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サプライズ

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 お色直しの後の入場は先程とは違い、媒酌人なしで二人だけでの入場となる。大和は既に会場の扉の外に立っており、招待客に囲まれて雑談していた。

 そこへウェディングドレスの美姫が現れていっせいに色めき立つが、スタッフがそれを制すかのように声を掛ける。

「これから新郎新婦の入場となりますので、会場にお戻りください」

 それでも写真だけでも撮ろうと皆が美姫の元へと近づき、スマホを向ける。

「もう時間ですので、会場にお戻りください!」
「えぇー、まだちゃんと撮れてなぁい」
「せっかくここに新郎新婦が来てるって聞いて、来たのに.....」

 数人のスタッフが取り仕切り、攻防戦の末なんとかそこにいた全員を会場内へ押し込み、入場の準備を整える。

「すげぇ雰囲気変わったな」

 先程の色打掛から一転、ウェディングドレスに変わった美姫を見て、心の底から驚いたように大和が呟く。

 美姫が大和の顔を覗き込んだ。

「他に言うことは?」
「き...綺麗、だ」

 どもりながら告げる大和に、美姫がにっこり微笑む。

「うん、合格!」

 扉の内側からは、しっとりとしたジャズの演奏が聞こえてきた。

 もうスライドショーは終わったよね。
 薫子と悠、大丈夫かな。きっと、凄い噂の的になってるよね......

 だが、それは二人の意思でもあった。

 もう、世間に隠し事をしたくない、風間家の一員であることに胸を張り、誇りを持ちたいと、世間に二人の仲を公表することにしたのだ。

 きっと、ふたりなら乗り越えられる。

 心配を振り切った美姫に、大和がボソッと呟いた。

「俺、今度は絶対なんか食う」

 大和の固い決意を聞き、美姫は隣でクスリと笑った。

「フフッ、頑張って」
 
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