<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

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痣痕

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 記者会見が終わると、俺たちは急いで別の服に着替え、従業員しか知らない通路を抜けて裏口へと出た。そこには、白のプリウスが横付けされていた。凛子おばさんが用意してくれたレンタカーだ。

 俺たちの姿に気付いたおばさんが運転席から降り、俺と替わった。おばさんは美姫に何か声を掛けてから、俺に手を振って立ち去った。これから、おじさんの病室に戻るのだ。

 美姫が急いで助手席に乗り、扉を閉めたのを確認するとアクセルを踏む足に力を込める。来栖秀一の待つ成田空港に、美姫を届けるためだ。

「ごめんね、こんなことまでさせて......」

 申し訳なさそうに謝る美姫に、俺はサングラスを掛け、真っ直ぐ前を見つめたまま言った。

「必ず、戻って来いよ」
「うん」

 成田空港第2旅客ターミナルビル横の南オペレーションセンターの車寄せで停車する。

 成田空港に、こんなところがあるなんて知らなかった......

 セレブが利用するプライベートジェットのプレミアゲートにも関わらず、入口はひっそりとしていて、目立たない。美姫は横目で入り口を確認すると、鞄を持つ手に力を込めた。

「大和、ホテルの部屋で待っててくれる?」

 ほんとに、ついて行かなくて大丈夫なのか?

 その言葉を飲み込み、頷いた。

「あぁ、分かった」

 美姫が扉に手を掛けて開き、足を踏み出す。揺れた髪から美姫の香りがして、思わずその手を掴みそうになった。

 扉を閉めた美姫が、ウィンドウ越しに俺に手を振る。俺は手を振ることが出来ず、軽く挙げただけだった。

 それからは、後ろを振り向くことなく美姫は中へと入って行った。

 行っちまった......

 その後ろ姿をボーッと見つめていた俺は、後ろからタクシーにクラクションを鳴らされて正気を取り戻した。

 美姫を、信じるしかない......

 気を取り直すと、空港近くのホテルへと車を走らせた。


 歩き回るスペースもないような狭いシングルルームで美姫を待つ間、生きた心地がしなかった。美姫を行かせたことを、心の底から後悔していた。

 もし、来栖秀一が無理やりにでも美姫をウィーンに連れて行ったら......

 美姫は、あいつのマネージャーもボディーガードも二人連れているし、大丈夫だと言っていた。だが、あの来栖秀一だ。俺の不安は、少しも小さくなることはなかった。

 まさか、逆上して美姫を傷つけるようなことは......しねぇよな。

 鼓動が激しくなってくる。

 そんなこと、あるはずない。

 そう思いながらも、不安は増していくばかりだった。このまま美姫の帰りを待っていることに、耐えられなくなった。

 やっぱり、迎えに行こう......

 そう思った時、小さく扉を叩く音が聞こえてきた。それと同時に走り出し、慌てて扉を開く。

 そこには、俯いた美姫が立っていた。

「美姫! よか......よかっ、た......」

 無事に戻って来たことに安堵し、全身の力が抜けそうになる。だが、誰かに見られる恐れがあるかもしれないと気づき、美姫を素早く扉の中に迎え入れ、抱き締めた。

 美姫は、俺に抱き締められたまま、黙ってずっと肩を震わせていた。やがて......嗚咽を漏らし、俺に縋り付いて泣き出した。

「ッ...ッッ......ウゥゥッ......ック...ッグ」

 美姫が落ち着いた頃を見計らってベッドに座らせた。

「なんか、あったかいもん持ってきてやるから」

 ビジネスホテルに置いてあるようなティーバッグの紅茶じゃ、美姫の口には合わないかもしれないが、何もないよりはましだろう。

「ほら」

 マグカップを差し出した俺に、美姫は俯いていた顔を上げ、それを受け取った。美姫を見下ろした俺は、美姫の首に赤黒い痣を見つけ、驚愕した。

「そ、れ......」

 白く透き通るような首と対照的な真っ赤な指の痕が二本、鮮やかに浮かび上がっている。

 マグカップの紅茶が大きく揺れて、俺の指にかかった。だが俺は、そんな熱ささえ、感じられずにいた。

 美姫はマグカップを俺の手から片手で受け取り、もう一方の手で首を抑えた。

「......」

 美姫は、黙ったまま俯いていた。だが、それは誰につけられた痣なのかは明白だった。

 あいつは、お前を殺そうとしたのか?

 美姫が以前に心中を謀ろうとした時、来栖秀一は美姫に手を掛けることはしなかった。それを聞いていたから、俺は悪い予感がしながらもあいつがそこまでしないだろうと推測していた。

 そう、だ......あいつの独占欲は半端ねぇ。
 美姫が俺の元に行くことを、来栖秀一が許容するはずなんて、なかった。

「許、せねぇ......」

 怒りで拳を震わせる俺を美姫がハッと見上げ、無理やり笑みをつくってみせた。

「心配、しないで......もう、終わったから。
 秀一さんを、見送ってきたから」

 光を失った瞳を見つめているだけで、胸が潰れそうに痛くなる。

 俺が、美姫に出来るのは......傍にいてやることだけだ。

 湧き上がる怒りの感情を抑え込み、美姫の頭に軽く触れた。

「おかえり」

 美姫は、ホッとしたように息を吐いた。

「ただ、いま。
 待っていてくれて、ありがとう」
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