<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

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幸せな女と幸せを演じる女

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「ごめんねぇ、家が散らかってて」

 玄関に立てられたゲート越しに、薫子が申し訳なそうな顔をした。ゲートの向こう側には積み木やお人形、絵本や掃除機のおもちゃなどがそこら中に散らばっている。

「大丈夫、大丈夫。気にしないで」

 美姫はゲートを開けようとしたものの、開け方が分からず四苦八苦していると、薫子が手を掛け、開けてくれた。

「ゲートつけてても最近は知恵がついてきて、ここをよじ登って外に出ようとするから困ってるの」

 そう言った途端、奥からは「ママぁーーー!!!」と呼ぶ甲高い声が聞こえた。

「あ! はいはい! ちょっとごめんね、見てくる。
 はぁい、しーちゃんどうしたのぉ?」

 忙しなく、バタバタと薫子は奥の部屋へ向かった。

 薫子、忙しそう......

 美姫は渡しそびれたお土産を手にし、あまりの自分との環境の違いに戸惑った。

 畳の部屋には、先ほどよりも更に大量のおもちゃが溢れていた。狭い部屋の中に、ブランコ付きのジャングルジムまで置かれている。

「す、すごいね......」

 圧倒されていると、薫子は詩織を膝に乗せ、絵本を広げながら答えた。

「お義母様がいらっしゃる度におもちゃを持ってくるから、増えちゃって。洋服も、タンスに入りきらないぐらい。
 悠が何度も、『そんなにいらないし、置く場所もない』って言ってるんだけど......」

 薫子が言い終わらないうちに、絵本を開いたのに読み始めない母親の気を引こうと、詩織が薫子の髪の毛を引っ張った。

「まぁま! むー! むー!」

 詩織に髪の毛を引っ張られて首を傾けながら、薫子はなんとか娘の気を逸らそうとした。

「はい、読むのね。ほら、その前にしーちゃんご挨拶は?
『こんにちは』って言ってごらん?」
「むーむー! むーむー!」

 だが、詩織は更にイライラを募らせ、真っ赤な顔をして首を振ると本をバンバン叩いた。

「あぁ、はいはい。本は叩いちゃだめよ。
 ごめんね、美姫。しーちゃんに絵本読んであげるってお約束してたから、これだけ読ませてもらってもいいかな?」
「あ、うん。大丈夫だよ」

 母親に気持ちを向けてもらえた詩織は、嬉しそうに絵本の中の犬を指差した。

「わんわん!」
「そう! わんわんだねー。
 じゃぁ、これは誰かな?」
「にゃーにゃ!」

 薫子と詩織のやり取りを見ながら、美姫は微笑んだ。

 わぁ、薫子。ほんとにお母さんなんだなー。
 すごく、幸せそう。

 大和と結婚した時、自分もいつかは子供を持つものだと思っていた。きっと大和なら子煩悩な父親になりそうだと、未来を思い描いていた。

 今の美姫には、子供を持つどころか、大和と躰を重ねることすら考えられない。

 美姫はそっと睫毛を伏せた。

 本を読み終えた薫子は、顔を上げて美姫に視線を向けた。

「ごめんね、美姫。ここで読まないと癇癪起こしちゃって、もっと大変なことになるから......」
「気にしなくていいって!
 あ、ケーキ持ってきたの。しーちゃんには赤ちゃん用のおやつ、買ってきたよ」

 ようやくここで、渡すことが出来た。

「ありがとう! じゃ、お茶入れるね」

 そう言って立ち上がろうとするその先から、詩織が薫子に抱きつく。

「まぁまー!」
「しーちゃん、ママちょっとお茶入れてくるから、美姫お姉さんと待っててくれるかな?
 すぐ戻ってくるから、ね?」

『美姫お姉さん』と薫子に呼ばれて照れつつも、美姫もそれに応えるように詩織に手を差し伸べた。

「しーちゃん一緒に遊ぼ?
 ねぇ、しーちゃんのおもちゃ、お姉さんに見せてくれるかな?」

 それでも詩織は薫子から離れようとしない。

「まぁま! だー! だー!」

 今度は手を伸ばし、抱っこを要求する。

 薫子は片手で詩織を抱っこし、もう片方に美姫からもらったお土産の袋を持った。

「え! 持つよ、私?」


 美姫が慌てて袋を持とうとすると、薫子は笑顔を向けた。

「大丈夫。いつものことだから」

 薫子は器用に袋をキッチンに置くとケーキの箱を開けた。

「何か、手伝うよ」

 キッチンで声を掛けた美姫に、薫子はお茶の用意をお願いした。まだ台所の棚にはシルバードーニーズの茶葉が残っていたので、それを入れることにした。

 これをあげたのは大分前なのに......ゆっくりお茶を飲む暇もない程、忙しいってことなのかな。

 美姫も多忙な毎日を過ごしてはいるが、忙しさの種類が全然違う。

 薫子は詩織を片手で抱いたまま、ケーキの皿と子供用のボウルを取り出し、フォークをセットしていた。あの、か弱かった薫子からは想像できない姿だ。

 何もかも、変わってしまったんだ......

 ケーキを切り分ける美姫の手の動きが、ゆっくりになった。
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