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爆発
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自宅に戻ると、大和は無言で部屋へと向かおうとする美姫の腕を取った。
「おい美姫、どうしたんだよ!」
「触らないで!!」
思い切り手を振り払い、悲鳴にも似た声を美姫が上げる。あまりの剣幕に驚いた大和の躰がビクッと震え、美姫を見つめた。
「ほん、とに......どうしたんだよ......」
わけが分からないといった態度を見せる大和に、美姫の苛立ちが募る。
「『どうしたの?』って言いたいのは、こっちだよ!!
どれだけ私が惨めな思いをしてるか......大和には分からないの!?」
ヒステリックに叫ぶ美姫を宥めるように、大和は声のトーンを落とした。
「分かった。話を聞くから......とにかく、座って話そう」
大和と美姫は向かい合わせに座った。間のテーブルが、軍事境界線のように二人を大きく隔てる。
「授賞式が終わってから、ずっと美姫黙ったまんまで一言も話してくれないよな」
いつもなら「ごめんね」と笑顔で取り繕える美姫だが、今日はそんな気力もなかった。
「何言ってるの。
最近私たちに、夫婦らしい会話すらないじゃない......」
駄目だと思っていても、刺々しい言葉しか出て来ない。
「夫婦らしい会話させてくれないのは、どっちだよ! 最近仕事が忙しいからって残業ばっかで、休日も出勤して、クリスマスすら一緒に過ごしてないんだぞ。顔すら合わせてくれないやつに、どうやって会話しろって言うんだ!!」
イライラした調子で声が大きくなった大和に、美姫はビクッと肩を震わせた。
大和はハッとした後、右手を顔に当て、ハァーッと大きく息を吐き出した。
「ご、め......心配、してんだ。
なぁ、お前最近すげぇ痩せたよな。ちゃんと食ってんのか? 顔色も悪いし......
一回、病院で診てもらった方がいいんじゃねーか?それにカウンセリングだって、白川さんが紹介してくれた人に未だに連絡してないだろ」
今までならそんな大和の優しさが嬉しかったし、有難かったはずなのに、それが煩わしく思えて仕方ない。上辺だけの優しさにしか感じられなかった。
「ほっといてよ! 大和には関係ないでしょ!!」
言ってから、しまった......と思うものの、もう取り返しがつかない。
大和は眉を顰めた。
「なにヒステリックになってんだ。
なぁ、ちゃんと薬飲んでんのか? やっぱりカウンセリング受けた方がいいって。俺からその人に連絡して、ついてってやるから」
「必要ないって言ってるでしょ!!」
「美姫......」
大和は、どうしていいのか分からないというように眉を下げ、溜息を吐いた。
「最近のおまえ、ほんと変だぞ」
美姫の頭にカーッと血が上り、今まで押し込めに押し込めてきた感情が一気に爆発した。
「変なのは大和の方でしょ? どうして浮気なんてしたの?
知ってるんだよ、赤坂の芸妓の千代菊って人と会って、ラブホテルに行ったって!
どう、して......私とはセックスしないのに、その人とはラブホテルに行くの? セックスするの?
もう、大和のこと......ッグ信じ、られ......ウッ、ウッない......ヒクッウッウッ」
言いたいことはもっともっとあるのに、限界を超えてしまった感情が堰を切って流れ出し、涙と共に溢れると嗚咽にしかならなかった。
「おい美姫、どうしたんだよ!」
「触らないで!!」
思い切り手を振り払い、悲鳴にも似た声を美姫が上げる。あまりの剣幕に驚いた大和の躰がビクッと震え、美姫を見つめた。
「ほん、とに......どうしたんだよ......」
わけが分からないといった態度を見せる大和に、美姫の苛立ちが募る。
「『どうしたの?』って言いたいのは、こっちだよ!!
どれだけ私が惨めな思いをしてるか......大和には分からないの!?」
ヒステリックに叫ぶ美姫を宥めるように、大和は声のトーンを落とした。
「分かった。話を聞くから......とにかく、座って話そう」
大和と美姫は向かい合わせに座った。間のテーブルが、軍事境界線のように二人を大きく隔てる。
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いつもなら「ごめんね」と笑顔で取り繕える美姫だが、今日はそんな気力もなかった。
「何言ってるの。
最近私たちに、夫婦らしい会話すらないじゃない......」
駄目だと思っていても、刺々しい言葉しか出て来ない。
「夫婦らしい会話させてくれないのは、どっちだよ! 最近仕事が忙しいからって残業ばっかで、休日も出勤して、クリスマスすら一緒に過ごしてないんだぞ。顔すら合わせてくれないやつに、どうやって会話しろって言うんだ!!」
イライラした調子で声が大きくなった大和に、美姫はビクッと肩を震わせた。
大和はハッとした後、右手を顔に当て、ハァーッと大きく息を吐き出した。
「ご、め......心配、してんだ。
なぁ、お前最近すげぇ痩せたよな。ちゃんと食ってんのか? 顔色も悪いし......
一回、病院で診てもらった方がいいんじゃねーか?それにカウンセリングだって、白川さんが紹介してくれた人に未だに連絡してないだろ」
今までならそんな大和の優しさが嬉しかったし、有難かったはずなのに、それが煩わしく思えて仕方ない。上辺だけの優しさにしか感じられなかった。
「ほっといてよ! 大和には関係ないでしょ!!」
言ってから、しまった......と思うものの、もう取り返しがつかない。
大和は眉を顰めた。
「なにヒステリックになってんだ。
なぁ、ちゃんと薬飲んでんのか? やっぱりカウンセリング受けた方がいいって。俺からその人に連絡して、ついてってやるから」
「必要ないって言ってるでしょ!!」
「美姫......」
大和は、どうしていいのか分からないというように眉を下げ、溜息を吐いた。
「最近のおまえ、ほんと変だぞ」
美姫の頭にカーッと血が上り、今まで押し込めに押し込めてきた感情が一気に爆発した。
「変なのは大和の方でしょ? どうして浮気なんてしたの?
知ってるんだよ、赤坂の芸妓の千代菊って人と会って、ラブホテルに行ったって!
どう、して......私とはセックスしないのに、その人とはラブホテルに行くの? セックスするの?
もう、大和のこと......ッグ信じ、られ......ウッ、ウッない......ヒクッウッウッ」
言いたいことはもっともっとあるのに、限界を超えてしまった感情が堰を切って流れ出し、涙と共に溢れると嗚咽にしかならなかった。
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