<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

文字の大きさ
上 下
157 / 1,014
焦燥 ー秀一視点ー

しおりを挟む
 秀一はボストンバッグを手に出口に立ち、殺気立った目つきで窓から階段の位置を確認する。扉が開くと同時にホームに降り立ち、急ぎ足で階段へと向かう。転がるように階段を下りると、駐車場へと直結している日本橋口に向かおうとするが、

 あぁ、この時間ではもう無理ですね…

 日本橋口の開口時間は夜7時半まで。もう10時を回っている。引き返し、八重洲北口へと急ぐ。改札をくぐり、駐車場へ。赤いロメオは遠目からでもすぐに分かった。さっと乗り込み、車のエンジンをかけるとナビで羽鳥大和の住所を登録する。

 早く……美姫の元へ……

 大和の住むマンションの前へ車を停める。衆議院議員、羽鳥大蔵の息子とは思えない程、簡素な造りのマンションだ。エントランスには警備員もいなければ、ブザーコードも押すことなく入れてしまう。

 エレベーターに乗り込み、6階を押す。エレベーターの位置を知らせるランプを秀一は苛立ちながら見つめ、拳を硬く握り締めた。手に汗を感じる。

 美姫…どうか、いて下さい……

 エレベーターの案内音が鳴り、扉が開いた。大和の住む603の部屋番号を足早に廊下を歩きながら目で確認すると、インターホンを鳴らす。
 暫くして、内側から鍵の開けられる音と共に大和が顔を覗かせた。その表情は憔悴しきっているように見えた。だが、そんなことを構う余裕など今の秀一にはなかった。ゴクリと生唾を飲み込む。

 「美姫、は?」

 強張った声で尋ねると、大和は視線を扉の閉まっているベッドルームと思わしき部屋へと向けた。

 いるのだ、美姫が……

 昂ぶる気持ちのまま、秀一はベッドルームへと駆け出した。

 「美姫!!!」

 部屋の扉を開くと、美姫はベッドに横たわっていた。衣服は着ているが……何かがおかしい。

 「美、姫……?」

 秀一は、ゆっくりと美姫に近付いていった。

 「ハァッハァッ…しゅハァ…いち…ハァッ、ハァ…さ…ハァッ、ハァッ…」

 美姫の乱れた呼吸とともに呼びかけられ、秀一の背中がゾクッとする。歩み寄るに連れて、美姫の表情が次第にくっきりと見えてきた。苦しそうに荒く呼吸し、顔を真っ赤にし、尋常じゃない程の汗を流し、躰が小刻みに震えている。
 秀一の顔を見て安心したように笑顔を見せようとするが、それも苦しげで見ていて胸が痛んだ。美姫の頬を優しく包み込むと、それだけでビクリッと震えた。

 「も、しや……」

 薬を……盛られたのですね。

 燃え上がるような怒りが嵐のように唸りを上げて秀一の胸の中に渦巻く。

 許、さない……許さない、許さない許さない許さない……私の、愛しい美姫に……
 あの男が誰の逆鱗に触れたのか……はっきりと思い知らせなければ……

 「ハァッ、ハァッ…しゅハァ…いちハァッ、ハァッ、ハァッ…さんハァ…」

 美姫の呼びかけに、秀一がハッとする。

 まずは、美姫を連れて帰らねば……

 「さ、美姫、もう大丈夫ですよ。家へ帰りましょう」

 美姫の背中に手を回し抱きかかえようとする。が、美姫は瞳をギュッと閉じて躰を硬直させた。

 「ハァッ、ハァ…い...…ハァッ、や……ハァッ、ハァッ…」

 美姫の弱々しい拒否の言葉が響いた。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

義妹のミルク

笹椰かな
恋愛
※男性向けの内容です。女性が読むと不快になる可能性がありますのでご注意ください。 母乳フェチの男が義妹のミルクを飲むだけの話。 普段から母乳が出て、さらには性的に興奮すると母乳を噴き出す女の子がヒロインです。 本番はありません。両片想い設定です。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...