77 / 108
敗北
2
しおりを挟む
本家での生活が始まった。常に幸田が監視につく、窮屈で退屈な毎日が。
ゲームに負けたからといって、『はい、そうですか』と言って、学業に専念できるわけがない。僕はただ、怠惰に毎日を過ごした。
大学に行けば、そこまでは幸田もついては来ない。講義に出ず、ただプラプラと構内を歩いたり、大学に行ったフリして街に出たりした。
もちろん、病院にも行った。けれど、あの病室には既に別の患者がいて、直貴は退院したと言われた。
幸田に彼らの居場所を何度尋ねても、教えてくれない。
僕はまるで、この世界に生きていないように朦朧とした中に溶けていた。
僕が大学で講義に出ていないことはすぐに幸田を通じてお祖父様に知られ、激怒された。
「お前は、なんのためにわしが大学に戻したと思っとるんじゃ!!」
でも、そんなお祖父様の言葉は何も僕に響かない。あの声じゃなきゃ、僕の心には届かない。
夜になると、屋敷を抜け出して徘徊するようになった。別に目的なんてない。こんなことして、彼らが見つかるとも思ってない。
ただ、無性に人肌が恋しかった。今まで毎日朝から晩まで抱いて、抱かれて……快楽を知った躰が欲望を満たそうと、痛いほどに疼いた。
大学で寄ってくる女の子はたくさんいたし、たまに男にも誘われたけど、そんな奴らにうっかり手でも出して本気になられたら厄介だからね。
二丁目に行き、僕はクラブやバーを毎晩渡り歩いた。そこには、一晩限りのアバンチュールを求めてるのが、たくさんいるからね。
僕が扉に入ると、見定めるような視線が集中するのを感じる。遠くから眺めてるやつ、ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべるやつ、口笛を鳴らすやつ、すぐに歩み寄って誘いをかけるやつ……
「なぁ、見ない顔だけど、ここ初めてなのか? 優しくしてやるぜ……」
どれも目的はシンプルで、清々しいくらいだ。
一晩限りって言ったって、躰を合わせるなら顔がいい方がいいに決まってる。僕は、よりどりみどりの中から自分好みの男を選んで、誘いにのった。
男が四つん這いになった僕の腰を掴み、力任せに後ろから突き上げる。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……気持ちいいだろ……恥ずかしがらずに、声出せよ……ハァッ、ハァッ」
ぜんっぜん気持ちよくないし、声も出ないんですけど? 自分が上手いと思ってんの? バッカじゃない……力任せに突くなら勝太の方がよっぽど上手いし、長いよ。
「ハァッ……早く、出して……」
ったく、早く終わらせてよ。
「ハァッ、ハァッ……ぁ、ぁああ、出る……」
薄いゴム越しに熱を感じた瞬間、引き抜いた。素早くトランクスを手に取り、着替え始める。
「じゃね! もう二度と会うことはないけど!」
こんなことしたって、心が満たされないって分かってる。でも、どうやって大きく空いてしまった心の穴を埋めればいいのか、僕には分からなかった。
ゲームに負けたからといって、『はい、そうですか』と言って、学業に専念できるわけがない。僕はただ、怠惰に毎日を過ごした。
大学に行けば、そこまでは幸田もついては来ない。講義に出ず、ただプラプラと構内を歩いたり、大学に行ったフリして街に出たりした。
もちろん、病院にも行った。けれど、あの病室には既に別の患者がいて、直貴は退院したと言われた。
幸田に彼らの居場所を何度尋ねても、教えてくれない。
僕はまるで、この世界に生きていないように朦朧とした中に溶けていた。
僕が大学で講義に出ていないことはすぐに幸田を通じてお祖父様に知られ、激怒された。
「お前は、なんのためにわしが大学に戻したと思っとるんじゃ!!」
でも、そんなお祖父様の言葉は何も僕に響かない。あの声じゃなきゃ、僕の心には届かない。
夜になると、屋敷を抜け出して徘徊するようになった。別に目的なんてない。こんなことして、彼らが見つかるとも思ってない。
ただ、無性に人肌が恋しかった。今まで毎日朝から晩まで抱いて、抱かれて……快楽を知った躰が欲望を満たそうと、痛いほどに疼いた。
大学で寄ってくる女の子はたくさんいたし、たまに男にも誘われたけど、そんな奴らにうっかり手でも出して本気になられたら厄介だからね。
二丁目に行き、僕はクラブやバーを毎晩渡り歩いた。そこには、一晩限りのアバンチュールを求めてるのが、たくさんいるからね。
僕が扉に入ると、見定めるような視線が集中するのを感じる。遠くから眺めてるやつ、ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべるやつ、口笛を鳴らすやつ、すぐに歩み寄って誘いをかけるやつ……
「なぁ、見ない顔だけど、ここ初めてなのか? 優しくしてやるぜ……」
どれも目的はシンプルで、清々しいくらいだ。
一晩限りって言ったって、躰を合わせるなら顔がいい方がいいに決まってる。僕は、よりどりみどりの中から自分好みの男を選んで、誘いにのった。
男が四つん這いになった僕の腰を掴み、力任せに後ろから突き上げる。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……気持ちいいだろ……恥ずかしがらずに、声出せよ……ハァッ、ハァッ」
ぜんっぜん気持ちよくないし、声も出ないんですけど? 自分が上手いと思ってんの? バッカじゃない……力任せに突くなら勝太の方がよっぽど上手いし、長いよ。
「ハァッ……早く、出して……」
ったく、早く終わらせてよ。
「ハァッ、ハァッ……ぁ、ぁああ、出る……」
薄いゴム越しに熱を感じた瞬間、引き抜いた。素早くトランクスを手に取り、着替え始める。
「じゃね! もう二度と会うことはないけど!」
こんなことしたって、心が満たされないって分かってる。でも、どうやって大きく空いてしまった心の穴を埋めればいいのか、僕には分からなかった。
0
お気に入りに追加
446
あなたにおすすめの小説
イケメン幼馴染に執着されるSub
ひな
BL
normalだと思ってた俺がまさかの…
支配されたくない 俺がSubなんかじゃない
逃げたい 愛されたくない
こんなの俺じゃない。
(作品名が長いのでイケしゅーって略していただいてOKです。)
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
大親友に監禁される話
だいたい石田
BL
孝之が大親友の正人の家にお泊りにいくことになった。
目覚めるとそこは大型犬用の檻だった。
R描写はありません。
トイレでないところで小用をするシーンがあります。
※この作品はピクシブにて別名義にて投稿した小説を手直ししたものです。
召喚された美人サラリーマンは性欲悪魔兄弟達にイカされる
KUMA
BL
朱刃音碧(あかばねあおい)30歳。
ある有名な大人の玩具の開発部門で、働くサラリーマン。
ある日暇をモテ余す悪魔達に、逆召喚され混乱する余裕もなく悪魔達にセックスされる。
性欲悪魔(8人攻め)×人間
エロいリーマンに悪魔達は釘付け…『お前は俺達のもの。』
潜入した僕、専属メイドとしてラブラブセックスしまくる話
ずー子
BL
敵陣にスパイ潜入した美少年がそのままボスに気に入られて女装でラブラブセックスしまくる話です。冒頭とエピローグだけ載せました。
悪のイケオジ×スパイ美少年。魔王×勇者がお好きな方は多分好きだと思います。女装シーン書くのとっても楽しかったです。可愛い男の娘、最強。
本編気になる方はPixivのページをチェックしてみてくださいませ!
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21381209
【BL】SNSで人気の訳あり超絶イケメン大学生、前立腺を子宮化され、堕ちる?【R18】
NichePorn
BL
スーパーダーリンに犯される超絶イケメン男子大学生
SNSを開設すれば即10万人フォロワー。
町を歩けばスカウトの嵐。
超絶イケメンなルックスながらどこか抜けた可愛らしい性格で多くの人々を魅了してきた恋司(れんじ)。
そんな人生を謳歌していそうな彼にも、児童保護施設で育った暗い過去や両親の離婚、SNS依存などといった訳ありな点があった。
愛情に飢え、性に奔放になっていく彼は、就活先で出会った世界規模の名門製薬会社の御曹司に手を出してしまい・・・。
【R-18】♡喘ぎ詰め合わせ♥あほえろ短編集
夜井
BL
完結済みの短編エロのみを公開していきます。
現在公開中の作品(随時更新)
『異世界転生したら、激太触手に犯されて即堕ちしちゃった話♥』
異種姦・産卵・大量中出し・即堕ち・二輪挿し・フェラ/イラマ・ごっくん・乳首責め・結腸責め・尿道責め・トコロテン・小スカ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる