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内なる誓い ー秀一過去編ー
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ザックとの共演の打ち合わせが終わり、深夜になってようやく秀一は帰途についた。エレベーターを待ちながら、ザックへの不満を募らせる。
まったくあのお喋りは病気ですね……仕事中ですら、止まることがないのですから。彼にはずっとピアノを弾かせておくべきかもしれません。
エレベーターに乗り込み、ドアが閉まると同時に溜息をつく。
「本当なら今頃……」
美姫は……もう、眠ってしまったのでしょうね。
小気味よい音ともに扉が開くと、ソファで眠る美姫が視界に入った。
「こんなところで……」
リビングのソファに少し横を向いた状態で、美姫は眠りについていた。クローゼットを物色したのか、秀一の白いワイシャツを着て、長い袖を折り返している。ボタンを2つ開けた胸元からは豊かな膨らみが覗き、乱れた裾からはチラリとパンティーが見え、すらりとした長い脚をよりエロティックに見せていた。
これは……誘っているとしか思えませんが……
「美姫、こんなところで寝ていたら風邪をひきますよ」
声をかけるが、起きる気配は一向になさそうだった。
生殺し、ですね……
ハァーッと深く息を吐く。美姫を抱き起こして持ち上げ、ベッドルームへと運んだ。
まぁ私も、今夜は明日に向けて演奏の練習もありますし、美姫に構っている場合ではないのですが……
美姫をベッドへ降ろすと羽毛布団を掛け、柔らかな前髪を手で梳くと覗いた額に接吻を落とした。眠っている美姫の側に腰を下ろし、その安らかな寝顔を見つめていると、ふと、コンサートホールでの別れ際の美姫の様子が浮かび上がってくる。
あの時の美姫の表情……気になりますね。
『明日、美姫は予定はありますか?』
秀一が尋ねた時、美姫は僅かに身体を震わせ、
『は、はい…明日は高校の時の友達と会う予定が……』
高校の時の……まさか、以前付き合っていた男と再会するのか……いや、たとえそうだったとしても、私には美姫を止める権利などない筈だ。
だが……美姫の初めてを奪った男、と考えるだけで嫉妬が胸に渦巻き、美姫を行かせたくない、縛りつけたい欲望に駆られてしまう。
美姫は、私がオーストリアから帰国した際にはもう男とは別れているようでしたが……未だに連絡をとりあったりしているのでしょうか……
まったくあのお喋りは病気ですね……仕事中ですら、止まることがないのですから。彼にはずっとピアノを弾かせておくべきかもしれません。
エレベーターに乗り込み、ドアが閉まると同時に溜息をつく。
「本当なら今頃……」
美姫は……もう、眠ってしまったのでしょうね。
小気味よい音ともに扉が開くと、ソファで眠る美姫が視界に入った。
「こんなところで……」
リビングのソファに少し横を向いた状態で、美姫は眠りについていた。クローゼットを物色したのか、秀一の白いワイシャツを着て、長い袖を折り返している。ボタンを2つ開けた胸元からは豊かな膨らみが覗き、乱れた裾からはチラリとパンティーが見え、すらりとした長い脚をよりエロティックに見せていた。
これは……誘っているとしか思えませんが……
「美姫、こんなところで寝ていたら風邪をひきますよ」
声をかけるが、起きる気配は一向になさそうだった。
生殺し、ですね……
ハァーッと深く息を吐く。美姫を抱き起こして持ち上げ、ベッドルームへと運んだ。
まぁ私も、今夜は明日に向けて演奏の練習もありますし、美姫に構っている場合ではないのですが……
美姫をベッドへ降ろすと羽毛布団を掛け、柔らかな前髪を手で梳くと覗いた額に接吻を落とした。眠っている美姫の側に腰を下ろし、その安らかな寝顔を見つめていると、ふと、コンサートホールでの別れ際の美姫の様子が浮かび上がってくる。
あの時の美姫の表情……気になりますね。
『明日、美姫は予定はありますか?』
秀一が尋ねた時、美姫は僅かに身体を震わせ、
『は、はい…明日は高校の時の友達と会う予定が……』
高校の時の……まさか、以前付き合っていた男と再会するのか……いや、たとえそうだったとしても、私には美姫を止める権利などない筈だ。
だが……美姫の初めてを奪った男、と考えるだけで嫉妬が胸に渦巻き、美姫を行かせたくない、縛りつけたい欲望に駆られてしまう。
美姫は、私がオーストリアから帰国した際にはもう男とは別れているようでしたが……未だに連絡をとりあったりしているのでしょうか……
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