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嫉妬と独占欲 ー秀一視点ー
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美姫と初めて躰を重ねた日。それまで曖昧だった薄暗い疑念の靄が、美姫の驚愕する瞳によって拭い去られた。
美姫の純潔が他の男によって穢されたことを知り、狂おしい程の嫉妬に身を任せ、美姫を傷付け、壊してしまいそうになった。
私が甘かったのだ。どこかに疑念を抱きながらも、美姫がいつまでも少女で、私だけを見ていてくれるものだと思っていた。美姫が他の男と付き合っていることを知っていてさえも……美姫だけは他の女とは違う、そう、偶像崇拝していたのかもしれない。
彼女もまた、嫉妬や妬み、対抗心をもつ一少女だったのだ。それも……脆く、危うく揺れる、少女から女へと変貌する思春期の……
私は信用のおける情報屋を雇い、美姫の高校時代に交際していた相手を調べさせた。
羽鳥 大和。羽鳥大蔵衆議院議員の三男。現在、青海学園大学国際政治経済学部、二年。成績優秀、スポーツ万能。明朗活発で誠実。誰からも好かれている。幼稚舎からの美姫の幼馴染で、高校時代の交際相手。
そして……美姫の純潔を穢した男……
迂闊だった。美姫の近くにあんな男がいたとは……
写真を見た時、そういえば以前、何度か顔を見たことがあったことを思い出した。そして、美姫が幼少の頃から何度もあの男の話題が出ていたことも……
だが私は、ただの幼馴染だと疑いもしなかった。美姫からは、あの男に恋慕の情など微塵も感じられなかったからだ。
美姫の私への想いを逆手に取り、上手く丸め込んだのだとしか思えない。あの爽やかに見せかけた笑顔の裏には、美姫への強い肉欲を秘めていたのだ。......そう思うと、全身が刺々しい殺気に満ちてくる。
今日、サイドミラー越しに美姫を見つめるあの男の目を見た時に本能的に悟った。
まだ、美姫のことを愛しているのだと……
そして、私と美姫が恋人同士であることへの内なる怒りと嫉妬が見て取れた。
私も同時にあの男に美姫を穢された内なる怒りと嫉妬で荒れ狂い、通常の心理状態からは考えられない子供じみた競争心を剥き出しにしてしまった。
あの男は私の宣戦布告を堂々と受け入れた。恋敵としては、申し分のない相手ですね……
美姫が今日私を訪ねてきた時、私は嬉しさと共に大きな不安も心の中に広がった。
美姫は、気づいているのでしょうか……
羽鳥大和に私達の関係を知られ、そのことに相当衝撃を受けているということは……それなりの気持ちを、あの男に持っているということ。
もちろん私への想い程強くはないが、美姫の私への想いに染まる心の、たった一点の墨でさえも拭い去らなければ気が済まない。その墨が滲んで拡がり、美姫の心を占めてしまうようなことなどないように。
『高校時代、貴女と付き合っていた彼氏というのは……羽鳥大和、なのでしょう?』
そう尋ねた私に、美姫は無言で頷いた。
分かっていたものの、美姫から直接確認したことにより、以前よりも更に強く嫉妬を感じずにはいられない。心の奥底から深い闇が這い上がってきて、ドス黒い嫉妬の炎にこの身を焼き尽くされるようだった……
あの男の目……熱の籠もった、真っ直ぐで、曇りなく、ひたすら一途な愛情を灯した目。美姫の心があの男に傾くなど、そんなことは思ってもいないが、心の底からやもしれぬ不安が、ひたひたと影のように迫ってくる。
いつか、何かの拍子にあの男に美姫を奪われる日が来るのではないかと……
美姫……貴女に触れていいのは、私だけ。貴女の心を支配するのは、私だけ。
貴女の心には、私以外の誰も入り込ませなどしません。
美姫の純潔が他の男によって穢されたことを知り、狂おしい程の嫉妬に身を任せ、美姫を傷付け、壊してしまいそうになった。
私が甘かったのだ。どこかに疑念を抱きながらも、美姫がいつまでも少女で、私だけを見ていてくれるものだと思っていた。美姫が他の男と付き合っていることを知っていてさえも……美姫だけは他の女とは違う、そう、偶像崇拝していたのかもしれない。
彼女もまた、嫉妬や妬み、対抗心をもつ一少女だったのだ。それも……脆く、危うく揺れる、少女から女へと変貌する思春期の……
私は信用のおける情報屋を雇い、美姫の高校時代に交際していた相手を調べさせた。
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今日、サイドミラー越しに美姫を見つめるあの男の目を見た時に本能的に悟った。
まだ、美姫のことを愛しているのだと……
そして、私と美姫が恋人同士であることへの内なる怒りと嫉妬が見て取れた。
私も同時にあの男に美姫を穢された内なる怒りと嫉妬で荒れ狂い、通常の心理状態からは考えられない子供じみた競争心を剥き出しにしてしまった。
あの男は私の宣戦布告を堂々と受け入れた。恋敵としては、申し分のない相手ですね……
美姫が今日私を訪ねてきた時、私は嬉しさと共に大きな不安も心の中に広がった。
美姫は、気づいているのでしょうか……
羽鳥大和に私達の関係を知られ、そのことに相当衝撃を受けているということは……それなりの気持ちを、あの男に持っているということ。
もちろん私への想い程強くはないが、美姫の私への想いに染まる心の、たった一点の墨でさえも拭い去らなければ気が済まない。その墨が滲んで拡がり、美姫の心を占めてしまうようなことなどないように。
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そう尋ねた私に、美姫は無言で頷いた。
分かっていたものの、美姫から直接確認したことにより、以前よりも更に強く嫉妬を感じずにはいられない。心の奥底から深い闇が這い上がってきて、ドス黒い嫉妬の炎にこの身を焼き尽くされるようだった……
あの男の目……熱の籠もった、真っ直ぐで、曇りなく、ひたすら一途な愛情を灯した目。美姫の心があの男に傾くなど、そんなことは思ってもいないが、心の底からやもしれぬ不安が、ひたひたと影のように迫ってくる。
いつか、何かの拍子にあの男に美姫を奪われる日が来るのではないかと……
美姫……貴女に触れていいのは、私だけ。貴女の心を支配するのは、私だけ。
貴女の心には、私以外の誰も入り込ませなどしません。
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