」
「特別な事情がある結婚なんて、平民ではなさそうだ」
「ああ……まあ、こんなところで大きくは言えないが、貴族みたいなものかな」
アルタンはビールを一気に飲み干し、ジョッキをテーブルの上にダンッと力強く置いた。
「じゃあ、私の手伝いをしろ」
「え?」
「ついて来い」
アルタンは立ち上がり、二階の宿屋に向かった。ルイス王子も慌ててアルタンの後を追う。
アルタンは二階ですでに宿代を払っており、鍵を受け取っていた。
「アルタン、今夜は私は泊まれない」
「いいから来い」
アルタンはルイス王子の手を掴み、部屋まで引っ張って行く。そして部屋の中に入ると、ルイス王子を椅子に座らせて、自分も対面に座った。
「いいか、ルーズ、商談に来たと言ったのはだいぶ濁した言い方だ。本当の目的は、証拠を見つけ、このオーバーランドの国王に取引を持ち掛ける為に来た」
「証拠? 取引??」
「この国の腐った貴族が、輸入にかかる関税から逃れるため、ハイステップから鉄鉱石を密輸している」
「は? それは本当か?」
アルタンは頷く。彼女の目を見れば、それが嘘ではないのは明らかだ。
「ハイステップの鉱山は密輸用の鉄鉱石を狙った盗賊が増えていて、運び出す際の手荒な運搬方法で近隣の生活や農作物にも悪影響が出ている。おかげで八つの部族からなるハイステップは内紛寸前だ」
アルタンは拳で机を叩いた。
「この国は社交シーズンには王都に貴族が集まると聞いた。このシーズン中に犯人を見つけ出し、密輸の証拠を手に入れて、オーバーランド国王と取引がしたい。だから、ルーズ、お前が貴族なら、犯人探しに協力してくれ」
ルイス王子は犯人が誰かはすぐにピンときた。鉄鉱石が必要で、懐も潤っていて、そんな事しそうな貴族といえばあいつしかいない。
自分の婚約は思った以上に価値があるかもしれないと思った。
♢
王宮のパーティーで、ルイーザ王女が貴族男性に自ら話し掛けに行った。
行き遅れの王女が、待つ事をやめて自ら男に声を掛けに行ったと、ひそひそと壁際から聞こえてくる。そして、更なる陰口の種となったのは、ルイーザ王女が話しかけた相手だ。その男性は、サイズの合わない丈の短い燕尾服を着た赤毛の青年だった。
「ウェリントン子爵子息、ご足労頂きありがとうございます」
「ルイーザ王女にご挨拶申し上げます。お手紙をくださりありがとうございました」
「さあ、こちらへ」
ルイーザ王女はシルビアの兄ジルベールを連れてホールをさっさと出て行った。
二人の姿が消えた瞬間、パーティーはウェリントン家のジルベールとルイーザ王女の話しで持ちきりとなった。
「見ました、あの格好? さすがウェリントン家ね」
「そんな事言ったら可哀想よ。あれでも精一杯見繕って来たのでしょうし」
「行き遅れると、王女といえど嫁ぎ先はあんな所になるのね。おーこわっ」
全ては聞かずに済んだが、どちらにせよ陰口など聞こえようが聞こえまいが、二人の堂々とした態度は変わらない。ルイーザ王女とジルベールは終始穏やかな会話を交わしながら廊下を歩き、応接室に入って行った。
すでに先客が、室内のソファで足を組んで座って待っている。
「お待たせいたしました、バラド国王陛下」
「俺を待たせていいのはお前だけだ、ルイーザ」
安酒場に貴族が居るわけがないので、中に入ってしまえばある程度は安心だ。店内に入るとフードを降ろして店中をくまなく見回す。だがアルタンの姿はない。
目立たない店の奥の席に座り、ビールを頼む。酔っぱらってしまわないよう、少しづつ飲みながら、彼女が現れるように祈った。
「やっと来たな、ルーズ」
むさ苦しい男だらけの酒場で、女性の声と香りが背中からした。ルイス王子は嬉しさを抑えきれず喜色満面で振り返る。そこには会いたくてしかたなかった彼女がいた。
「アルタン! なかなか来れず、すまなかった。お詫びに一杯おごるよ」
「あたりまえだ。おーいおやじ、ビールを大きいジョッキで」
アルタンは大声を張り上げてカウンターにいた店主に酒を頼んだ。相変わらず豪快で、やはり一緒にいると笑ってしまい、心地良く、気持ちが晴れる。
「じゃあ、再会を祝して、カンパーイ!」
アルタンの乾杯の音頭で、ジョッキをカチンと合わせた。
「気になってるんだけど、アルタンは一体何の商談で来てるの?」
「言わないっていっただろ」
「手伝えることもあるかもしれないじゃないか」
「ないね」
アルタンはルイスを見ながら笑った。ルイスもつられて笑う。
「私はだいぶ軽く見られてるんだな」
「そうじゃない。危険なんだ」
「アルタンは危険が似合う」
「だろ」
ルイス王子はアルタンに軽くあしらわれても、このやり取りだけで楽しかった。彼女は自分をポジティブに変えてくれる存在だ。ソウルメイトだと信じたい。
彼女がこの国を離れるまでに、沢山彼女と話して、関わって、彼女との絆を確実なものにしたい。
彼女との時間は自分をより良い人間に変えてくれる予感がする。
「なあルーズ、お前、なんかあったか?」
「え?」
「お前は顔に出る。聞いてやるから言え」
ルイス王子は、やはりアルタンは自分のソウルメイトに違いないと思った。出会ったばかりだが、彼女になら何でも話せる。
「婚約をしようと思っている」
アルタンはジョッキを口元で止めた。そして、珍しく物静かに祝ってくれた。
「おめでとう」
ルイス王子はその言葉に鼻で笑う。アルタンはもちろんムッとした顔をする。
「人が祝ってやってるのにその態度は感じ悪いな、お前」
「ああ、ごめん。そうじゃないんだ。本当は婚約なんてしたくない」
「なら、しなきゃいい」
「そうもいかない。私がその相手と婚約しないと、兄が大切な人と結婚出来ない」
「意味不明だな、お前の国は。弟が婚約しないと兄は結婚出来ないのか???」
「この国の決まりじゃないよ。私だけの特別な事情だ」
「お前も色々背負ってるんだな」
「いや、背負ってるのは兄だ」
「ふーん……」
アルタンはビールを飲みながら何かを考えていて、しばらく沈黙が続いた。
ルイス王子がやっとアルタンと目が合ったと思えば、彼女の表情はいつになく真剣だった。
「ルーズはもしかして貴族か?」
「え?」
「特別な事情がある結婚なんて、平民ではなさそうだ」
「ああ……まあ、こんなところで大きくは言えないが、貴族みたいなものかな」
アルタンはビールを一気に飲み干し、ジョッキをテーブルの上にダンッと力強く置いた。
「じゃあ、私の手伝いをしろ」
「え?」
「ついて来い」
アルタンは立ち上がり、二階の宿屋に向かった。ルイス王子も慌ててアルタンの後を追う。
アルタンは二階ですでに宿代を払っており、鍵を受け取っていた。
「アルタン、今夜は私は泊まれない」
「いいから来い」
アルタンはルイス王子の手を掴み、部屋まで引っ張って行く。そして部屋の中に入ると、ルイス王子を椅子に座らせて、自分も対面に座った。
「いいか、ルーズ、商談に来たと言ったのはだいぶ濁した言い方だ。本当の目的は、証拠を見つけ、このオーバーランドの国王に取引を持ち掛ける為に来た」
「証拠? 取引??」
「この国の腐った貴族が、輸入にかかる関税から逃れるため、ハイステップから鉄鉱石を密輸している」
「は? それは本当か?」
アルタンは頷く。彼女の目を見れば、それが嘘ではないのは明らかだ。
「ハイステップの鉱山は密輸用の鉄鉱石を狙った盗賊が増えていて、運び出す際の手荒な運搬方法で近隣の生活や農作物にも悪影響が出ている。おかげで八つの部族からなるハイステップは内紛寸前だ」
アルタンは拳で机を叩いた。
「この国は社交シーズンには王都に貴族が集まると聞いた。このシーズン中に犯人を見つけ出し、密輸の証拠を手に入れて、オーバーランド国王と取引がしたい。だから、ルーズ、お前が貴族なら、犯人探しに協力してくれ」
ルイス王子は犯人が誰かはすぐにピンときた。鉄鉱石が必要で、懐も潤っていて、そんな事しそうな貴族といえばあいつしかいない。
自分の婚約は思った以上に価値があるかもしれないと思った。
♢
王宮のパーティーで、ルイーザ王女が貴族男性に自ら話し掛けに行った。
行き遅れの王女が、待つ事をやめて自ら男に声を掛けに行ったと、ひそひそと壁際から聞こえてくる。そして、更なる陰口の種となったのは、ルイーザ王女が話しかけた相手だ。その男性は、サイズの合わない丈の短い燕尾服を着た赤毛の青年だった。
「ウェリントン子爵子息、ご足労頂きありがとうございます」
「ルイーザ王女にご挨拶申し上げます。お手紙をくださりありがとうございました」
「さあ、こちらへ」
ルイーザ王女はシルビアの兄ジルベールを連れてホールをさっさと出て行った。
二人の姿が消えた瞬間、パーティーはウェリントン家のジルベールとルイーザ王女の話しで持ちきりとなった。
「見ました、あの格好? さすがウェリントン家ね」
「そんな事言ったら可哀想よ。あれでも精一杯見繕って来たのでしょうし」
「行き遅れると、王女といえど嫁ぎ先はあんな所になるのね。おーこわっ」
全ては聞かずに済んだが、どちらにせよ陰口など聞こえようが聞こえまいが、二人の堂々とした態度は変わらない。ルイーザ王女とジルベールは終始穏やかな会話を交わしながら廊下を歩き、応接室に入って行った。
すでに先客が、室内のソファで足を組んで座って待っている。
「お待たせいたしました、バラド国王陛下」
「俺を待たせていいのはお前だけだ、ルイーザ」
504
お気に入りに追加
1,403
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。

悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる