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爆発
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「来栖大和さん、美姫さんご夫婦です!
では、どうぞ階段からこちらまでお願い致します」
司会者の合図で壇上に姿を現し、スポットライトを浴びた美姫は大和の腕に手を回した。微笑んで見つめ合い、大和のエスコートによりゆっくり階段を下りる。
だが、幸せそうに微笑む美姫の心の奥底はキシキシと軋み、今にも崩壊しそうだった。
好きという気持ちが大きくなればなる程、相手に触れたくて堪らなくなる。逆に、嫌いという気持ちが大きくなればなる程、相手に触れるのも触れられるのも嫌で仕方なくなるものだ。
美姫の中での大和に対する嫌悪感は、日増しに高まっていた。こうして腕を組んでいることさえも、苦痛だった。それを支えているのは仕事に対する義務感と財閥を守らなければという責任感だった。
美姫は大胆に後ろが斜めにカットされ、横にオレンジのリボンがついたドレスで、大和は黒のスーツを着ている。階段を下りて舞台中央に二人が立つと、会場はあまりにも絵になる美男美女の夫婦にどよめきが起こった。
司会者が、大和の隣に立つ。
「では、改めてご紹介しましょう。
第10回仲良し夫婦アワードを受賞されました、来栖大和さん、美姫さんご夫婦です。
皆様、今一度、盛大な拍手でお迎え下さい!」
割れんばかりの拍手が響く中、大和と美姫は観客に笑顔を向けた。
「仲良し夫婦アワード」は、投票によって受賞者が決定する。その為、結婚年数の長いオシドリ夫婦が選ばれるとは限らず、その年にどれだけその夫婦が注目されたかによって投票数が大きく影響される。大和と美姫は他の夫婦たちを大きく引き離し、圧倒的な得票数で1位となった。
認定証を大和が受け取り、盾を美姫が受け取る。続いてプラチナリングが大和に贈られ、それを美姫の指に嵌める。
神前結婚式での指輪交換が思い出され、あの時とは違う気持ちで受け取っている自分に、美姫はやりきれなさを感じた。それでも、美姫の表情は曇ることなく笑顔を湛えていた。
指輪を披露する美姫の肩に、大和が手を回す。
「最年少、そして結婚まだ2年目という最短での受賞となりましたが、大和さん、受賞されたお気持ちはどうですか」
司会者の問いに、はにかみながらも笑顔で大和が答える。
「世の中には長年連れ添っている大先輩のご夫婦も大勢いらっしゃるのに、自分たちがこうして賞を頂けたことに正直驚きましたが、とても嬉しい気持ちでいます。
でも、やはりこういった場は慣れないので......照れますね」
会場からは笑いがおこり、美姫もそれに合わせて手を口で覆って微笑んだ。
助けて。
苦しくて溺れそう......
早くこの場から、立ち去りたくて仕方なかった。
「それでは、奥さんの美姫さんから、いつも仲良しでいられる夫婦の秘訣を聞かせてもらえますか」
司会者に話を振られ、美姫は大和を見上げた。どこまでも優しく、包み込むような眼差しに、胸が痛くて泣きそうだ。
「そう、ですね。
私たちは、学生の頃からなんでも言いたいことを言ってきました。胸の中に溜め込まず、思った時に言い合えることが、私たちがずっと一緒にいられた理由なんじゃないかなって思います」
分かってる。
こんな皮肉言ったところで、問題が解決するはずないってことは。
司会者は、美姫の話を額面通りに受け取った。
「素敵ですねぇ、本当に素敵ですよね。これからもぜひ、仲の良いご夫婦として私たちを羨ましがらせて下さいね。
本日は受賞おめでとうございました!」
大和が美姫の頭をポンと撫でた。
「はい、ありがとうございます」
駄、目......もう、耐えきれない。
瞳を潤ませ、美姫は必死に笑顔を作った。
では、どうぞ階段からこちらまでお願い致します」
司会者の合図で壇上に姿を現し、スポットライトを浴びた美姫は大和の腕に手を回した。微笑んで見つめ合い、大和のエスコートによりゆっくり階段を下りる。
だが、幸せそうに微笑む美姫の心の奥底はキシキシと軋み、今にも崩壊しそうだった。
好きという気持ちが大きくなればなる程、相手に触れたくて堪らなくなる。逆に、嫌いという気持ちが大きくなればなる程、相手に触れるのも触れられるのも嫌で仕方なくなるものだ。
美姫の中での大和に対する嫌悪感は、日増しに高まっていた。こうして腕を組んでいることさえも、苦痛だった。それを支えているのは仕事に対する義務感と財閥を守らなければという責任感だった。
美姫は大胆に後ろが斜めにカットされ、横にオレンジのリボンがついたドレスで、大和は黒のスーツを着ている。階段を下りて舞台中央に二人が立つと、会場はあまりにも絵になる美男美女の夫婦にどよめきが起こった。
司会者が、大和の隣に立つ。
「では、改めてご紹介しましょう。
第10回仲良し夫婦アワードを受賞されました、来栖大和さん、美姫さんご夫婦です。
皆様、今一度、盛大な拍手でお迎え下さい!」
割れんばかりの拍手が響く中、大和と美姫は観客に笑顔を向けた。
「仲良し夫婦アワード」は、投票によって受賞者が決定する。その為、結婚年数の長いオシドリ夫婦が選ばれるとは限らず、その年にどれだけその夫婦が注目されたかによって投票数が大きく影響される。大和と美姫は他の夫婦たちを大きく引き離し、圧倒的な得票数で1位となった。
認定証を大和が受け取り、盾を美姫が受け取る。続いてプラチナリングが大和に贈られ、それを美姫の指に嵌める。
神前結婚式での指輪交換が思い出され、あの時とは違う気持ちで受け取っている自分に、美姫はやりきれなさを感じた。それでも、美姫の表情は曇ることなく笑顔を湛えていた。
指輪を披露する美姫の肩に、大和が手を回す。
「最年少、そして結婚まだ2年目という最短での受賞となりましたが、大和さん、受賞されたお気持ちはどうですか」
司会者の問いに、はにかみながらも笑顔で大和が答える。
「世の中には長年連れ添っている大先輩のご夫婦も大勢いらっしゃるのに、自分たちがこうして賞を頂けたことに正直驚きましたが、とても嬉しい気持ちでいます。
でも、やはりこういった場は慣れないので......照れますね」
会場からは笑いがおこり、美姫もそれに合わせて手を口で覆って微笑んだ。
助けて。
苦しくて溺れそう......
早くこの場から、立ち去りたくて仕方なかった。
「それでは、奥さんの美姫さんから、いつも仲良しでいられる夫婦の秘訣を聞かせてもらえますか」
司会者に話を振られ、美姫は大和を見上げた。どこまでも優しく、包み込むような眼差しに、胸が痛くて泣きそうだ。
「そう、ですね。
私たちは、学生の頃からなんでも言いたいことを言ってきました。胸の中に溜め込まず、思った時に言い合えることが、私たちがずっと一緒にいられた理由なんじゃないかなって思います」
分かってる。
こんな皮肉言ったところで、問題が解決するはずないってことは。
司会者は、美姫の話を額面通りに受け取った。
「素敵ですねぇ、本当に素敵ですよね。これからもぜひ、仲の良いご夫婦として私たちを羨ましがらせて下さいね。
本日は受賞おめでとうございました!」
大和が美姫の頭をポンと撫でた。
「はい、ありがとうございます」
駄、目......もう、耐えきれない。
瞳を潤ませ、美姫は必死に笑顔を作った。
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