<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

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不意打ち

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 視察で歩き回り、お腹が空いてきた。ソユンが美姫の腕に自分の腕を絡ませる。

「みきさぁん、ランチいきましょー!」

 韓国は女性同士でも仲のいい友達は腕を組んだり、手を繋いだりする。慣れない美姫は少し気恥ずかしさを覚えながらも、フレンドリーなソユンを可愛く思った。

 ソユンがお勧めの店があるというので、案内してもらうことにした。

 着いたのはのマンドゥ(蒸し餃子)とカルグクス(韓国式うどん)のお店で、2階建てで広い店内は大勢の人で賑わっていた。日本人観光客にも人気の店らしく、日本語も併記されている。

「わぁー、何食べよう!」

 写真入りのメニューを見て美姫が興奮していると、スマホが鳴った。表示を確認し、受信を押す。

「大和?」
『おぉ、これから昼飯食いに行ってくる』

 店員が注文を取りに来たので無言でメニューを指差し、店員を見上げた。店員が人差し指を立てて『1』と確認し、美姫が頷く。

「私たちもこれからランチなの」
『そっか、楽しんでな』
「うん、ありがとう」

 電話を切り、短く息を吐く。

 ソユンが美姫を笑顔で覗き込む。

「みきさん、ラブラブー」
「え、そんなんじゃないから」

 ソユンに笑みを返す美姫を、内田は心配そうに見つめていた。

 秀一と再会してからというもの、大和はことあるごとに連絡してくるようになった。最初はLINEでメッセージを送ってきていたのだが、未読が続くと連絡手段は電話に代わった。

 大抵は大和からの報告だった。これから取引先に挨拶に行くとか、会議の前だとか、ランチ中だといったたわいもない会話で、大抵2分もしないうちに終わる。美姫に対して、今何をしているんだとか、これから何をするんだとかいったことは聞いてこなかった。

 けれど、電話がかかってくれば自然とそういう話題になる。今までは仕事中に電話を掛けることなど滅多になかったのに、今では1日に2回も3回もかかってくる。最近は朝の出社時間も早く家を出る美姫に合わせるようになり、仕事が終わってからも迎えに来るようになっていた。

 朝と帰りの行き帰りの車内が一番落ち着く時間だったのに、それが一番緊張する場所となっていた。

 もちろん自分の仕事が遅くなる時にはそちらを優先するが、美姫の方が遅い時には仕事が終わるまで本店に顔を出したり、事務所の応接室で待っている。店のスタッフや客は大和に会えて喜んでいたが、美姫としては複雑だ。

 今までは仕事を理由に残業や休日出勤をして、大和に顔を合わせないようにすることが出来たのに、その逃げ場すら奪われてしまった。

「大和も仕事で疲れてるだろうし、運転手さんがついてるんだからわざわざ迎えに来なくても大丈夫だよ」

 遠回しに美姫が断っても、大和は笑顔で答えた。

「俺が好きでやってんだから、気にするな。
 ほら、前の事件もあるし......お前のことが心配なんだ」

 確かに、灰龍会の人間に拉致された時は車から降りてからだった。それを言われれば、美姫は反論出来なかった。

 家の中にいても、大和はやたら美姫の周りをうろついた。家事を手伝うのはもちろん、美姫がトイレやお風呂に行く時まで一緒に2階に上がってくる。

 さすがに一緒に入ってくることはなく、その後は自分の部屋に引っ込むのだが、美姫が出てくるとまた自分も部屋から出てきて用事もないのにうろうろする。美姫が自分の部屋に向かうと、寂しそうにその背中を見つめる。

 お互いに好きという気持ちがあれば、大和の行動は愛しく思えたかもしれない。だが今の美姫にとって彼の行為は監視であり、脅威にしか感じられなかった。それを拒否できないのは、大和をそういう行動に駆り立ててしまったのは自分のせいだという罪悪感からだった。

 大和は穏やかで優しい態度で接してくれているが、彼の中の隠れた狂気が日毎に増しているようで、美姫は心が休まらなかった。

 韓国出張に来られ、ようやく息が出来た気分だった。

 今日はもう既に3回目の電話だった。これから後、何回電話がかかってくるのだろうかと思うと、憂鬱になった。

 秀一の鎖は重い鉄製だ。身動きすら許されず、硬く拘束される。

 大和の鎖はゴム紐のようだ。どこに行くにも自由で緩いように見えて、その先へと進もうとすると、途端にきつく首を締められる。

「チーフ、来ましたよ! 凄く美味しそう!!」

 内田が声を掛けた。

 内田は美姫から何も聞いていないが、大和からの電話や来訪に美姫が密かに疲れた表情を見せることに気づいていた。美姫は内田の気遣いに感謝しつつ、目の前に来たプラスチックの蒸籠に入った湯気をたてるマンドゥに歓声を上げた。
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