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After Story3 ー怖いぐらいに幸せな……溺愛蜜月旅行❤️ー
DAY1ー29
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ーー20分後
美姫は、変貌を遂げた秀一に目が釘付けだった。
漆黒の髪は輝くばかりのブロンドヘアになり、ヘアスタイルも頸が見えるほど短く、柔らかくうねっている。彼が本来もっているライトグレーの魅惑的な瞳の色ともマッチしていた。
そして、唇の上には上品なブロンドの髭がたくわえられており、それが今までの秀一のイメージを一新させていた。
ふたりでロッジへと逃走し、荒んだ生活をしていた頃、伸びきった彼の髭を見たことはあったが、あれとはまったく違う。英国紳士のような風格が漂っていた。
「秀一さん、とっても素敵です。ただ……」
顔を曇らせた美姫に、秀一が顔を寄せた。
「ただ?」
「ッッ……そ、の……オーラが、隠し切れていませんっ! どこかの俳優かセレブリティだって思われて、みんなに注目されちゃいます!!」
そう。変装したところで秀一の溢れんばかりの強いオーラは隠しきれなかった。
秀一が優雅に微笑む。
「美姫も、可愛らしいですよ」
「うーん……可愛いって言われると、複雑な気持ちがするんですが。これ、大丈夫でしょうか?」
美姫が心配したのは、男装しているにもかかわらず、秀一に『可愛い』と言われてしまったからだ。美姫はザックの指示により、彼と同じく上下黒のスーツを着て、短髪の黒いウィッグをつけている。
これではどう見ても女性にしか見えないと、サングラスをかけ、帽子をかぶり、付け髭までしてみたのだが……顔つきだけでなく、華奢でありながらもふくよかな胸やお尻のラインといい、醸し出す雰囲気といい、どう見ても男性には見えなかった。
「付け髭は外します」
どう見ても女性にしか見えないのであれば、付け髭は浮きまくり、かえって人目についてしまう。
「ザックはそのままでいいんですか?」
彼は美姫同様、黒の上下スーツだが、変装している感じがしない。
「ザックは何を着ても大衆に紛れる特技がありますから、大丈夫ですよ」
秀一の言葉に、ザックがムンと頰を膨らませた。
「なにそれっ! 僕が、みんなと違ってオーラがないって言いたいわけぇ? そりゃ、どこにいっても気づかれることはないけどさぁ」
「羨ましいと言っているのですよ、私もそんな風になってみたいです。ねぇ、美姫?」
「ぇ? ぁ、はぁ……」
なんと答えていいのか分からず、美姫は実に微妙な返答をしてしまった。
そんなやりとりの最中《さなか》、
「お・ま・た・せぇ❤️」
ミシェルが現れた。
す、凄い……
美姫は思わず絶句した。
新宿のキャバ嬢どころか中世フランスのマリーアントワネットすら度肝を抜く、巨大ソフトクリームのようなレインボーカラーのウィッグにデコレーションごてごてのアゲアゲ盛り盛りヘア。5センチはあろうかと思われる、瞬きする度に風が吹きそうな超ロングつけ睫毛。京都の芸妓も腰を抜かす、1センチを超える白塗りの厚化粧。そして、魚の鱗のようなショッキングピンクのスパンコールのハイレグビキニにもふもふショールを巻いた彼(もしくは彼女)は、世界最強のドラァグクイーンとなっていた。
「目に毒ですね」
「やぁだ、シューイチったらぁ❗️ 照れるじゃなぁい❤️
あたしのこと、惚れ直しちゃったぁ?」
秀一の意味は『見ると害になるもの』、ミシェルが取った意味は『見ると欲しくなるもの』。
秀一とミシェルの噛み合わない会話が展開される中、美姫はあまりの迫力に、無意識に後ずさっていた。
木を隠すなら森の中。
これほどインパクトのあるミシェルを前にすれば、変装した秀一が注目される心配はなくなるだろう。それに、誰もこのグループに近づこうとはしないに違いない。
だが、果たしてこの作戦がベストな選択であったのか……一抹の不安が、美姫の心を過ぎった。
美姫は、変貌を遂げた秀一に目が釘付けだった。
漆黒の髪は輝くばかりのブロンドヘアになり、ヘアスタイルも頸が見えるほど短く、柔らかくうねっている。彼が本来もっているライトグレーの魅惑的な瞳の色ともマッチしていた。
そして、唇の上には上品なブロンドの髭がたくわえられており、それが今までの秀一のイメージを一新させていた。
ふたりでロッジへと逃走し、荒んだ生活をしていた頃、伸びきった彼の髭を見たことはあったが、あれとはまったく違う。英国紳士のような風格が漂っていた。
「秀一さん、とっても素敵です。ただ……」
顔を曇らせた美姫に、秀一が顔を寄せた。
「ただ?」
「ッッ……そ、の……オーラが、隠し切れていませんっ! どこかの俳優かセレブリティだって思われて、みんなに注目されちゃいます!!」
そう。変装したところで秀一の溢れんばかりの強いオーラは隠しきれなかった。
秀一が優雅に微笑む。
「美姫も、可愛らしいですよ」
「うーん……可愛いって言われると、複雑な気持ちがするんですが。これ、大丈夫でしょうか?」
美姫が心配したのは、男装しているにもかかわらず、秀一に『可愛い』と言われてしまったからだ。美姫はザックの指示により、彼と同じく上下黒のスーツを着て、短髪の黒いウィッグをつけている。
これではどう見ても女性にしか見えないと、サングラスをかけ、帽子をかぶり、付け髭までしてみたのだが……顔つきだけでなく、華奢でありながらもふくよかな胸やお尻のラインといい、醸し出す雰囲気といい、どう見ても男性には見えなかった。
「付け髭は外します」
どう見ても女性にしか見えないのであれば、付け髭は浮きまくり、かえって人目についてしまう。
「ザックはそのままでいいんですか?」
彼は美姫同様、黒の上下スーツだが、変装している感じがしない。
「ザックは何を着ても大衆に紛れる特技がありますから、大丈夫ですよ」
秀一の言葉に、ザックがムンと頰を膨らませた。
「なにそれっ! 僕が、みんなと違ってオーラがないって言いたいわけぇ? そりゃ、どこにいっても気づかれることはないけどさぁ」
「羨ましいと言っているのですよ、私もそんな風になってみたいです。ねぇ、美姫?」
「ぇ? ぁ、はぁ……」
なんと答えていいのか分からず、美姫は実に微妙な返答をしてしまった。
そんなやりとりの最中《さなか》、
「お・ま・た・せぇ❤️」
ミシェルが現れた。
す、凄い……
美姫は思わず絶句した。
新宿のキャバ嬢どころか中世フランスのマリーアントワネットすら度肝を抜く、巨大ソフトクリームのようなレインボーカラーのウィッグにデコレーションごてごてのアゲアゲ盛り盛りヘア。5センチはあろうかと思われる、瞬きする度に風が吹きそうな超ロングつけ睫毛。京都の芸妓も腰を抜かす、1センチを超える白塗りの厚化粧。そして、魚の鱗のようなショッキングピンクのスパンコールのハイレグビキニにもふもふショールを巻いた彼(もしくは彼女)は、世界最強のドラァグクイーンとなっていた。
「目に毒ですね」
「やぁだ、シューイチったらぁ❗️ 照れるじゃなぁい❤️
あたしのこと、惚れ直しちゃったぁ?」
秀一の意味は『見ると害になるもの』、ミシェルが取った意味は『見ると欲しくなるもの』。
秀一とミシェルの噛み合わない会話が展開される中、美姫はあまりの迫力に、無意識に後ずさっていた。
木を隠すなら森の中。
これほどインパクトのあるミシェルを前にすれば、変装した秀一が注目される心配はなくなるだろう。それに、誰もこのグループに近づこうとはしないに違いない。
だが、果たしてこの作戦がベストな選択であったのか……一抹の不安が、美姫の心を過ぎった。
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