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復讐の誓い ー久美回想ー
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大学に入学したら、大学生活を楽しもうと私は心に決めていた。
レイプされたぐらいで、自分の一生を棒に振るなんて馬鹿げてる。私は、負けない。あんなことぐらい、なんてことない。
そう言い聞かせて、明るく、いつでも笑顔でいるよう心がけた。友達を作ろう、彼氏だって作って、嫌なことはもう忘れるんだって思った。
大学生活に馴染もうと、必死だった。女友達は次第に出来てきて、それなりに大学生活も楽しくなってきた。
けど男性に対しては、以前のように接することが出来なくなっていた。
こんなんじゃ、ダメだ。これじゃ、遠沢のために私の人生がめちゃくちゃにされたって肯定することになっちゃう。
彼氏を作って、あんなこと何でもなかったって証明したいのに。男性の前だと、構えすぎて変に緊張してしまう自分がいた。
媚びた笑いを見せ、明るい自分を演じようとしてしまう。
好かれようと、本当の自分以上の自分を見せようとしてしまう。
そうすることで、愛される自分、優しくされる自分になろうと無意識のうちにしていたのかもしれない。
そんな私に、
『ねぇ、久美さ。もっと肩の力抜いて自然に笑ってみな?』
そう言ってくれたのが、礼音だった。
『え?』
私は驚いて目を瞠り、礼音をじっと見つめた。だって、礼音に話しかけられたのは、その時が初めてだったから。
同じ商学部ではあったけど、綺麗な容姿で常に最先端のファッションを身に纏った礼音はいつも女の子に囲まれていて、華やかな雰囲気を醸し出していた。地味でなんの取り柄もない私と接点なんて、あるはずなかった。
いきなり話しかけられたこともだけど、名前を知っていて、呼び捨てにされたことにもビックリだった。けど、それがなぜか、全然嫌じゃなかった。むしろ、親しみを込めて呼んでくれてる気がして......すごく、嬉しかった。
『私のこと......知ってたんだ』
独り言のように呟く。それは、単に私という存在を知っていたというだけでなく、私の内面をも知ってくれていたという意味でもあった。
礼音が、爽やかな笑顔を私に向けた。太陽の光を浴びて燦めく礼音は、キラキラと全てが輝いて見えた。
『藤井 久美、でしょ? 俺と同じ「藤」がつく女の子だーっ!て思った。
無理して笑うのってさ、笑顔でいても心は辛いっしょ。笑いたい時笑って、それが心からの笑顔だったらさ、久美はもっともっと可愛くなれると思うよ』
そう言うと、礼音は「じゃあね!」と手を振り、風のように去って行った。礼音が視界から消えてしまっても、私の目は礼音を追いかけ続け、胸のドキドキは収まることがなかった。
礼音の笑顔を見ただけで、今までの嫌なことが全て忘れられる気がした。
あの笑顔が、特別な笑顔じゃないってことは分かってる。きっと、たくさんの女の子に向けられているであろうことも。あの言葉だって、私にとっては忘れられない言葉だけど、礼音にとっては他愛ない会話のひとつでしかないかもしれない。
それでも......私は礼音から目を離すことが出来ず、彼のことを毎日考えずにはいられなかった。
彼の前で、自然に笑える女の子になりたい。そして、いつかあの笑顔を私だけに向けてもらえるようになれたら......
そんな願いを、いつしか胸の奥に抱くようになっていた。
レイプされたぐらいで、自分の一生を棒に振るなんて馬鹿げてる。私は、負けない。あんなことぐらい、なんてことない。
そう言い聞かせて、明るく、いつでも笑顔でいるよう心がけた。友達を作ろう、彼氏だって作って、嫌なことはもう忘れるんだって思った。
大学生活に馴染もうと、必死だった。女友達は次第に出来てきて、それなりに大学生活も楽しくなってきた。
けど男性に対しては、以前のように接することが出来なくなっていた。
こんなんじゃ、ダメだ。これじゃ、遠沢のために私の人生がめちゃくちゃにされたって肯定することになっちゃう。
彼氏を作って、あんなこと何でもなかったって証明したいのに。男性の前だと、構えすぎて変に緊張してしまう自分がいた。
媚びた笑いを見せ、明るい自分を演じようとしてしまう。
好かれようと、本当の自分以上の自分を見せようとしてしまう。
そうすることで、愛される自分、優しくされる自分になろうと無意識のうちにしていたのかもしれない。
そんな私に、
『ねぇ、久美さ。もっと肩の力抜いて自然に笑ってみな?』
そう言ってくれたのが、礼音だった。
『え?』
私は驚いて目を瞠り、礼音をじっと見つめた。だって、礼音に話しかけられたのは、その時が初めてだったから。
同じ商学部ではあったけど、綺麗な容姿で常に最先端のファッションを身に纏った礼音はいつも女の子に囲まれていて、華やかな雰囲気を醸し出していた。地味でなんの取り柄もない私と接点なんて、あるはずなかった。
いきなり話しかけられたこともだけど、名前を知っていて、呼び捨てにされたことにもビックリだった。けど、それがなぜか、全然嫌じゃなかった。むしろ、親しみを込めて呼んでくれてる気がして......すごく、嬉しかった。
『私のこと......知ってたんだ』
独り言のように呟く。それは、単に私という存在を知っていたというだけでなく、私の内面をも知ってくれていたという意味でもあった。
礼音が、爽やかな笑顔を私に向けた。太陽の光を浴びて燦めく礼音は、キラキラと全てが輝いて見えた。
『藤井 久美、でしょ? 俺と同じ「藤」がつく女の子だーっ!て思った。
無理して笑うのってさ、笑顔でいても心は辛いっしょ。笑いたい時笑って、それが心からの笑顔だったらさ、久美はもっともっと可愛くなれると思うよ』
そう言うと、礼音は「じゃあね!」と手を振り、風のように去って行った。礼音が視界から消えてしまっても、私の目は礼音を追いかけ続け、胸のドキドキは収まることがなかった。
礼音の笑顔を見ただけで、今までの嫌なことが全て忘れられる気がした。
あの笑顔が、特別な笑顔じゃないってことは分かってる。きっと、たくさんの女の子に向けられているであろうことも。あの言葉だって、私にとっては忘れられない言葉だけど、礼音にとっては他愛ない会話のひとつでしかないかもしれない。
それでも......私は礼音から目を離すことが出来ず、彼のことを毎日考えずにはいられなかった。
彼の前で、自然に笑える女の子になりたい。そして、いつかあの笑顔を私だけに向けてもらえるようになれたら......
そんな願いを、いつしか胸の奥に抱くようになっていた。
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