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変わらぬ思い
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タイトなキャミトップからは豊満な胸が覗き、明らかにそれを遼に押し付けている。デニムのショートパンツからは、ほどよく筋肉がついた健康的な長い脚が見えていた。
「Whatta hell(わっ、なんだよ)! Julia!!」
ジュリアと呼ばれた女の子は、嬉しそうに手を解くと遼の隣に座った。鼻の周りにそばかすがあり、愛嬌のある可愛い顔をしていた。
『お前なぁ、いきなりとかほんとやめろよ!』
『リョーのびっくりする顔が面白くてさ。ねぇねぇ、昨日言ってた日本から来る友達って彼らのことでしょ?
私にも紹介してよ』
ジュリアは遼とかなり親しそうだった。
『初めまして、来栖大和です』
『ヤマト!? ワーオ!うん、日本の男、「ヤマトダンジ」って感じするする、かっこいい!!』
それから美姫を見ると、『ちょっと待って』と言った。
「ワターシワ、ジュリアチャン、デス。
ヨシク、オネガ、モース」
『ジュリア、日本語話せるんだね』
感心する美姫に、遼がすかさず突っ込む。
「いやいや、日本語話せてねぇだろが」
ジュリアは遼が何といったのか意味は分からなかったものの、ニュアンスからよくないことを言われたと感じ取ったらしい。
「BYガエーシダ!!」
と言って、指を立てている。
それって、何年か前に流行って、また去年ブレイクしたドラマの「倍返し」のつもりか!?
気づいた大和がクックックッと喉を鳴らした。すると、ジュリアが大和を見て驚いたように大げさにのけぞった。
「ジェジェジェ!」
「プッ...」
え、今度は朝の連ドラって。
マジかよ、なんなんだ、ジュリアって。
大和は笑いを堪えきれず、涙を流して大笑いした。美姫はジュリアの言っている意味が分からず、困惑している。
「こいつさぁ、高校ん時に1年間交換留学生として日本に滞在してたことがあってさ。そん時に流行ってた言葉とか、未だにドヤ顏で使いやがんの。
それ、もう誰も覚えてねーから!」
遼が困ったように説明する横で、ジュリアは美姫に迫るように話しかけてきた。
『で、あなたの名前は?』
『あ、美姫です』
ジュリアは美姫を一瞥してから、大和の腕に自分の腕を絡めた。
「リョー、マイカレシネ。ネトリ、ダメ!」
唖然とする美姫に、遼が焦った声を上げた。
『何だよ、寝盗りって! ったく、ろくでもない日本語ばっか覚えやがって。
てか、こいつら夫婦だから! 変な勘違いすんじゃねーよ、ジュリア!!』
大和はまたツボにハマったらしく、笑いを抑えきれないでいる。
遼は気まずくなったのか、立ち上がった。
「んじゃもう、次行こうぜ。
あ! とっておきんとこ連れてってやる。ほら、行くぞ!」
もう歩き出してしまった遼に追いつこうと、美姫と大和は慌てて食事を片付けた。
「相変わらず、強引だな」
そう言いながらも、大和は笑っていた。美姫も昔の遼を思い出し、納得したように笑い返した。
『待って! 私も行く!』
ジュリアが遼の元へと駆けて行き、手を繋ごうとして拒否されていた。
意外とあの二人、お似合いかも......
言い合いをしながら歩く二人を見て、美姫は微笑ましく彼らを眺めた。
ゴルフカートで移動中、ジュリアのスマホが鳴った。暫く話した後、横で運転する大和に腕を絡ませた。
『ねぇねぇ、これからみんなでサーフィン行こうよ! いい波出てるってさ!』
『行かねぇよ! こいつら、ウェットスーツどころか水着すら持ってねぇんだぜ。行けるわけねぇだろ』
『あっそ』
ジュリアは走行中のカートから飛び降りると3人に向かって手を振った後、掌同士を擦り合わせ、手裏剣を投げる仕草をした。
「サラバジャー!」
「ブブッ......ほんと、ジュリア、ツボすぎる。マジでヤバイ......」
最後まで大和を笑わせ、去って行った。
「Whatta hell(わっ、なんだよ)! Julia!!」
ジュリアと呼ばれた女の子は、嬉しそうに手を解くと遼の隣に座った。鼻の周りにそばかすがあり、愛嬌のある可愛い顔をしていた。
『お前なぁ、いきなりとかほんとやめろよ!』
『リョーのびっくりする顔が面白くてさ。ねぇねぇ、昨日言ってた日本から来る友達って彼らのことでしょ?
私にも紹介してよ』
ジュリアは遼とかなり親しそうだった。
『初めまして、来栖大和です』
『ヤマト!? ワーオ!うん、日本の男、「ヤマトダンジ」って感じするする、かっこいい!!』
それから美姫を見ると、『ちょっと待って』と言った。
「ワターシワ、ジュリアチャン、デス。
ヨシク、オネガ、モース」
『ジュリア、日本語話せるんだね』
感心する美姫に、遼がすかさず突っ込む。
「いやいや、日本語話せてねぇだろが」
ジュリアは遼が何といったのか意味は分からなかったものの、ニュアンスからよくないことを言われたと感じ取ったらしい。
「BYガエーシダ!!」
と言って、指を立てている。
それって、何年か前に流行って、また去年ブレイクしたドラマの「倍返し」のつもりか!?
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大和は笑いを堪えきれず、涙を流して大笑いした。美姫はジュリアの言っている意味が分からず、困惑している。
「こいつさぁ、高校ん時に1年間交換留学生として日本に滞在してたことがあってさ。そん時に流行ってた言葉とか、未だにドヤ顏で使いやがんの。
それ、もう誰も覚えてねーから!」
遼が困ったように説明する横で、ジュリアは美姫に迫るように話しかけてきた。
『で、あなたの名前は?』
『あ、美姫です』
ジュリアは美姫を一瞥してから、大和の腕に自分の腕を絡めた。
「リョー、マイカレシネ。ネトリ、ダメ!」
唖然とする美姫に、遼が焦った声を上げた。
『何だよ、寝盗りって! ったく、ろくでもない日本語ばっか覚えやがって。
てか、こいつら夫婦だから! 変な勘違いすんじゃねーよ、ジュリア!!』
大和はまたツボにハマったらしく、笑いを抑えきれないでいる。
遼は気まずくなったのか、立ち上がった。
「んじゃもう、次行こうぜ。
あ! とっておきんとこ連れてってやる。ほら、行くぞ!」
もう歩き出してしまった遼に追いつこうと、美姫と大和は慌てて食事を片付けた。
「相変わらず、強引だな」
そう言いながらも、大和は笑っていた。美姫も昔の遼を思い出し、納得したように笑い返した。
『待って! 私も行く!』
ジュリアが遼の元へと駆けて行き、手を繋ごうとして拒否されていた。
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言い合いをしながら歩く二人を見て、美姫は微笑ましく彼らを眺めた。
ゴルフカートで移動中、ジュリアのスマホが鳴った。暫く話した後、横で運転する大和に腕を絡ませた。
『ねぇねぇ、これからみんなでサーフィン行こうよ! いい波出てるってさ!』
『行かねぇよ! こいつら、ウェットスーツどころか水着すら持ってねぇんだぜ。行けるわけねぇだろ』
『あっそ』
ジュリアは走行中のカートから飛び降りると3人に向かって手を振った後、掌同士を擦り合わせ、手裏剣を投げる仕草をした。
「サラバジャー!」
「ブブッ......ほんと、ジュリア、ツボすぎる。マジでヤバイ......」
最後まで大和を笑わせ、去って行った。
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