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求める心
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気づいた時、美姫は自分のベッドに寝かされている事に気づいた。拘束は解かれ、パジャマまで着ている。
わ、たし......
ボォーッとした頭で考えていると、部屋の扉が開いた。
「美姫?」
大和の、声だった。
じゃあ、私を助けてくれたのは......大和、だったんだ。
美姫の中に失望が広がっていく。
大和は美姫の元に駆け寄ると、手を握り締めた。
「美姫、美姫......ック無事で、よかった。
ほん、とに......よかった......」
こんなに自分を心配してくれている大和を見ていると、先ほど秀一ではなかったと失望したことに罪悪感を覚えた。
「大和が、ここへ?」
「あぁ。もう、大丈夫だ」
大和は力強く頷いた後、項垂れた。
「俺のせいで、美姫を危ない目に遭わせちまって、ごめん......」
「大和の?」
って、どういうこと?
「あいつらは、灰龍会の連中だ。俺が地検に訴える準備が出来たと知った大瀧詠十郎は、灰龍会に頼んで美姫を拉致し、俺の動きを阻止しようとしたんだ」
「地検、に!?」
美姫は、大和がそこまで大瀧のことを調べ上げていたことに驚いた。
大和はポケットからボイスレコーダーを取り出すと、美姫に見せた。
「これを車内で見つけた時、大瀧側が俺の動きを探るために取り付けたんだって思ってた。
でもこれ、美姫だったんだな......」
美姫は居た堪れず、俯いた。
このボイスレコーダーには大瀧のことを話し合っている会話も収録されていた。美姫に何も話さなかったのは、大地の恋人であった優子からの話を聞いていたので美姫に危険が及ぶことを危惧していたからだ。
もし美姫がそれを聞いてたら、彼女の気持ちは変わっただろうかと考えたが、だからと言って千代菊と関係したことには変わらない。
大和は改めて、自分の過ちを後悔した。
「大瀧と繋がりのある人間を探している中で、赤坂の料亭の女将が浮かび上がったんだ。彼女は女将としてだけでなく、情報屋の顔も持っていた。
そこで、女将や千代菊さんを通じて大瀧の情報を秘密裏に掴み、専門の人間を雇い、長い月日をかけてようやくあいつの悪事を暴けそうだったんだ」
それ、なのに......
震えそうになる唇を噛み締めた。
結局、大和は掌の上で転がされていただけだったと知らされた。
女将は地検に大瀧を告訴するという大和の報告を大瀧に密告し、それを受けて大瀧は灰龍会に美姫を拉致するよう指示したのだ。灰龍会の連中からそれを聞いた時、あれ程信頼していた女将に裏切られたことを知り、脱力した。
大和は全ての証拠と引き換えに、美姫を受け取った。美姫を危険な目に遭わせてしまい、大瀧を訴えることも出来なくなってしまった。
政界の闇はどこまでも黒く、深い。
大和が関わるべきではなかったのだ。
灰龍会......やっぱり、極道の人たちだったんだ。
白の残忍な笑いが浮かび上がり、美姫は背中を震わせた。
「駆けつけた時......美姫が痙攣しながら泡吹いて意識失って......ほんと、美姫が死ぬんじゃないかってめちゃめちゃ恐かった。もし、お前を失ったらと思ったら恐くて堪らなかった......ッグ
ご、め......ごめん。お前を早く迎えに行けなくて、ごめ......」
握った大和の手が、細かく震えている。自分よりも大和の方が傷ついている気がした。
「大和、助けてくれてありがとう。
私は......大丈夫だから」
美姫は力なく答えると、大和の手を握り返した。
もう、克服したと思ってたのに......
RTSDに第4段階があることを思い出した。
「統合」した後もトラウマを喚起させるような物事は起きるが、それによって、しばらくの間、以前の局面に戻されたりしながら、やがて、そうした物事にもあまり影響されないくらいに統合が進んでいく。
私はこのトラウマと一生付き合っていかなければならないんだ。
美姫の心が重く沈んだ。
わ、たし......
ボォーッとした頭で考えていると、部屋の扉が開いた。
「美姫?」
大和の、声だった。
じゃあ、私を助けてくれたのは......大和、だったんだ。
美姫の中に失望が広がっていく。
大和は美姫の元に駆け寄ると、手を握り締めた。
「美姫、美姫......ック無事で、よかった。
ほん、とに......よかった......」
こんなに自分を心配してくれている大和を見ていると、先ほど秀一ではなかったと失望したことに罪悪感を覚えた。
「大和が、ここへ?」
「あぁ。もう、大丈夫だ」
大和は力強く頷いた後、項垂れた。
「俺のせいで、美姫を危ない目に遭わせちまって、ごめん......」
「大和の?」
って、どういうこと?
「あいつらは、灰龍会の連中だ。俺が地検に訴える準備が出来たと知った大瀧詠十郎は、灰龍会に頼んで美姫を拉致し、俺の動きを阻止しようとしたんだ」
「地検、に!?」
美姫は、大和がそこまで大瀧のことを調べ上げていたことに驚いた。
大和はポケットからボイスレコーダーを取り出すと、美姫に見せた。
「これを車内で見つけた時、大瀧側が俺の動きを探るために取り付けたんだって思ってた。
でもこれ、美姫だったんだな......」
美姫は居た堪れず、俯いた。
このボイスレコーダーには大瀧のことを話し合っている会話も収録されていた。美姫に何も話さなかったのは、大地の恋人であった優子からの話を聞いていたので美姫に危険が及ぶことを危惧していたからだ。
もし美姫がそれを聞いてたら、彼女の気持ちは変わっただろうかと考えたが、だからと言って千代菊と関係したことには変わらない。
大和は改めて、自分の過ちを後悔した。
「大瀧と繋がりのある人間を探している中で、赤坂の料亭の女将が浮かび上がったんだ。彼女は女将としてだけでなく、情報屋の顔も持っていた。
そこで、女将や千代菊さんを通じて大瀧の情報を秘密裏に掴み、専門の人間を雇い、長い月日をかけてようやくあいつの悪事を暴けそうだったんだ」
それ、なのに......
震えそうになる唇を噛み締めた。
結局、大和は掌の上で転がされていただけだったと知らされた。
女将は地検に大瀧を告訴するという大和の報告を大瀧に密告し、それを受けて大瀧は灰龍会に美姫を拉致するよう指示したのだ。灰龍会の連中からそれを聞いた時、あれ程信頼していた女将に裏切られたことを知り、脱力した。
大和は全ての証拠と引き換えに、美姫を受け取った。美姫を危険な目に遭わせてしまい、大瀧を訴えることも出来なくなってしまった。
政界の闇はどこまでも黒く、深い。
大和が関わるべきではなかったのだ。
灰龍会......やっぱり、極道の人たちだったんだ。
白の残忍な笑いが浮かび上がり、美姫は背中を震わせた。
「駆けつけた時......美姫が痙攣しながら泡吹いて意識失って......ほんと、美姫が死ぬんじゃないかってめちゃめちゃ恐かった。もし、お前を失ったらと思ったら恐くて堪らなかった......ッグ
ご、め......ごめん。お前を早く迎えに行けなくて、ごめ......」
握った大和の手が、細かく震えている。自分よりも大和の方が傷ついている気がした。
「大和、助けてくれてありがとう。
私は......大丈夫だから」
美姫は力なく答えると、大和の手を握り返した。
もう、克服したと思ってたのに......
RTSDに第4段階があることを思い出した。
「統合」した後もトラウマを喚起させるような物事は起きるが、それによって、しばらくの間、以前の局面に戻されたりしながら、やがて、そうした物事にもあまり影響されないくらいに統合が進んでいく。
私はこのトラウマと一生付き合っていかなければならないんだ。
美姫の心が重く沈んだ。
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