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晴天の霹靂(へきれき) ー大和回想ー
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親父たちに会うにあたって、俺が考えたこと。
それは、彼らを説得するためには真実を話すべきではない、ということだった。
もし美姫が来栖秀一と本当に関係があり、未だ未練を引き摺りながらも俺と婚約したなんて聞いたら親父たちが許すはずがない。
それは、俺に対する同情や美姫に対しての怒りなんかじゃない。世間体だ。
政治家である親父は、世間体を一番に気にする。世間にどう思われるかが、一番大事なのだ。
その為には、今日親父たちと会った時に、俺と美姫が恋人であることを信じさせ、婚約者として認められるような話を作り上げなければならない。
だがここで、問題が発生した。
凛子おばさんが、自分も俺の家族に挨拶したいと申し出たのだ。
そこで俺は美姫と凛子おばさんを含め、作戦を練ることにしたのだが、話していくうちに、どうしても避けて通れない話があることに気づいた。
---美姫が、藤堂礼音に襲われたという過去。
これをきっかけに、来栖秀一が藤堂礼音に報復し、その復讐として藤井久美が美姫と来栖秀一のスキャンダルを暴露した。美姫は、この事実をずっと両親に知られたくないと思い、隠していた。
美姫の心情は、痛いほど分かる。だが、これを避けてどうしてふたりの情事が暴かれることになったのか、それに対して俺たちは俺の両親や世間に対してどう対処しなければならないのか話し合うことは出来なかった。
躊躇う美姫を目の前にして、凛子おばさんが訴えかけた。
『美姫、あなたは大和くんに私たちの、来栖家の過去を語ったのでしょう? 大和くんに、隠し事はしたくないと。
私もそうですよ。美姫、どんなに辛くてもあなたの過去を知りたいし、受け止めたい。
もうお互いに......秘密を隠して幸せな振りはしていたくないの』
美姫が、俺を見つめる。俺は、力強く頷いた。
『分かり、ました......』
美姫は、ずっと俺の手を握っていた。その手は冷たく、震えていた。
美姫は少し話しては止め、また少し話しては涙ぐみ......結局、殆どは俺が説明することになった。
美姫の話を聞き終えた凛子おばさんは怒りと悲しみ、そしてショックで暫くの間、口を聞けなかった。肩を震わせ、嗚咽を漏らした。
『ッご、め...ごめ、なさ......ック。あなたの、苦しみを......ウッ...受け止めて、あげられ......なか......ッッた』
おばさんが震える手を美姫に差し出し、背中に回すと引き寄せた。
『おか......ッさ、ま......ッグ。ずっと......ウゥッ......黙ってて、ウッ......ごめな......さ...ック』
美姫は母親に大事にされ、愛されているなと感じた。俺の心に、小さな隙間風が入り込んだ気がした。
お互いの秘密がなくなったところで、俺たちは話し合いを続けた。美姫は、自分たちは秘密を打ち明けたのに、俺の家族に対して嘘をつくことは......と躊躇った。
『俺の両親は、誠一郎おじさんや凛子おばさんみたいな人じゃないんだ。真実を話せば、絶対に婚約は認めてもらえない。
だから、絶対に悟られないようにしねぇといけないんだ』
俺の訴えと凛子おばさんからの説得により、美姫は納得したかは分からないものの、頷いてくれた。
こういう時、凛子おばさんは頼りになる。辻褄が合わなくならないよう、細かいところまで詰めてくれて、壮大なシナリオを完成させてくれた。
あとは、本番に臨むだけだ。
それは、彼らを説得するためには真実を話すべきではない、ということだった。
もし美姫が来栖秀一と本当に関係があり、未だ未練を引き摺りながらも俺と婚約したなんて聞いたら親父たちが許すはずがない。
それは、俺に対する同情や美姫に対しての怒りなんかじゃない。世間体だ。
政治家である親父は、世間体を一番に気にする。世間にどう思われるかが、一番大事なのだ。
その為には、今日親父たちと会った時に、俺と美姫が恋人であることを信じさせ、婚約者として認められるような話を作り上げなければならない。
だがここで、問題が発生した。
凛子おばさんが、自分も俺の家族に挨拶したいと申し出たのだ。
そこで俺は美姫と凛子おばさんを含め、作戦を練ることにしたのだが、話していくうちに、どうしても避けて通れない話があることに気づいた。
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これをきっかけに、来栖秀一が藤堂礼音に報復し、その復讐として藤井久美が美姫と来栖秀一のスキャンダルを暴露した。美姫は、この事実をずっと両親に知られたくないと思い、隠していた。
美姫の心情は、痛いほど分かる。だが、これを避けてどうしてふたりの情事が暴かれることになったのか、それに対して俺たちは俺の両親や世間に対してどう対処しなければならないのか話し合うことは出来なかった。
躊躇う美姫を目の前にして、凛子おばさんが訴えかけた。
『美姫、あなたは大和くんに私たちの、来栖家の過去を語ったのでしょう? 大和くんに、隠し事はしたくないと。
私もそうですよ。美姫、どんなに辛くてもあなたの過去を知りたいし、受け止めたい。
もうお互いに......秘密を隠して幸せな振りはしていたくないの』
美姫が、俺を見つめる。俺は、力強く頷いた。
『分かり、ました......』
美姫は、ずっと俺の手を握っていた。その手は冷たく、震えていた。
美姫は少し話しては止め、また少し話しては涙ぐみ......結局、殆どは俺が説明することになった。
美姫の話を聞き終えた凛子おばさんは怒りと悲しみ、そしてショックで暫くの間、口を聞けなかった。肩を震わせ、嗚咽を漏らした。
『ッご、め...ごめ、なさ......ック。あなたの、苦しみを......ウッ...受け止めて、あげられ......なか......ッッた』
おばさんが震える手を美姫に差し出し、背中に回すと引き寄せた。
『おか......ッさ、ま......ッグ。ずっと......ウゥッ......黙ってて、ウッ......ごめな......さ...ック』
美姫は母親に大事にされ、愛されているなと感じた。俺の心に、小さな隙間風が入り込んだ気がした。
お互いの秘密がなくなったところで、俺たちは話し合いを続けた。美姫は、自分たちは秘密を打ち明けたのに、俺の家族に対して嘘をつくことは......と躊躇った。
『俺の両親は、誠一郎おじさんや凛子おばさんみたいな人じゃないんだ。真実を話せば、絶対に婚約は認めてもらえない。
だから、絶対に悟られないようにしねぇといけないんだ』
俺の訴えと凛子おばさんからの説得により、美姫は納得したかは分からないものの、頷いてくれた。
こういう時、凛子おばさんは頼りになる。辻褄が合わなくならないよう、細かいところまで詰めてくれて、壮大なシナリオを完成させてくれた。
あとは、本番に臨むだけだ。
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