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覚醒
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「ウッ……ウッ……」
途方に暮れて泣いていると、直の背中がピクッと小さく震えた。
「直……」
ゆっくりと起き上がると、頭を押さえて小さく呻く。
「どうしたんだ、僕は……」
それから、戸惑ったような声が響いた。
「ここは、どこなんだ?」
振り返り、僕を認めて大きく見開かれる目。
「夕、貴……」
直じゃ、なかった。ましてや、創一様でもない。
僕は、信じられない思いでその名前を口にした。
「直、貴……」
ずっと眠っていれば、幸せな夢を見られたのかもしれないのに。
覚醒して、しまったんだね。
「夕貴、これは一体どういうことなんだ?ここはどこなんだ?どうして、君はそ、んな……」
直貴は僕の格好をまじまじと見つめた途端、ハッとし、頭を抱えてブンブンと首を振った。
「う、ウゥゥゥッッ……ハァッ、ハァッ……」
まずい、直貴がパニックを起こしかけてる。
「うわぁぁぁぁぁああああああああっっ!!」
直貴の絶叫が響く。直貴は両手で顔を覆い、ガクンと跪いた。
「また……僕は……君を、犯したのか?」
「違う。違うよ……僕たちは、愛し合ってるんだ」
「愛、し……!?バカを言うな!!僕は、夕貴を愛してない。そんなこと、あるはずない!!」
直貴は僕から後ずさった。
「直貴……もう、罪悪感なんて感じなくていいんだよ?ここには、誰も僕たちの関係を責める人間なんていない。
僕たちは、堂々と愛し合えるんだ」
「やめてくれぇっ!!僕は……夕貴を好きなんかじゃない!!」
直貴は悲鳴をあげ、頭を抱える。
「違う!直貴、僕は知ってるよ。君は僕をずっと愛してた……幼い頃から、ずっと。
その思いを悪だと心の奥底に封じ込め、ずっと秘めてきたんだ。そうでしょう?」
「違う!!違う!!愛してなんかいない!!僕は、父さんとは違う!!母さんを絶対に裏切らない!!
ウッ……男同士の恋愛なんて、ありえない。気持ち悪い。頭が、おかしい……」
直貴の『呪いの言葉』を聞き、僕はグッと喉を詰まらせた。
それでも、直貴に一歩歩み寄る。直貴が、怯えた瞳で僕を見つめる。
「直貴……」
「ハァッ、ハァッ……来るな!俺は、母さんを裏切れない!!お祖父様を裏切れない!!夕貴だって、分かってるはずだ……ハァッ」
「分からない。分からないよ……ねぇ、直貴。忘れたの?君のお母さんは亡くなったんだよ。直貴を縛り付ける枷は、なくなったんだ。
お祖父様だって、僕たちを認めてくれた。この場所を与えてくれたのはお祖父様なんだ。
ここは、僕たちの、僕たちだけの世界なんだ。直貴は僕の全て。君たちがいれば、他には何もいらない」
直貴は、フラッと躰をふらつかせた。目尻から、涙が込み上がっている。
「ック……夕貴に、出会わなければよかった……」
それから、躰を崩して直貴は意識を失った。
僕は直貴の傍に寄ると、彼の横に跪いた。
「ごめんね、直貴。君と、出会って……
君を愛してしまって、ごめんね……」
遠くから、救急車のサイレンの音が近づいてきた。
ーーこの世界が崩壊する音が、聞こえてきた。
途方に暮れて泣いていると、直の背中がピクッと小さく震えた。
「直……」
ゆっくりと起き上がると、頭を押さえて小さく呻く。
「どうしたんだ、僕は……」
それから、戸惑ったような声が響いた。
「ここは、どこなんだ?」
振り返り、僕を認めて大きく見開かれる目。
「夕、貴……」
直じゃ、なかった。ましてや、創一様でもない。
僕は、信じられない思いでその名前を口にした。
「直、貴……」
ずっと眠っていれば、幸せな夢を見られたのかもしれないのに。
覚醒して、しまったんだね。
「夕貴、これは一体どういうことなんだ?ここはどこなんだ?どうして、君はそ、んな……」
直貴は僕の格好をまじまじと見つめた途端、ハッとし、頭を抱えてブンブンと首を振った。
「う、ウゥゥゥッッ……ハァッ、ハァッ……」
まずい、直貴がパニックを起こしかけてる。
「うわぁぁぁぁぁああああああああっっ!!」
直貴の絶叫が響く。直貴は両手で顔を覆い、ガクンと跪いた。
「また……僕は……君を、犯したのか?」
「違う。違うよ……僕たちは、愛し合ってるんだ」
「愛、し……!?バカを言うな!!僕は、夕貴を愛してない。そんなこと、あるはずない!!」
直貴は僕から後ずさった。
「直貴……もう、罪悪感なんて感じなくていいんだよ?ここには、誰も僕たちの関係を責める人間なんていない。
僕たちは、堂々と愛し合えるんだ」
「やめてくれぇっ!!僕は……夕貴を好きなんかじゃない!!」
直貴は悲鳴をあげ、頭を抱える。
「違う!直貴、僕は知ってるよ。君は僕をずっと愛してた……幼い頃から、ずっと。
その思いを悪だと心の奥底に封じ込め、ずっと秘めてきたんだ。そうでしょう?」
「違う!!違う!!愛してなんかいない!!僕は、父さんとは違う!!母さんを絶対に裏切らない!!
ウッ……男同士の恋愛なんて、ありえない。気持ち悪い。頭が、おかしい……」
直貴の『呪いの言葉』を聞き、僕はグッと喉を詰まらせた。
それでも、直貴に一歩歩み寄る。直貴が、怯えた瞳で僕を見つめる。
「直貴……」
「ハァッ、ハァッ……来るな!俺は、母さんを裏切れない!!お祖父様を裏切れない!!夕貴だって、分かってるはずだ……ハァッ」
「分からない。分からないよ……ねぇ、直貴。忘れたの?君のお母さんは亡くなったんだよ。直貴を縛り付ける枷は、なくなったんだ。
お祖父様だって、僕たちを認めてくれた。この場所を与えてくれたのはお祖父様なんだ。
ここは、僕たちの、僕たちだけの世界なんだ。直貴は僕の全て。君たちがいれば、他には何もいらない」
直貴は、フラッと躰をふらつかせた。目尻から、涙が込み上がっている。
「ック……夕貴に、出会わなければよかった……」
それから、躰を崩して直貴は意識を失った。
僕は直貴の傍に寄ると、彼の横に跪いた。
「ごめんね、直貴。君と、出会って……
君を愛してしまって、ごめんね……」
遠くから、救急車のサイレンの音が近づいてきた。
ーーこの世界が崩壊する音が、聞こえてきた。
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