<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

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思うがゆえの苦しみ

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 美姫は入籍し、結婚式の日取りも決まったことを薫子に報告しようと決めた。 入籍はマスコミで報道されたので既に知っているかもしれないが、直接会ってちゃんと話がしたかった。

 薫子が家を出てばあやのアパートに引っ越して以来連絡していないので、薫子がスマホを持っているかどうかもわからない。わかるのは、家の電話番号だけだ。

 美姫は、緊張しながらも電話をすることにした。

 呼出音が鳴った後、ガチャッと受話器を取る音が聞こえた。

『もしもし......』

 電話を取ったのは、ばあやだった。

「ご無沙汰しています、美姫です。薫子は、そちらにいますか」
『まぁ、美姫様。お久しぶりでございます。
 それが......薫子様は、今お出かけになっておりまして』
 
 美姫は、ばあやの声に覇気がないことに気づいた。

「あの、薫子......最近、どうですか?」

 ばあやは躊躇いつつも答えた。

『薫子様は、私には何もおっしゃいませんが......どうやら、密かにお仕事を探されているようで』
「薫子が、ですか!?」
『えぇ......自立したいとのお気持ちはわかりますが、ご自分を追い込んでいらっしゃるようで......見ていて、辛いのです』

 そ、んな......妊娠しているんだから、無理したらだめなのに。

「あの......薫子に会うことは出来ますか」

 会って、少しでも話を聞いて楽にさせてあげたい......

 美姫はそう思ったが、ばあやは言いにくそうに言葉を濁らせた。

『美姫様のお気遣いは大変嬉しいのですが......今、美姫様は時の人です。たくさんの報道陣から追いかけられ、注目を集められている美姫様がもし薫子様と会うことになれば、そこから薫子様の事情が知られてしまう恐れがあります。櫻井の家を出たことや妊娠していることが発覚したら、それこそマスコミの餌食となりかねません。
 申し訳ないのですが、今はそっと遠くから見守っていただけないでしょうか』

 ばあやの言葉にショックを受けつつも、彼女の気持ちも痛いほど分かった。マスコミに追われ、精神的に追い詰められた美姫だからこそ、薫子に同じ気持ちを味わわせたくない。

「では、せめて電話で話をするだけでも......薫子に、入籍の報告をさせてもらえませんか」

 直接会えなくても、話をするだけなら出来るよね?

 美姫の言葉にばあやは長い沈黙の後、苦しげに言葉を紡いだ。

『今、薫子様はご自分のことで精一杯です。美姫様のご結婚すら、お祝いできるような状態ではありません。
 ......実のところ、薫子様はまだ美姫様が入籍されたことをご存知ありません。美姫様が大和様と入籍したことを知れば、ご自分も早く悠様と会えるようにと、薫子様は今まで以上にご自分にプレッシャーをかけることになると思います。私は、これ以上薫子様のお気持ちを乱すことのないよう、悠様と気持ちが通じ合うまで黙っているつもりでおります。
 申し訳ないのですが、薫子様が新たに道を切り拓かれるまで、そっと見守っていてくださいませんか。どうか、お願い致します』

 ばあやさん......

 幼少からずっと薫子を守り、支えてきた美姫にとって、それはとても辛い言葉だった。

 けれど、今きっと薫子に必要なのは、誰かに頼って甘えることではないんだ。
 自分で悟り、歩き出し、乗り越えていくことなんだ......

「分かり、ました。どうか、薫子がこれ以上無理をしないよう、見守っていてください。よろしくお願いします」

 ばあやの嗚咽が受話器越しに響いた。

『美姫、様......本当に、申し訳......ございません......』

 美姫は終了ボタンを押してからも、スマホのスクリーンをじっと見つめていた。

 薫子......どうか、自分を追い詰めないで。
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