<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

文字の大きさ
上 下
777 / 1,014
爆発

しおりを挟む
「来栖大和さん、美姫さんご夫婦です!
 では、どうぞ階段からこちらまでお願い致します」

 司会者の合図で壇上に姿を現し、スポットライトを浴びた美姫は大和の腕に手を回した。微笑んで見つめ合い、大和のエスコートによりゆっくり階段を下りる。

 だが、幸せそうに微笑む美姫の心の奥底はキシキシと軋み、今にも崩壊しそうだった。

 好きという気持ちが大きくなればなる程、相手に触れたくて堪らなくなる。逆に、嫌いという気持ちが大きくなればなる程、相手に触れるのも触れられるのも嫌で仕方なくなるものだ。

 美姫の中での大和に対する嫌悪感は、日増しに高まっていた。こうして腕を組んでいることさえも、苦痛だった。それを支えているのは仕事に対する義務感と財閥を守らなければという責任感だった。
 
 美姫は大胆に後ろが斜めにカットされ、横にオレンジのリボンがついたドレスで、大和は黒のスーツを着ている。階段を下りて舞台中央に二人が立つと、会場はあまりにも絵になる美男美女の夫婦にどよめきが起こった。

 司会者が、大和の隣に立つ。

「では、改めてご紹介しましょう。
 第10回仲良し夫婦アワードを受賞されました、来栖大和さん、美姫さんご夫婦です。

 皆様、今一度、盛大な拍手でお迎え下さい!」

 割れんばかりの拍手が響く中、大和と美姫は観客に笑顔を向けた。
 
「仲良し夫婦アワード」は、投票によって受賞者が決定する。その為、結婚年数の長いオシドリ夫婦が選ばれるとは限らず、その年にどれだけその夫婦が注目されたかによって投票数が大きく影響される。大和と美姫は他の夫婦たちを大きく引き離し、圧倒的な得票数で1位となった。

 認定証を大和が受け取り、盾を美姫が受け取る。続いてプラチナリングが大和に贈られ、それを美姫の指に嵌める。

 神前結婚式での指輪交換が思い出され、あの時とは違う気持ちで受け取っている自分に、美姫はやりきれなさを感じた。それでも、美姫の表情は曇ることなく笑顔を湛えていた。

 指輪を披露する美姫の肩に、大和が手を回す。

「最年少、そして結婚まだ2年目という最短での受賞となりましたが、大和さん、受賞されたお気持ちはどうですか」

 司会者の問いに、はにかみながらも笑顔で大和が答える。

「世の中には長年連れ添っている大先輩のご夫婦も大勢いらっしゃるのに、自分たちがこうして賞を頂けたことに正直驚きましたが、とても嬉しい気持ちでいます。
 でも、やはりこういった場は慣れないので......照れますね」

 会場からは笑いがおこり、美姫もそれに合わせて手を口で覆って微笑んだ。

 助けて。
 苦しくて溺れそう......

 早くこの場から、立ち去りたくて仕方なかった。

「それでは、奥さんの美姫さんから、いつも仲良しでいられる夫婦の秘訣を聞かせてもらえますか」

 司会者に話を振られ、美姫は大和を見上げた。どこまでも優しく、包み込むような眼差しに、胸が痛くて泣きそうだ。

「そう、ですね。
 私たちは、学生の頃からなんでも言いたいことを言ってきました。胸の中に溜め込まず、思った時に言い合えることが、私たちがずっと一緒にいられた理由なんじゃないかなって思います」

 分かってる。
 こんな皮肉言ったところで、問題が解決するはずないってことは。

 司会者は、美姫の話を額面通りに受け取った。

「素敵ですねぇ、本当に素敵ですよね。これからもぜひ、仲の良いご夫婦として私たちを羨ましがらせて下さいね。
 本日は受賞おめでとうございました!」

 大和が美姫の頭をポンと撫でた。

「はい、ありがとうございます」

 駄、目......もう、耐えきれない。

 瞳を潤ませ、美姫は必死に笑顔を作った。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

義妹のミルク

笹椰かな
恋愛
※男性向けの内容です。女性が読むと不快になる可能性がありますのでご注意ください。 母乳フェチの男が義妹のミルクを飲むだけの話。 普段から母乳が出て、さらには性的に興奮すると母乳を噴き出す女の子がヒロインです。 本番はありません。両片想い設定です。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

処理中です...