<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

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崩れゆく世界

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 コンビニに入った途端、美姫の全身に日常が目から、耳から、鼻から、肌から入ってくる。

 整然と並べられた商品。店内を流れるキャンペーンの案内放送。おでんのだしの匂い。生暖かい空気......それらに懐かしいものを感じるよりも、違和感を覚えずにはいられなかった。

 洗面所に入り、胃の中をグルグルしていた消化物を吐き出すと、ようやくすっきりした。口を濯ぎ、手を洗った後、鏡に映る自分を覗く。

 向こう側に映る自分もなんだか本物ではないような......そんな気がしてくる。コンビニエンスストアという日常の世界に戻ってきた自分が、酷く不思議に思えてならない。

 アリスが、不思議な世界に入り込んでしまったのとは逆に。
 桃源郷の住人である自分が、日常の世界に入り込んでしまった違和感を覚えた。

 洗面所から出た美姫は入口へと戻り、カゴを手にした。

 まだ胃の中に気持ち悪さが残っているため食欲はないが、今日の分の食料を確保しなくてはならない。人目につかないよう、俯いたままおにぎりやお弁当、スナック等を手早く入れていく。

 飲み物を選ぶために冷蔵庫に向かうと、そのすぐ脇は雑誌コーナーとなっていた。

 見たく、ない。

 そのまま無視しようとしたものの、やはり気になり、美姫は向きを変えてそちらへ恐る恐る足を踏み入れた。幸いそこには、美姫の他に誰も客はいなかった。


 さまざまな種類のニュース、週刊誌、月刊誌、漫画などが並ぶ中、美姫と秀一の仲を暴露した例の週刊誌も置いてあった。

 あれから10日経ち、週刊誌は新しいものに変わっている。だが、そこには以前よりも更に詳しく自分達のことが、あることないこと面白おかしく書き立てられているであろうとこは、容易に想像がついた。

『ピアノ界の貴公子』来栖秀一と姪である来栖財閥令嬢の禁忌の恋愛が発覚し、その後ふたりは失踪して世間から行方をくらましたのだ。話題にならない筈がない。

 美姫は、こわごわ表紙のタイトルを目で追っていった。

 まるで週刊誌一冊全てが、特集記事のようになっていた。そこには、秀一と美姫についての禁断の関係や失踪先についての見解、来栖財閥の危機的状況や秀一のスポンサーや彼の活動を支えていた企業の怒りの声、ファンの様々な反応などを謳ったタイトルが表紙を賑わせていた。

 予想していたこととはいえ、失踪後、いかに世間では自分達のことが大騒ぎになっているのかを知り、美姫の胸が苦しくなった。

 そんな中、ひとつの記事のタイトルに美姫の目が釘付けになった。

「『来栖秀一のスクープ写真はヤラセ』書き遺して自殺したカメラマン。深まる死の謎!?」


 ジ、サツ......!?
 
 
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