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4人それぞれの部屋を与えたものの、みんな自分の部屋に帰ることはなかった。僕は、入れ替わり立ち替わり交替する4人それぞれとの濃密な時間を心ゆくまで愉しんだ。
けれど、それは危険な遊びでもあった。
不思議なことに、直は直貴と同じように、自分以外の人格の存在を知らなかった。勝太やロイヤル、ダリアは直のことを知っているのに、なぜか直は知らないのだ。
それに、現れていない間の記憶もなかった。僕が考えられる理由は、直は直貴の身代わりとして生まれた分身のようなものだから、直貴に一番近いのかもしれないということだった。 だから、勝太やロイヤル、ダリアとの戯れを悟られないようにしていた。
いつでも僕を独占したい勝太とロイヤルの仲裁役として、ダリアはなんとか4人が僕との時間を平等に持てるように説得してくれていた。
それでも、優しいダリアは押し切られてしまうこともあり、その均衡は以前のように崩れつつあった。
この世界が、大きく揺らぎ始めていた。勝太とロイヤルの独占欲は日増しに高くなっていった。
勝太は僕の全身に噛み跡をつけるようになり、ロイヤルは真っ赤なキスマークによって所有の印を残す。肌が白いこともあり、それはより鮮明に浮き上がって見えた。
そして、また以前のように人格の交替が頻繁に起こるようになっていた。
ある晩、勝太とロイヤル交互に激しく責められ、失神して意識を失っていた僕は、異様な雰囲気を感じて泥のようにべったりと張り付く重い意識をゆっくりと持ち上げた。瞼が次第に開かれ、僕のすぐ横で半身を起こしている姿が映った。
だ、れ……?
まだぼんやりとした意識の中に揺蕩っていると、震える声が落とされた。
「ごめ……ごめ、なさ……ごめ、なさい…ック」
ぇ。なに?
一気に意識が現実へと戻り、僕はガバッと躰を起こした。
「お母さん、ごめっ……ウッ、ウッ……ごめ、なさ……いい子に、するから……ぶた、ないで……ック」
直、だ……
僕は自身の躰に目線を落とした。何も身に纏っていない裸の僕は、酷い噛み跡とキスマークに全身覆われていた。
ーーそれはまるで、虐待されて出来た痣のように。
直は蒼白になって震えながら頭を両手で覆い、躰を小さくし、肩を大きく上下させて泣いている。
「僕、いい子になるから。お母さんに、迷惑かけないから……ごめ、なさい……ごめ……ウゥッ……」
直に、見られてしまった。
直を、傷つけてしまった。
あんなに、大切に思っていたのに。大事にしようと思ってたのに。
僕が、直の記憶に眠っていた恐怖を蘇らせてしまったんだ。
その事実にショックを受け、僕は直を慰める余裕なんてなかった。震えながら泣き続ける直を前に狼狽し、パニックに陥っていた。
どうしたら……どうしたら、いいの。
「ウッウッ……ごめ、ごめなさ……」
直の震えは次第に大きくなり、躰がドサッとベッドに倒れた。ガクガクと大きく口が開いたまま、痙攣している。口からは泡が出てきて、目が白眼を剥いていた。
固まっていた躰にようやく神経が通い、僕は直を慌てて抱きかかえた。
「直! 直! しっかりして!! なおーーっっ!!」
直はピクピクしていた躰をぐったりさせ、意識を失った。
けれど、それは危険な遊びでもあった。
不思議なことに、直は直貴と同じように、自分以外の人格の存在を知らなかった。勝太やロイヤル、ダリアは直のことを知っているのに、なぜか直は知らないのだ。
それに、現れていない間の記憶もなかった。僕が考えられる理由は、直は直貴の身代わりとして生まれた分身のようなものだから、直貴に一番近いのかもしれないということだった。 だから、勝太やロイヤル、ダリアとの戯れを悟られないようにしていた。
いつでも僕を独占したい勝太とロイヤルの仲裁役として、ダリアはなんとか4人が僕との時間を平等に持てるように説得してくれていた。
それでも、優しいダリアは押し切られてしまうこともあり、その均衡は以前のように崩れつつあった。
この世界が、大きく揺らぎ始めていた。勝太とロイヤルの独占欲は日増しに高くなっていった。
勝太は僕の全身に噛み跡をつけるようになり、ロイヤルは真っ赤なキスマークによって所有の印を残す。肌が白いこともあり、それはより鮮明に浮き上がって見えた。
そして、また以前のように人格の交替が頻繁に起こるようになっていた。
ある晩、勝太とロイヤル交互に激しく責められ、失神して意識を失っていた僕は、異様な雰囲気を感じて泥のようにべったりと張り付く重い意識をゆっくりと持ち上げた。瞼が次第に開かれ、僕のすぐ横で半身を起こしている姿が映った。
だ、れ……?
まだぼんやりとした意識の中に揺蕩っていると、震える声が落とされた。
「ごめ……ごめ、なさ……ごめ、なさい…ック」
ぇ。なに?
一気に意識が現実へと戻り、僕はガバッと躰を起こした。
「お母さん、ごめっ……ウッ、ウッ……ごめ、なさ……いい子に、するから……ぶた、ないで……ック」
直、だ……
僕は自身の躰に目線を落とした。何も身に纏っていない裸の僕は、酷い噛み跡とキスマークに全身覆われていた。
ーーそれはまるで、虐待されて出来た痣のように。
直は蒼白になって震えながら頭を両手で覆い、躰を小さくし、肩を大きく上下させて泣いている。
「僕、いい子になるから。お母さんに、迷惑かけないから……ごめ、なさい……ごめ……ウゥッ……」
直に、見られてしまった。
直を、傷つけてしまった。
あんなに、大切に思っていたのに。大事にしようと思ってたのに。
僕が、直の記憶に眠っていた恐怖を蘇らせてしまったんだ。
その事実にショックを受け、僕は直を慰める余裕なんてなかった。震えながら泣き続ける直を前に狼狽し、パニックに陥っていた。
どうしたら……どうしたら、いいの。
「ウッウッ……ごめ、ごめなさ……」
直の震えは次第に大きくなり、躰がドサッとベッドに倒れた。ガクガクと大きく口が開いたまま、痙攣している。口からは泡が出てきて、目が白眼を剥いていた。
固まっていた躰にようやく神経が通い、僕は直を慌てて抱きかかえた。
「直! 直! しっかりして!! なおーーっっ!!」
直はピクピクしていた躰をぐったりさせ、意識を失った。
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