<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

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晴天の霹靂(へきれき) ー大和回想ー

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 すると、お袋が鼻を鳴らした。

「美姫さん、今じゃそこらの芸能人よりも有名なわけじゃない? なにせ、あの『ピアノ界の貴公子』来栖秀一を虜にしたと噂の姪っ子ですものね。そこを上手く利用するってわけ。
 来栖秀一との恋愛関係を記者会見で否定し、本当にあなた達ふたりがこれから夫婦として来栖財閥を再建していくんだってとこを華やかに世間にアピールするのよ。テレビや雑誌の取材に応じるのはもちろん、来栖財閥の開発した商品についてのCMに出演したりね。あなたたち、若くて美男美女だから、世間に注目されること間違いないわよ。

 そこは、逆に非難を受けることのないよう宣伝戦略も慎重に考えないといけないけれど、いい知り合いがいるから紹介してあげるわ、ふふっ。

 影でいくつもの企業回って頭下げたり、自社製品の開発に努めたってね、世間はそんなの評価しないの。どんどん表に立って直接消費者に訴えかけていかなくちゃ。

 マスコミに叩かれたんだったら、今度はそれを利用しなさいな。どれだけ世間がマスコミに影響されるか身をもって知った美姫さんですもの、私の意味、分かるでしょう?」

 頭にカッと血が上った。

「そんなこと、出来るわけねぇだろ! 美姫があの週刊誌のせいで、どれだけ傷ついたと思ってんだ!
 もし美姫が世間に顔を見せれば、また来栖秀一のことについて聞かれたり、蒸し返されることになるのは分かんだろ! 広告塔だなんて、まるで人身御供ひとみごくうじゃねぇか!

 これ以上こいつを傷つけることは、俺が許さない!」

「大和、口のきき方に気をつけなさい」

 今まで黙って聞いていた大兄が、俺を窘めた。滅多に怒ることのない大兄の圧力のある声音に、俺の熱が一気に下がった。

 美姫が、そっと俺の手に自身の手を重ねた。

「大丈夫、だから......」

 俯き、俺にしか聞こえないぐらい小さな声で言うと、顔を上げた。

「来栖財閥は今、消費者の信用を失い、不買運動までおこっています。両親は来栖財閥を立て直すために必死に働きかけていますが、おっしゃる通り、それによって失った消費者の信頼を取り戻すことは、正直出来ていません。
 ......もし、私が表に立つことが来栖財閥再建に繋がるというのなら、なんでもする覚悟でいます」
「美姫......」

 美姫の決意を聞き、不安が広がっていくのを止められない。

 だが、彼女の言葉には不安など感じられなかった。

「来栖財閥が失墜してしまったのは、父が倒れたのは、私が原因です。私には、来栖財閥を立て直し、その下にいる従業員を守る義務があります」

 美姫は、力強く言った。そこには、相当の覚悟が滲んでいた。

 美姫は、肚をくくってる。だったら俺は、そんな美姫を支えてやらなければいけないんだ。

「分かった。だったら俺も、協力する」

 安心しろ。
 お前のことは、俺が絶対に守ってやるから......

 掌を返し、重ねられた美姫の手を強く握り締めた。凛子おばさんは、その様子を心配そうに見つめていた。

 ひろ兄が、読み上げていた紙にお袋の条件を付け足した後、万年筆と共に凛子おばさんに2通書状を差し出す。

「それでは、こちらにご署名とご捺印を。来栖誠一郎氏には回復次第、ご署名を頂くということでお願いします」

 あくまでビジネス対応なひろ兄に、胸糞悪さを覚える。いつも家で会うときは、俺にゲームで対戦挑んできたり、買ってきた服を次々に見せては古い服を押し付けてきたりするくせに。
 別人、みたいだ。

「えぇ、それで結構です」

 凛子おばさんは書状を受け取ると、万年筆の蓋を外した。俺は、凛子おばさんと美姫が署名するのをただ見ていることしか出来なかった。
 
「大和、お前もだ」

 ひろ兄に言われ、「あぁ...」と美姫から紙とペンを受け取り、署名し、親指で捺印する。

 婚約のためにこんなことをしなければならないのかと思うと苦い気持ちになったが、美姫との結婚を認めてもらえたことは予想外だったので、安心もした。
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