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After Story3 ー怖いぐらいに幸せな……溺愛蜜月旅行❤️ー
DAY1ー33
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「えぇっ、ディナーなら一緒に行こうよ!! あれって、部屋番号でテーブルの場所が決まってるんだっけ? それなら、お願いして一緒のテーブルにしてもらってさぁ」
ザックが名残惜しそうに秀一の腕にしがみつき追い縋った。
「そうよ、そうよぉ。シューイチと過ごすために、私たちこのクルーズを申し込んだのよぉ。一緒にいられなくちゃ、意味がないじゃない」
「私は、美姫とのハネムーンとして来たのであって、貴方たちと過ごすためではありません。邪魔をしないでください」
美姫はふたりに申し訳ないと思いつつも、秀一がはっきりとふたりに言ってくれて嬉しくも感じた。
「えーん、シューイチぃ、つれないこと言わないでよぉ。同じ部屋は諦めるからさぁ、せめて食事ぐらいは一緒にしようよぉ」
「ミキ、あんたベッドではシューイチを独り占めできるんだから、それぐらいいいわよねぇ?」
ドラァグクイーンの迫力ある顔で迫られ、美姫は慄いた。
ザックに掴まれていない方の手で秀一が美姫の手を引き、抱き寄せた。
「ちょっ、秀一さん!」
私、男装してるのにっっ。
けれど、秀一は涼しい顔のまま美姫を抱き締めている。
「私たちが行くのは大衆向けのレストランではなく、別払いの予約制のレストランですので」
「えっ、そうなの!? ねぇねぇ、どこ?僕たちもそこにするよー」
秀一がザックの腕を引き離し、言い放った。
「絶対に教えません」
「わーん、いけずー!!」
『いけず』って、ザック……そんな言葉、どこで覚えたんだろう。
「行きますよ、美姫」
「は、はいっ」
美姫は秀一に手を取られたまま、歩き出した。
男性同士で歩いていることに注目を浴びるのではないかと危惧していたが、じろじろと見られることはなかった。
そっか。世界中から旅行客が集まるクルーズは国も人種も言葉も、そしてセクシュアリティが異なる人がいるから、気にされることはないんだ。
秀一さんとも、叔父と姪でなく、世界的なピアニストと財閥令嬢としてでなく、普通の恋人として過ごせたらいいな……
美姫は繋いだ手に、そんな祈りを込めた。
着替えのために、いったん部屋へと戻る。
「まったく、放っておいたらいつまでもついてくるのですから。油断できませんね」
「フフッ。本当に秀一さん、愛されてますよね」
美姫がクスッと笑うと、秀一に腕を取られてグッと引き寄せられた。
「愛など……貴女からしか、私は欲しくないのに」
秀一の唇が美姫のそれと重なる。ほんのりシャンパンが香る唇は、大人の味がした。秀一から優しく甘やかな接吻を受け、美姫の頬がピンクに染まる。
「秀一さんは、たとえ求めていずとも……世界中に愛される存在です。
でも、私は世界の誰よりも深く秀一さん、貴方を愛しています」
「美姫……貴女は、いつでも私の求める言葉をくださいます」
再びふたりの唇が寄せられた時、電話が鳴った。
「惜しいですね」
秀一が美姫から離れ、電話を取る。
「えぇ……分かりました。伺います」
受話器を置いた秀一が、美姫へと振り向く。
「レストランの予約時間が近づいてますので、支度をしましょうか」
秀一にそう声をかけられ、自分たちが何のためにここに戻ってきたのか思い出した。
「タキシード姿の貴女を乱すのも愉しそうですが……それは、別の機会にとっておきましょうか」
秀一の言葉に、美姫はボッと耳まで赤くなった。
ザックが名残惜しそうに秀一の腕にしがみつき追い縋った。
「そうよ、そうよぉ。シューイチと過ごすために、私たちこのクルーズを申し込んだのよぉ。一緒にいられなくちゃ、意味がないじゃない」
「私は、美姫とのハネムーンとして来たのであって、貴方たちと過ごすためではありません。邪魔をしないでください」
美姫はふたりに申し訳ないと思いつつも、秀一がはっきりとふたりに言ってくれて嬉しくも感じた。
「えーん、シューイチぃ、つれないこと言わないでよぉ。同じ部屋は諦めるからさぁ、せめて食事ぐらいは一緒にしようよぉ」
「ミキ、あんたベッドではシューイチを独り占めできるんだから、それぐらいいいわよねぇ?」
ドラァグクイーンの迫力ある顔で迫られ、美姫は慄いた。
ザックに掴まれていない方の手で秀一が美姫の手を引き、抱き寄せた。
「ちょっ、秀一さん!」
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けれど、秀一は涼しい顔のまま美姫を抱き締めている。
「私たちが行くのは大衆向けのレストランではなく、別払いの予約制のレストランですので」
「えっ、そうなの!? ねぇねぇ、どこ?僕たちもそこにするよー」
秀一がザックの腕を引き離し、言い放った。
「絶対に教えません」
「わーん、いけずー!!」
『いけず』って、ザック……そんな言葉、どこで覚えたんだろう。
「行きますよ、美姫」
「は、はいっ」
美姫は秀一に手を取られたまま、歩き出した。
男性同士で歩いていることに注目を浴びるのではないかと危惧していたが、じろじろと見られることはなかった。
そっか。世界中から旅行客が集まるクルーズは国も人種も言葉も、そしてセクシュアリティが異なる人がいるから、気にされることはないんだ。
秀一さんとも、叔父と姪でなく、世界的なピアニストと財閥令嬢としてでなく、普通の恋人として過ごせたらいいな……
美姫は繋いだ手に、そんな祈りを込めた。
着替えのために、いったん部屋へと戻る。
「まったく、放っておいたらいつまでもついてくるのですから。油断できませんね」
「フフッ。本当に秀一さん、愛されてますよね」
美姫がクスッと笑うと、秀一に腕を取られてグッと引き寄せられた。
「愛など……貴女からしか、私は欲しくないのに」
秀一の唇が美姫のそれと重なる。ほんのりシャンパンが香る唇は、大人の味がした。秀一から優しく甘やかな接吻を受け、美姫の頬がピンクに染まる。
「秀一さんは、たとえ求めていずとも……世界中に愛される存在です。
でも、私は世界の誰よりも深く秀一さん、貴方を愛しています」
「美姫……貴女は、いつでも私の求める言葉をくださいます」
再びふたりの唇が寄せられた時、電話が鳴った。
「惜しいですね」
秀一が美姫から離れ、電話を取る。
「えぇ……分かりました。伺います」
受話器を置いた秀一が、美姫へと振り向く。
「レストランの予約時間が近づいてますので、支度をしましょうか」
秀一にそう声をかけられ、自分たちが何のためにここに戻ってきたのか思い出した。
「タキシード姿の貴女を乱すのも愉しそうですが……それは、別の機会にとっておきましょうか」
秀一の言葉に、美姫はボッと耳まで赤くなった。
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1774mtk
コメントくださり、ありがとうございます。
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どうぞよろしくお願いします。
エブリスタでも読ませて貰ってましたが、こちらに移されたたの事で追いかけてこさせて貰いました‼️ 秀一さま健在ですね(笑)
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みゆっちさん
こちらに追いかけてきてくださり、ありがとうございます。とても嬉しく、大きな励みになります❤️
はい、秀一さま健在ですw
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