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File03. 消えた目撃者
02. 女性の依頼
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九尾事件から1週間が過ぎた。俺は未だに廉の顔をまともに見ることができずにいた。
そんなある朝、スマホに廉からショートメッセージが届いた。
「今日、一緒に遊ばないか?」
その一文に、少し迷ったが結局「いいよ」と返してしまった。そして今、俺たちは街のゲームセンターに来ている。けれど――
(ダメだ。遊ぶって言ってんのに、頭の中がピンクのことでいっぱいだ。これって俺の脳内が汚れてるってことなのか!?)
俺は廉の顔を見ないように必死で視線を泳がせるが、どうしても昨夜の出来事が頭をよぎる。気まずさに耐えられなくなり、思わず足を止めた。
「おい、どうした?」
「ふえっ!?!」
突然声をかけられ、間抜けな声が出てしまう。慌てて振り返ると、廉が不思議そうに首を傾げていた。その無防備な笑顔に、なぜか胸がざわつく。
「何かあったのか?」
「な、何でもねぇよ!」
顔が熱くなるのを感じながら、俺は強引に話を切り上げようとする。
「そ、そうだ!ほら、あのクレーンゲームやろうぜ!」
「お前、急にテンション変わるな。まあいいけど。」
廉は少し笑いながら、俺に続いてクレーンゲームの前に立つ。
(駄目だ……このままだと俺、絶対変になる。)
廉は本当に器用だ。機械にコインを入れたと思ったら、ものの数秒でぬいぐるみを掴み上げた。大きなクマのぬいぐるみを手に取ると、俺に向かって差し出してきた。
「ほら、やるよ。」
「お、おう。ありがとう。お前、そういうの得意だよな。」
思わず受け取りながら、俺はにやけてしまう。
(ちょっと待て!ここで喜んだら完全にデートじゃないか!?いやいや、違う!俺たちはあくまで“親友”なんだから!)
心の中で必死に言い聞かせながらも、楽しさで胸が弾むのを止められない。バッティングセンターで熱中し、射撃のゲームで競い合い、遊び尽くした俺たちはカフェで一息つくことにした。
「少し休むか。」
「ああ、俺はレモンティーにする。」
「俺はブラックコーヒーで。」
店員に注文を終えると、俺は自然と九尾事件の話を切り出していた。
「そっか……色々ありがとうな。」
「まぁ、貸しにしておいてやる。」
「わかったよ。このシャーロック・ホームズ、今度ワトソン君に何か奢りますって!」
そんな軽口を叩き合いながら笑っていると、後ろから女性の声がした。
「あの、すみません。」
「えっ、あ……もしかしてうるさかったですか?」
「あ、いえ、そうじゃなくて……もしかして探偵さんですか?」
恐る恐る女性が聞いてきたので、俺は立ち上がって自信満々に答えた。
恐る恐る女性が口を開いたので、俺は勢いよく立ち上がり、自信満々に答えた。
「はい!令和のシャーロック・ホームズと呼ばれた俺になんなりとお任せを!」
「その『令和のシャーロック』って言ってるの、お前だけだろ。」
「なんだと!?」
俺の軽口に冷静に突っ込む廉。そのやり取りに、女性は少し驚きながらも言葉を続けた。
「あの……実は、お願いしたいことがありまして。でも、もちろん報酬はお支払いします。」
彼女が申し訳なさそうに言うのを見て、俺たちは顔を見合わせ、同時に頷いて答えた。
「別に報酬なんていりませんよ。俺たち、ただの高校生ですし。」
「そうそう、善意でやってますから。」
「……ありがとうございます。」
女性はほっとしたように微笑んだ。
俺達は女性を席に座らせて話を聞くことにした。
「私、宮城ゆうといいます。依頼したいのは、10年前に誘拐された息子を探してほしいんです。」
俺たち、あまりの依頼難易度の高さに息を飲み込んだ。
そんなある朝、スマホに廉からショートメッセージが届いた。
「今日、一緒に遊ばないか?」
その一文に、少し迷ったが結局「いいよ」と返してしまった。そして今、俺たちは街のゲームセンターに来ている。けれど――
(ダメだ。遊ぶって言ってんのに、頭の中がピンクのことでいっぱいだ。これって俺の脳内が汚れてるってことなのか!?)
俺は廉の顔を見ないように必死で視線を泳がせるが、どうしても昨夜の出来事が頭をよぎる。気まずさに耐えられなくなり、思わず足を止めた。
「おい、どうした?」
「ふえっ!?!」
突然声をかけられ、間抜けな声が出てしまう。慌てて振り返ると、廉が不思議そうに首を傾げていた。その無防備な笑顔に、なぜか胸がざわつく。
「何かあったのか?」
「な、何でもねぇよ!」
顔が熱くなるのを感じながら、俺は強引に話を切り上げようとする。
「そ、そうだ!ほら、あのクレーンゲームやろうぜ!」
「お前、急にテンション変わるな。まあいいけど。」
廉は少し笑いながら、俺に続いてクレーンゲームの前に立つ。
(駄目だ……このままだと俺、絶対変になる。)
廉は本当に器用だ。機械にコインを入れたと思ったら、ものの数秒でぬいぐるみを掴み上げた。大きなクマのぬいぐるみを手に取ると、俺に向かって差し出してきた。
「ほら、やるよ。」
「お、おう。ありがとう。お前、そういうの得意だよな。」
思わず受け取りながら、俺はにやけてしまう。
(ちょっと待て!ここで喜んだら完全にデートじゃないか!?いやいや、違う!俺たちはあくまで“親友”なんだから!)
心の中で必死に言い聞かせながらも、楽しさで胸が弾むのを止められない。バッティングセンターで熱中し、射撃のゲームで競い合い、遊び尽くした俺たちはカフェで一息つくことにした。
「少し休むか。」
「ああ、俺はレモンティーにする。」
「俺はブラックコーヒーで。」
店員に注文を終えると、俺は自然と九尾事件の話を切り出していた。
「そっか……色々ありがとうな。」
「まぁ、貸しにしておいてやる。」
「わかったよ。このシャーロック・ホームズ、今度ワトソン君に何か奢りますって!」
そんな軽口を叩き合いながら笑っていると、後ろから女性の声がした。
「あの、すみません。」
「えっ、あ……もしかしてうるさかったですか?」
「あ、いえ、そうじゃなくて……もしかして探偵さんですか?」
恐る恐る女性が聞いてきたので、俺は立ち上がって自信満々に答えた。
恐る恐る女性が口を開いたので、俺は勢いよく立ち上がり、自信満々に答えた。
「はい!令和のシャーロック・ホームズと呼ばれた俺になんなりとお任せを!」
「その『令和のシャーロック』って言ってるの、お前だけだろ。」
「なんだと!?」
俺の軽口に冷静に突っ込む廉。そのやり取りに、女性は少し驚きながらも言葉を続けた。
「あの……実は、お願いしたいことがありまして。でも、もちろん報酬はお支払いします。」
彼女が申し訳なさそうに言うのを見て、俺たちは顔を見合わせ、同時に頷いて答えた。
「別に報酬なんていりませんよ。俺たち、ただの高校生ですし。」
「そうそう、善意でやってますから。」
「……ありがとうございます。」
女性はほっとしたように微笑んだ。
俺達は女性を席に座らせて話を聞くことにした。
「私、宮城ゆうといいます。依頼したいのは、10年前に誘拐された息子を探してほしいんです。」
俺たち、あまりの依頼難易度の高さに息を飲み込んだ。
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