<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

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遠い日の約束

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 秀一は、店内を優雅に歩いて回った。美姫はその後ろを遠慮がちについて歩く。

 電気はついていないが、全面硝子張りになっているので外からの街灯の灯りや流れてくる車のヘッドライトの灯りで店内は薄暗さを保っていた。

「ここが、貴女の城ですか。東京の一等地に自分のデザインしたファッションブランドの店を持つまでになるとは、大したものですね。
 美姫は昔から、服のデザインをするのが好きでしたからね......

 フフッ、覚えていますか? 大きくなったら服を作る人になりたいと、言っていたことを」

 嬉しそうに頬を緩ませた秀一の表情に思わず引き込まれながら、美姫は驚いた。

「え、私が......ですか!?」
「えぇ」

 慈しむように見つめられ、美姫の鼓動がトクトクと速まった。

 美姫には、全く覚えがなかった。身に覚えのない過去の自分を語られるのは奇妙でもあり、気恥ずかしくもあり、また嬉しくもあった。

 覚えていなかった幼い頃の夢がこうして今、叶っている。それは、運命の不思議さを感じさせた。一方で、もしかしたらそれは秀一が見せている幻覚で、自分はただ掌の上で踊らされているのではないかという思いも忍び寄る。
 もしそうだったとしても、甘くふわふわした彼の夢に溶けてしまいたいと、美姫は願った。

「その時に、『しゅうちゃんのふくも、わたしがつくってあげる』と、美姫は約束してくれました」
「へぇ、そうだったんですね」

 きっと幼かった自分は、キラキラした瞳で秀一に話していたに違いない。想像すると、それは過去の自分であったにも関わらず羨ましく、嫉妬すら覚えた。

 秀一は2階のメンズセクションに着くと、飾られていたマネキンの着ている袖を掌に載せてひらめかせた。

「ようやく、約束を果たしてもらえますね」
「ぇ......」
「来日ツアーが決まりました。
 その時の衣装を、美姫にデザインしてもらうことにします」

 美姫は絶句してから、両手を胸の前で激しく振った。

「ッむむむ無理です!!
 第一、コンサートの衣装デザインなんてしたことありませんし!!」

 動揺する美姫に、秀一は視線を流した。

「ウェディングドレスの衣装はデザインしたことありますよね? それに合わせたタキシードも」
「ッグ......」

 秀一は愉しそうにメンズ服を見て回った。

「クラシックコンサートは一般的に敷居が高いと思われています。そのひとつの理由が演奏者は正装し、聴衆もそれなりの服装を要求されることにあります。
 今回のコンサートでは、曲に合わせて衣装を変えます。もちろん聴衆にも正装は求めず、好きな服装で来てもらいます。『カジュアルに楽しめるコンサート』、それがこのツアーでのテーマです」

 秀一の話を聞き、美姫の心が高揚した。

 もし自分がデザインした衣装で秀一がコンサートの舞台に立ち、聴衆を魅了する演奏を披露し、拍手喝采を浴びたら......

 そう思うと、興奮せずにはいられない。

 けれど、秀一と一緒に仕事をすることになれば、自分の心は急激に秀一に奪われてしまう。

 父のために、大和のために子供をもつと決意したのに。
 たとえ自分がどのような心情にあろうとも、表向きは平穏で幸せに見える日常を構築しようとしているのに。

 いとも簡単に、秀一はそれを崩そうとする。
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