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僕の愛すべき道化師
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静かに扉がノックされ、ダリアが立ち上がった。
「朝ごはんの時間よ」
無造作に明朝磁器の花器に紫陽花を投げ込み、ダリアが扉を開く。
扉の外に置かれたワゴンを引き入れると、香ばしいパンの匂いと食欲をそそるトマトスープの匂いが部屋に充満した。
あくまでベッドから動く意思のない僕のために、ダリアがクッションをたてて僕の半身を起こして座らせる。
その途端、スルッと布団が落ちて何も身に纏っていない上半身が露わになった。
「また裸のままで寝たのね。風邪ひくわよ」
「だって、勝太が着せてくれないんだもん」
腰が立たないからって、後処理は無理やりやらせたけどね。
「勝ちゃんも、仕方ないわねぇ」
ダリアがワゴンから白いナフキンを取り、首に掛けてくれた。赤ちゃんみたいで恥ずかしいけど、ダリアはいたって普通だ。
ダリアがワゴンをベッドの横にぴったりとつける。このワゴンはベッドテーブルも兼ねてるんだ。怠惰な僕のために、用意してくれたみたい。
母親にだって、こんなことされたことないな。あれ、母親ってどんなことをしてくれる人だっけ。
ダリアがクロワッサンを小さくちぎって僕の口元に運び、ミネストローネを口で冷ましてスプーンで掬って飲ませてくれる。
「はい、あーん。うふふ、まるで私たち新婚カップルみたいね」
ダリアが幸せそうに頬を緩めるから、親にエサを与えてもらう雛鳥みたいだと思ってたことは秘密にしておこう。
「ぁ……」
スープをうまく掬いきれず、唇の端から零してしまった。ダリアがすかさず舌を伸ばし、わざと卑猥に見せながら舐め上げる。
「美味しい……」
絡み合う視線に欲情をチラチラと覗かせる。
食事って、どうして性欲を掻き立てるんだろう。人間の欲って、すべて結びついてるみたいだ。
そう思っていたのは、僕だけじゃなかったみたい。
「さぁお勉強もブランチも終わったことだし、エクササイズしましょっ♪」
ダリアはベッドテーブルを押し、僕の躰に体重をかけないようにして伸し掛かってきた。
「夕ちゃんは寝てていいから。好きにさせて」
「うん。ダリアの好きなようにして……」
僕はダリアに身を委ね、瞳を閉じた。
僕に恋矢を突き刺すのは、いったい誰だろう。
そう考えて、自嘲気味に笑った。
いや、僕こそがかたつむりなんだ。
恋矢を突き刺し、僕の元に拘束し、そして彼らの精気を吸い尽くす。
「朝ごはんの時間よ」
無造作に明朝磁器の花器に紫陽花を投げ込み、ダリアが扉を開く。
扉の外に置かれたワゴンを引き入れると、香ばしいパンの匂いと食欲をそそるトマトスープの匂いが部屋に充満した。
あくまでベッドから動く意思のない僕のために、ダリアがクッションをたてて僕の半身を起こして座らせる。
その途端、スルッと布団が落ちて何も身に纏っていない上半身が露わになった。
「また裸のままで寝たのね。風邪ひくわよ」
「だって、勝太が着せてくれないんだもん」
腰が立たないからって、後処理は無理やりやらせたけどね。
「勝ちゃんも、仕方ないわねぇ」
ダリアがワゴンから白いナフキンを取り、首に掛けてくれた。赤ちゃんみたいで恥ずかしいけど、ダリアはいたって普通だ。
ダリアがワゴンをベッドの横にぴったりとつける。このワゴンはベッドテーブルも兼ねてるんだ。怠惰な僕のために、用意してくれたみたい。
母親にだって、こんなことされたことないな。あれ、母親ってどんなことをしてくれる人だっけ。
ダリアがクロワッサンを小さくちぎって僕の口元に運び、ミネストローネを口で冷ましてスプーンで掬って飲ませてくれる。
「はい、あーん。うふふ、まるで私たち新婚カップルみたいね」
ダリアが幸せそうに頬を緩めるから、親にエサを与えてもらう雛鳥みたいだと思ってたことは秘密にしておこう。
「ぁ……」
スープをうまく掬いきれず、唇の端から零してしまった。ダリアがすかさず舌を伸ばし、わざと卑猥に見せながら舐め上げる。
「美味しい……」
絡み合う視線に欲情をチラチラと覗かせる。
食事って、どうして性欲を掻き立てるんだろう。人間の欲って、すべて結びついてるみたいだ。
そう思っていたのは、僕だけじゃなかったみたい。
「さぁお勉強もブランチも終わったことだし、エクササイズしましょっ♪」
ダリアはベッドテーブルを押し、僕の躰に体重をかけないようにして伸し掛かってきた。
「夕ちゃんは寝てていいから。好きにさせて」
「うん。ダリアの好きなようにして……」
僕はダリアに身を委ね、瞳を閉じた。
僕に恋矢を突き刺すのは、いったい誰だろう。
そう考えて、自嘲気味に笑った。
いや、僕こそがかたつむりなんだ。
恋矢を突き刺し、僕の元に拘束し、そして彼らの精気を吸い尽くす。
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