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欲望の島 ーレナードsideー
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ホテルのエレベーターに乗り込んだ。そこにいた奴らがいきなりキスしだし、何やら手でまさぐっているし、気分が悪くなった。
こんなところにシューイチがいるなんて、思いたくない。
でも、もし本当にいるなら......会いたい。
シューイチがストイックなまでにピアノに打ち込み、それ以外の世界を締め出していることに気づいていたのに。
いつかシューイチがふっといなくなるんじゃないかと、そんな予感がしていたのに。
どうして僕は、シューイチから離れてしまったんだろう。
目を離してしまったんだろう。
仕事なんて、シューイチと比べたら大したことないのに。
仕事を辞めてでも、シューイチの側を離れなければよかった......
『1601』の扉を前にして、なかなかインターホンを押せずにいた。
この奥にシューイチが......
そう思うと、胸がドキドキして息が苦しくなった。
ようやく覚悟を決め、震える指でインターホンを押す。
だが、なんの反応もない。
もう一度押し、しばらく待ってみるものの、やっぱり中からは何も反応はなかった。
あの女に騙されたんだ......
悔しさと腹立たしさでいっぱいになる。あの女は、今頃いいカモがいたと腹の中で笑っていることだろう。
また、手がかりを見つけ直しだ......
怒りで肩を張りながらエレベーターホールへ向かうと、反対側からたくさん食事を載せたサービスワゴンを押すホテルスタッフとすれ違った。
なんとなく気になって後ろを振り返ると、さっきの部屋の前で立ち止まった。
え。
中に、いるのか!?
気になり、様子を窺っていると、スタッフがインターホンを押している。
やっぱり、暫くしても中からは反応はない。
ほらね......
すると、スタッフはポケットからカードキーを取り出し、開けた。
思わず、その部屋に向かって歩き出した。
扉が開いた先からは、ガンガン煩い音楽が鳴り響いていた。これでは、インターホンの音なんて容易く掻き消されてしまう。
そして、そこから垣間見えたのは大勢の女たちがシューイチに傅く光景だった。
『シューイチ!』
気づいた時には閉まりそうになる扉の隙間に躰を捻じ込ませ、部屋の中に入っていた。サービスワゴンを運んでいたスタッフが驚いて見てきたが、他は誰一人として部屋の玄関に立ち竦む人間に気づかない。
部屋中にマリファナ特有の草を燃したような甘い匂いと生臭い獣のような匂いが蔓延し、吐き気を催させる。
それにしても、こんな頭の痛くなるような音楽、よくシューイチが耐えられるな......
匂いも強烈だが、何よりこの騒音で眩暈を起こしそうだった。
まずは、アイツをどうにしかしないと......
シューイチに相手にされないせいか、女同士で絡み合っている肉の塊を跨ぎ、ステレオへ向かう。
スピーカーから放たれる音が、空気砲のように躰を打ち付けてくる。耳の穴に突っ込んでいた右指を外すと、電源を押した。
プツッ......
音が消えても余韻が残り、鼓膜がボワンボワンと反響し続ける。
けど今度はそれに替わって女たちの喘ぎ声やけたたましい笑い声、クチュクチュとした不快な水音が響いてきた。
ッ......余計気分が悪くなった。
音楽が止んだ途端、いくつかの視線が向けられた。ここでようやく、誰かが部屋に入り込んだことに気づいたようだった。気づかないのか、無視してるのか、頭がイかれてるのか、構わずやり続けてる連中もいたけど。
『おや、懐かしい顔ですね』
その声を聞いた途端、全身が熱くなり、泣きそうになった。
こんなところにシューイチがいるなんて、思いたくない。
でも、もし本当にいるなら......会いたい。
シューイチがストイックなまでにピアノに打ち込み、それ以外の世界を締め出していることに気づいていたのに。
いつかシューイチがふっといなくなるんじゃないかと、そんな予感がしていたのに。
どうして僕は、シューイチから離れてしまったんだろう。
目を離してしまったんだろう。
仕事なんて、シューイチと比べたら大したことないのに。
仕事を辞めてでも、シューイチの側を離れなければよかった......
『1601』の扉を前にして、なかなかインターホンを押せずにいた。
この奥にシューイチが......
そう思うと、胸がドキドキして息が苦しくなった。
ようやく覚悟を決め、震える指でインターホンを押す。
だが、なんの反応もない。
もう一度押し、しばらく待ってみるものの、やっぱり中からは何も反応はなかった。
あの女に騙されたんだ......
悔しさと腹立たしさでいっぱいになる。あの女は、今頃いいカモがいたと腹の中で笑っていることだろう。
また、手がかりを見つけ直しだ......
怒りで肩を張りながらエレベーターホールへ向かうと、反対側からたくさん食事を載せたサービスワゴンを押すホテルスタッフとすれ違った。
なんとなく気になって後ろを振り返ると、さっきの部屋の前で立ち止まった。
え。
中に、いるのか!?
気になり、様子を窺っていると、スタッフがインターホンを押している。
やっぱり、暫くしても中からは反応はない。
ほらね......
すると、スタッフはポケットからカードキーを取り出し、開けた。
思わず、その部屋に向かって歩き出した。
扉が開いた先からは、ガンガン煩い音楽が鳴り響いていた。これでは、インターホンの音なんて容易く掻き消されてしまう。
そして、そこから垣間見えたのは大勢の女たちがシューイチに傅く光景だった。
『シューイチ!』
気づいた時には閉まりそうになる扉の隙間に躰を捻じ込ませ、部屋の中に入っていた。サービスワゴンを運んでいたスタッフが驚いて見てきたが、他は誰一人として部屋の玄関に立ち竦む人間に気づかない。
部屋中にマリファナ特有の草を燃したような甘い匂いと生臭い獣のような匂いが蔓延し、吐き気を催させる。
それにしても、こんな頭の痛くなるような音楽、よくシューイチが耐えられるな......
匂いも強烈だが、何よりこの騒音で眩暈を起こしそうだった。
まずは、アイツをどうにしかしないと......
シューイチに相手にされないせいか、女同士で絡み合っている肉の塊を跨ぎ、ステレオへ向かう。
スピーカーから放たれる音が、空気砲のように躰を打ち付けてくる。耳の穴に突っ込んでいた右指を外すと、電源を押した。
プツッ......
音が消えても余韻が残り、鼓膜がボワンボワンと反響し続ける。
けど今度はそれに替わって女たちの喘ぎ声やけたたましい笑い声、クチュクチュとした不快な水音が響いてきた。
ッ......余計気分が悪くなった。
音楽が止んだ途端、いくつかの視線が向けられた。ここでようやく、誰かが部屋に入り込んだことに気づいたようだった。気づかないのか、無視してるのか、頭がイかれてるのか、構わずやり続けてる連中もいたけど。
『おや、懐かしい顔ですね』
その声を聞いた途端、全身が熱くなり、泣きそうになった。
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