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変わらぬ思い
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遼の言った通りセタンフォード大学のキャンパスは全米屈指で世界第2位、その広さは8180エーカー(3310ヘクタール≒993万坪)と54万人が住む東京都杉並区と同じ広さほどある。
メインキャンパスの正面から向かって右半分には主に理科系の学部、左半分には主に文科系の学部が配置されており、学生は、右半分を「Techy(テッキー)」、左半分を「Fuzzy(ファジー)」と呼んでいる。
遼はゴルフ場でよく見られるカートを前に、得意げに鼻を鳴らした。
「今日は俺様が特別にキャンパスツアーをしてやるよ。てか、本当に現役の学生が観光客に向けて、これ運転してツアーしてんだぜ」
「ゴルフカートでキャンパスツアーなんて、規模が違うな」
改めて、日本の大学との違いをまざまざと見せつけられた気分だった。
入口は広々としており、開けた印象だった。
広大な敷地に点在する建物は全て黄土色の石造りにオレンジの屋根で統一されており、平屋造りの建物が多かった。コロニアル調な建物と青々とした芝生、そして雲ひとつない青空が美しく調和し、カリフォルニアの温暖な気候と相まって、まるで南国のような開放的な雰囲気を感じさせた。
入口を入ってからMain Quadと呼ばれる中庭を抜けると、メモリアルチャーチ(聖堂)があった。外壁に描かれた金箔入りの壁画に圧倒される。
中に入ると天井には細かな模様の壁画があり、随所に見られるアーチも厳かな雰囲気を醸し出していた。
入口の頭上には立派なパイプオルガンが置かれ、美姫が神聖な気持ちに包まれながら席に腰掛けていると、入口の方から遼の声が響いた。
「よーし、購買部行こうぜ、購買部!」
その声を聞き、隣に座っていた大和と目を合わせ、笑い合う。
「あいつ、小さい頃から教会の雰囲気好きじゃないよな」
「よく居眠りしてたもんね」
地下1階、上2階建ての建物の2階に購買部があり、たくさんの大学グッズで占められている。
大人用のTシャツやトレーナーに混じって、子供服もあった。他にはノートやボールペン、電卓といった文房具からバックパック、ウォーターボトルやマグカップ等も置いてある。
「あ、これ可愛い」
美姫は大学周辺の地図がコミカルに描かれたマグカップを購入し、大和は遼の強い勧めでセタンフォード大学のロゴ入りTシャツを買わされることになった。
敷地内には生活に必要なガソリンスタンド、自動車の整備工場、郵便局、更には9メガワットの発電所、2つの独立した水道システム、3つのダム、3つの貯水施設、88マイル(141キロ)の給水管、集約冷暖房施設、高電圧配電システムと、完全に独立したコミュニティをもっていた。
高級ブランドの店が連なるショッピングセンター、ゴルフコースやパブ、バーなどの娯楽施設も備えており、大学だけでひとつの街を形成している。美姫は、ゴルフカートがあって本当によかったと思った。
夏休みの為、構内の学食は開いていない。学食とはいっても日本にあるような学生食堂ではなく、構内で営業しているファーストフード店だ。
そこで、ショッピングセンターのフードコートで食事をすることにした。ようやく座れることが出来、気持ちが落ち着いた。
遼は、今手伝っている研究や、これから大学で勉強したいことなどについてひとしきり語った。
日本で遼を見送る時、これからひとり海外に発つ彼にエールを送りながらも心配していたが、遼は逞しく、生き生きと輝いていた。
薫子との別れは辛い経験だったが、それさえも遼を成長させる糧になっているのを感じ、そんな彼を頼もしく思った。
「Hey, Ryo!
Whatcha doin(何してんの)?」
小麦色というのがぴったりな日焼けした金髪のロングヘアーの女の子が、いきなり遼を後ろからハグ、というよりは羽交い締めにしている。
メインキャンパスの正面から向かって右半分には主に理科系の学部、左半分には主に文科系の学部が配置されており、学生は、右半分を「Techy(テッキー)」、左半分を「Fuzzy(ファジー)」と呼んでいる。
遼はゴルフ場でよく見られるカートを前に、得意げに鼻を鳴らした。
「今日は俺様が特別にキャンパスツアーをしてやるよ。てか、本当に現役の学生が観光客に向けて、これ運転してツアーしてんだぜ」
「ゴルフカートでキャンパスツアーなんて、規模が違うな」
改めて、日本の大学との違いをまざまざと見せつけられた気分だった。
入口は広々としており、開けた印象だった。
広大な敷地に点在する建物は全て黄土色の石造りにオレンジの屋根で統一されており、平屋造りの建物が多かった。コロニアル調な建物と青々とした芝生、そして雲ひとつない青空が美しく調和し、カリフォルニアの温暖な気候と相まって、まるで南国のような開放的な雰囲気を感じさせた。
入口を入ってからMain Quadと呼ばれる中庭を抜けると、メモリアルチャーチ(聖堂)があった。外壁に描かれた金箔入りの壁画に圧倒される。
中に入ると天井には細かな模様の壁画があり、随所に見られるアーチも厳かな雰囲気を醸し出していた。
入口の頭上には立派なパイプオルガンが置かれ、美姫が神聖な気持ちに包まれながら席に腰掛けていると、入口の方から遼の声が響いた。
「よーし、購買部行こうぜ、購買部!」
その声を聞き、隣に座っていた大和と目を合わせ、笑い合う。
「あいつ、小さい頃から教会の雰囲気好きじゃないよな」
「よく居眠りしてたもんね」
地下1階、上2階建ての建物の2階に購買部があり、たくさんの大学グッズで占められている。
大人用のTシャツやトレーナーに混じって、子供服もあった。他にはノートやボールペン、電卓といった文房具からバックパック、ウォーターボトルやマグカップ等も置いてある。
「あ、これ可愛い」
美姫は大学周辺の地図がコミカルに描かれたマグカップを購入し、大和は遼の強い勧めでセタンフォード大学のロゴ入りTシャツを買わされることになった。
敷地内には生活に必要なガソリンスタンド、自動車の整備工場、郵便局、更には9メガワットの発電所、2つの独立した水道システム、3つのダム、3つの貯水施設、88マイル(141キロ)の給水管、集約冷暖房施設、高電圧配電システムと、完全に独立したコミュニティをもっていた。
高級ブランドの店が連なるショッピングセンター、ゴルフコースやパブ、バーなどの娯楽施設も備えており、大学だけでひとつの街を形成している。美姫は、ゴルフカートがあって本当によかったと思った。
夏休みの為、構内の学食は開いていない。学食とはいっても日本にあるような学生食堂ではなく、構内で営業しているファーストフード店だ。
そこで、ショッピングセンターのフードコートで食事をすることにした。ようやく座れることが出来、気持ちが落ち着いた。
遼は、今手伝っている研究や、これから大学で勉強したいことなどについてひとしきり語った。
日本で遼を見送る時、これからひとり海外に発つ彼にエールを送りながらも心配していたが、遼は逞しく、生き生きと輝いていた。
薫子との別れは辛い経験だったが、それさえも遼を成長させる糧になっているのを感じ、そんな彼を頼もしく思った。
「Hey, Ryo!
Whatcha doin(何してんの)?」
小麦色というのがぴったりな日焼けした金髪のロングヘアーの女の子が、いきなり遼を後ろからハグ、というよりは羽交い締めにしている。
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