【R18】童貞狩り

にゃんこう

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第一話 童貞を知る女性 前編

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 セックスに飽きたわけじゃないくて、パターン化してきているセックスにわたしは飽きを感じているんだと思う。瞼を閉じればキスがくる。首を傾ければ首筋に舌先が走る。腰を浮かせれば下着を脱がされ、膝を上げれば挿入される。正常位で始まり正常位で終わる。体位の順番すらもパターン化してきている。

 メトロノームみたいな一定リズムで痺れるような刺激が身体をめぐる。彼らの目が細くなるとそろそろ終わりの合図。膣内で感じる温かい精液。そして彼らは満足そうに息を吐く。

 気持ちよくないわけではないが、わたしの快楽に満足感が欠如している。身体は満足していても心が満たされない。よく『セックスに愛を感じない』と言っている人がいるが、多分わたしの場合は違う。わたしは愛の感じないセックスも好き。でも。

『なにかが足りない』

 経験豊富な人やAVにも出演していたテクニシャン、様々な人達と行為に及んだが、それでもわたしの心が満たされることはなかった。かといって手足拘束目隠しや首絞め、青姦みたいな特殊なプレイを求めているわけではない。この心にぽっかり空いた穴の正体を掴めないまま、今日もわたしはセックスをくり返す。


♢♢


 市役所に勤めるわたしは、いわゆる典型的なお堅い役人だった。
笑顔が足りないと何度も上司に注意されたし、『お前には人の心がないのか。ロボットみたいなやつめ』と市民からクレームが入ったこともある。お役所仕事はサービス業であると言う輩がいるが、そいつは役所を知らないやつか、直接的に市民の対応をしていない管理職の言葉だ。とにかくストレスの溜まる仕事で、そんなわたしのストレス解消方法がセックスだった。

「え、今日ですか?」

 定時になる寸前で、4月に採用されたばかりの新規採用職員の男の子に飲みに誘われた。唐突過ぎる誘いに戸惑いながら、わたしは首を縦にふる。彼は嬉しそうにピックアップしたお店を見せて、わたしをエスコートしてくれた。職場の最寄駅から3駅ほど先にある大衆居酒屋、そこでわたしと彼はビールで乾杯をして夜が更けるまで飲み続けた。

 そのあとは流れるようにホテルに直行した。別に誘ったわけでもなく誘われたわけでもない。男女が終電を逃して酒を飲み、明日が休みならばそういう雰囲気が出来上がってしまうもの。あのふわふわした雰囲気は久しぶりだった。冷たい夜風に吹かれながら私たちは近くのラブホテルに入った。そこは比較的に内観が奇麗で、アジアンテイストなホテル。三度くらいお世話になったことのあるホテルだった。

「どうしたの?」

 部屋を選び、中へ入ると、彼はドアの前で立ち尽くしていた。目線をあっちこっち泳がせている。どうみても様子がおかしかった。とりあえず立っていてもあれなのでイスに座ってもらい話を聞くと、どうやら彼は性行為の経験が皆無であるらしい。世間では彼らを『童貞』と呼ぶ。正直、わたしは二桁を超えるほど性行為をしてきたが、童貞を相手にしたことは一度もない。エスコートする側になるのは今回が初めてだった。とりあえずいつもの流れを思いだして、お互い風呂に入り、バスローブ姿でベッドに座る。

 そして彼の方向に身体を向けて瞼を閉じた――が、一向にキスがされない。目を開けると彼は首を傾げていた。

「あ……えっと、キス……」

 彼はあたふたしながらわたしの唇の感触を楽しんだ。震える唇。ぎこちないキス。舌を入れると彼から驚いた声が漏れる。薄暗い部屋に冷房の音とくちゅくちゅと唾液が交わる音が聞こえる。すると彼はキスをしながら私を押し倒した……けれど、ただ押し倒しただけ。わたしが首を傾けても案の定、何もしてこなかった。『いつも』と違うパターンが新鮮で、それが嫌じゃないわたしがいた。むしろ。

「ほらっ、君の好きなようにして」

 そうイジワルを言ってみた。すると彼は戸惑いながらわたしの右胸に手を置いた。しかもバスローブの上から。彼は風船を掴むように優しく揉むが、それも揉むだけ。マッサージをされているみたいで、彼はひたすらそれをくり返す。

 気持ちいいですかとわたしに訊いてくるが、もちろん気持ちよくなんてない。普通の人ならばため息が出てしまうだろう。けれどわたしは興奮していた。必死で頑張っている彼を見ていると、身体が疼き、熱くなる。

「バスローブ、脱ぐね。君も脱いでよ」

 お互い一糸纏わぬ姿で抱き合う。彼の秘部は苦しそうにそそり立ち、わたしの太ももに擦れる。ビクビクッと陸に上がった小魚のように、痙攣を起こしている。

「ね、緊張してる?」

 彼の耳元にそう囁く。彼の心臓の音がわたしの身体にまで響いている。
まだ抱き合っているだけなのに、わたしの陰部は濡れて、透明な液が太ももの裏をつたう。そしてわたしの透明な液は、彼の太ももに滴り落ちる。わたしは唇で彼の耳をはさんでみた。すると彼の秘部は上昇し、一瞬だけわたしの陰部に触れる。

「ん……」

 すぐに離れてしまったが、一瞬触れただけなのに脳にまで刺激が走った。
 あぁ早く挿れてほしい。そう思う反面、このもどかしい時間をもう少し楽しみたいと思っていた。彼はわたしの両肩を掴み、ふたたび押し倒した。ピンと立つ乳首を舌で愛撫し、右手で陰部に手を伸ばした――が。

 私の濡れている陰部にびっくりしたのか、彼は透明な液がついた右手を眺めはじめた。そんなの慣れっこのはずなのに、私は急に恥ずかしくなり、彼の背中に手をまわして身体を寄せた。

「あまりみないで。そんなにまじまじ見られると恥ずかしい。それよりも続き」

 次はわたしが彼の秘部に触れた。するとビクッと身体と秘部が動いた。人差し指で軽く叩いてみる。刺激を与えると彼の腰が引けていく。それを何回かくり返してみると、すこし可笑しくなって笑ってしまった。

「ふふっごめんなさい。ちゃんとしてあげるから」

 傷つけないように、痛めつけないように、秘部を握る。そしてゆっくり上下に動かし始めると――どぴゅ。

「あ、えっ、もう出しちゃったの!?」

 大量の精液がわたしのお腹に発射された。そう指摘されたことが恥ずかしかったのか、彼はわたしの身体に密着させて、顔を合わせないように枕に顔をうずめる。わたしの身体と彼の身体のあいだにある精液がぷちゅっと音を立てる。気持ちを昂らせるえっちな音だ。

「ふふっ可愛い。ごめんごめん、いじわるなこと言って。でもすぐに元気になったね。続きできる?」

 彼の秘部は射精したことを忘れたみたいにそそり立つ。

「わたしも一回だけ、イカせて」

 そう告げて、彼の手首を掴み、自身の陰部に寄せた。
 彼は身体を起こしてわたしの陰部の前に座りなおす。顔を近づけて陰部を眺め、触ったり舐めたりする。ぎこちない舌の動きに触れてほしいところに触れないそのもどかしさが、わたしをより興奮させる。

「違う、もっと上のほう、あ、あっ、そこ、うん、人差し指で押して」

 彼の指がわたしの陰部に掻きまわし、じゅぶじゅぶ音を鳴らして膣内へ侵入する。指示して触ってもらうのがこんなに興奮するなんて思ってもなかった。彼は不規則なリズムで、わたしの指示したところを押す。たった6回。わたしは簡単にイッてしまった。

「はぁはぁ……なにこれ」

 自分自身でも分からない感覚。こんな簡単にイッてしまうのは初めてだった。彼の秘部を入れたら、わたしはどうなってしまうのだろうか。未知なる性体験に自我を失いそうになる。わたしがイッた直後、彼はゴムをつけて、私の陰部に秘部を押し当てる。ぺちぺちと先端を陰部に擦らせて焦らす。それだけでも、もう一回イッてしまいそうになった。もはや声を我慢するのは無理である。

「優しく挿れ―――ああっ!」

 たぶん滑ってしまったのだろう。押し当てていた彼の秘部は、ずぶぶぶっと勢いよく私の膣内へ入っていった。太ももの裏と股関節、背中に電気が走ったみたいに痺れる。一瞬、視界がぼやけたのはきっと意識が飛びかけたのだ。

「っちょっと、待って、あ、だめっ――」

 思わず止めてしまったが、童貞が止まるはずがなかった。彼はぎこちなく一心不乱に腰を振り、わたしに刺激を与え続ける。ヘソの下あたりまで彼の秘部は届いていた。動くたびに痺れる。脳が痺れていく。

「んん、激しっ、あっだめだめだめ、また、イッ―――あっ」

 今まで経験したことがないくらい深くイッてしまった。イッたと同時に身体がのけ反る。口が緩んでしまいだらしなく口が開く――が。

「はぇ、え、まっ、いまっ、あ、イッたから、やめ――」

 二回目だからだろう、彼はまだ絶頂をむかえず腰を振り続けていた。声をかけても初体験の快楽に夢中になって聞こえやしない。

「んぐっ―――はぁはぁ、あ、あ、あ、あ、だめだめまたイ―――ああっ」

 わたしが3回イった後に、わたしの膣内に温いものが膨れているのを感じた。
彼は息を切らして秘部を抜いた。ゴムの中には二回目とは思えないくらい大量の精液がたっぷり入っていた。わたしは少しの間、天井を見上げて放心状態になっていた。一回の行為で、こんなにイッたことは一度だってない。しかも彼は上手とは言えない。ときどき動きが止まったり、抜けたりもしていた。それでも、わたしが三回もイカされたのは事実だ。

「はぁはっ……え、もう一回!? しかも次はバックで!?」

 わたしが驚いた声をあげると、彼の秘部は返事をするようにそそり立った。
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