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復讐の誓い ー久美回想ー
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そして、あの事件から2週間後。
美姫が、寮に戻ってきた。
その日の講義に提出する予定のレポートを部屋で纏めていると、誰かが走ってくる足音が響いた。
煩いなぁ......
そう思っていると、その足音が近くで止まり、ドアが開いて閉まる音が響く。
え......今のって......
緊張が、高まった。
そっと壁に近づいて耳を当てると、隣の美姫の部屋からガサガサと物音が聞こえてきた。
美姫が、帰ってきたの!?
じっと聞き耳をたてていると、引き出しを開ける音やガムテープで留めるような音が聞こえて来る。
ここを、出て行くつもりなんだ......
美姫が引っ越しすることは聞いていた。でも、予定では年が明けてからのはず。いきなり2週間も姿を消して、帰ってきたと思ったら慌てて荷造りするなんて、どう考えてもおかしい。
美姫の行動に不信感を覚えながらも、美姫が無事でいたことに心から安堵もした。
これで、誘拐されていた可能性はなくなった。でもそうなると、やっぱりどうしても美姫を疑わずにはいられなくなる。
部屋の扉を開けると、美姫もちょうど段ボール箱を抱えて部屋を出るところだった。美姫は段ボール箱で視界を遮られているため、私が近くにいることには気づいていないようだ。段ボール箱を床に置こうと腰を曲げている美姫に、後ろからおずおずと声を掛けた。
『美姫?』
その声に、段ボール箱を下ろして私を見上げた美姫の表情は、真っ青だった。美姫はこの2週間のうちにかなり痩せ、暗い影を背負っているかに見えた。
やっぱり......美姫は、礼音と何かあったんだ。
美姫の表情を見た瞬間に、そう確信した。
『美姫……2週間も、どうしてたの!?』
泣きそうになりながらも、美姫の答えを聞きたくて必死に見つめた。
『ごめ、ん……』
美姫は、たった一言だけ言うと、俯いた。
何が、『ごめん』なの? 何に対しての、『ごめん』なの?
誰に向けた、『ごめん』なの......
私の中で、美姫に対する疑問が次々と湧き上がってくる。
荷物のことを指摘すると、
『退寮……しようと、思って……』
そう言って、美姫は再び俯いた。
美姫は、私に何も話さずここを出て行くつもりだった。もしかしたら、大学にさえも戻らないつもりかもしれない。
私がどんな思いで美姫のことを2週間待ち続けたのか、知ることもなく......
俯き続ける美姫を見ていたら、胸の奥底から激しい怒りが湧き上がってきた。
私は、掠れそうになる喉を振り絞って声を出した。
『ねぇ……知ってる?礼音、退学になったんだよ……』
礼音に、あんなことをしたのは美姫。あなたなの?そして、礼音を退学にまで追い込んだのは......あなたなの?
『……え?』
心底驚いたように、目を見張る美姫。
美姫じゃ、ない......
美姫の反応を見て、礼音が退学になったことを全く知らなかったのだとすぐに感じた。きっと、礼音に酷い仕打ちをしたのも美姫じゃない。
そう思ったら、安堵の息が漏れた。
『私たちが礼音の家でクリスマスパーティーやった翌日……大学の掲示版に貼ってあったの。
……礼音は、大学には……一度も来てない……』
私の脳裏には、2週間前礼音のアパートで見た、あの凄惨な姿が焼き付いていた。情景だけでなく、あの時の匂いや音までが全身の細胞に刻み込まれ、嗚咽と共に吐き気まで覚えて口を塞いだ。
美姫は、突然友達が退学になったことに対する反応以上の狼狽ぶりを見せた。さっきの私が声をかけた時の反応といい、美姫は何かを知っているとしか思えない。
誰が、礼音にあんな酷い仕打ちをしたのか。
誰が、礼音を退学に追い込んだのか。
教えて。教えてよ......
いったい、誰が礼音をあんな目に合わせたの!?
進み寄ろうとする私に対して美姫は、血の気のない顔で足を一歩後ろに退いた。
逃がさない!!!
美姫の両腕を掴んで迫る。
『美姫!!!答えてよ!!!あの夜、何があったの!?何で礼音は退学になったの!?何で美姫は2週間も寮に戻って来なかったの!?
……どうして……何も……ウッ、ウッ……言って……ウグッ…ッグ…ぐれ、な…い…ヒグッ…ッグ…』
私の必死の訴えに、美姫は呆然と立ち尽くしていた。
胸の内の更なる怒りの感情が渦を巻き、美姫の腕を強く掴んで、激しく揺さぶった。
『ッグ…ッグ…ねぇってば!!!おじ…ッグ…おじえ…ウッウッ…でよっ!!!ウグッ』
美姫は私の問いに答えることなく、顔を真っ白にして呼吸が荒く乱れ始めた。
え...え......な、に!?
驚いている間にも美姫は痙攣して激しく震え、やがて意識を失って倒れてしまった。
『み、き......?』
まさか美姫が倒れるなんて思っていなかった私は、いきなりの状況に気が動転して崩れ落ち、頭が真っ白になる。呆然と美姫を見つめたまま、固まった。
美姫が、寮に戻ってきた。
その日の講義に提出する予定のレポートを部屋で纏めていると、誰かが走ってくる足音が響いた。
煩いなぁ......
そう思っていると、その足音が近くで止まり、ドアが開いて閉まる音が響く。
え......今のって......
緊張が、高まった。
そっと壁に近づいて耳を当てると、隣の美姫の部屋からガサガサと物音が聞こえてきた。
美姫が、帰ってきたの!?
じっと聞き耳をたてていると、引き出しを開ける音やガムテープで留めるような音が聞こえて来る。
ここを、出て行くつもりなんだ......
美姫が引っ越しすることは聞いていた。でも、予定では年が明けてからのはず。いきなり2週間も姿を消して、帰ってきたと思ったら慌てて荷造りするなんて、どう考えてもおかしい。
美姫の行動に不信感を覚えながらも、美姫が無事でいたことに心から安堵もした。
これで、誘拐されていた可能性はなくなった。でもそうなると、やっぱりどうしても美姫を疑わずにはいられなくなる。
部屋の扉を開けると、美姫もちょうど段ボール箱を抱えて部屋を出るところだった。美姫は段ボール箱で視界を遮られているため、私が近くにいることには気づいていないようだ。段ボール箱を床に置こうと腰を曲げている美姫に、後ろからおずおずと声を掛けた。
『美姫?』
その声に、段ボール箱を下ろして私を見上げた美姫の表情は、真っ青だった。美姫はこの2週間のうちにかなり痩せ、暗い影を背負っているかに見えた。
やっぱり......美姫は、礼音と何かあったんだ。
美姫の表情を見た瞬間に、そう確信した。
『美姫……2週間も、どうしてたの!?』
泣きそうになりながらも、美姫の答えを聞きたくて必死に見つめた。
『ごめ、ん……』
美姫は、たった一言だけ言うと、俯いた。
何が、『ごめん』なの? 何に対しての、『ごめん』なの?
誰に向けた、『ごめん』なの......
私の中で、美姫に対する疑問が次々と湧き上がってくる。
荷物のことを指摘すると、
『退寮……しようと、思って……』
そう言って、美姫は再び俯いた。
美姫は、私に何も話さずここを出て行くつもりだった。もしかしたら、大学にさえも戻らないつもりかもしれない。
私がどんな思いで美姫のことを2週間待ち続けたのか、知ることもなく......
俯き続ける美姫を見ていたら、胸の奥底から激しい怒りが湧き上がってきた。
私は、掠れそうになる喉を振り絞って声を出した。
『ねぇ……知ってる?礼音、退学になったんだよ……』
礼音に、あんなことをしたのは美姫。あなたなの?そして、礼音を退学にまで追い込んだのは......あなたなの?
『……え?』
心底驚いたように、目を見張る美姫。
美姫じゃ、ない......
美姫の反応を見て、礼音が退学になったことを全く知らなかったのだとすぐに感じた。きっと、礼音に酷い仕打ちをしたのも美姫じゃない。
そう思ったら、安堵の息が漏れた。
『私たちが礼音の家でクリスマスパーティーやった翌日……大学の掲示版に貼ってあったの。
……礼音は、大学には……一度も来てない……』
私の脳裏には、2週間前礼音のアパートで見た、あの凄惨な姿が焼き付いていた。情景だけでなく、あの時の匂いや音までが全身の細胞に刻み込まれ、嗚咽と共に吐き気まで覚えて口を塞いだ。
美姫は、突然友達が退学になったことに対する反応以上の狼狽ぶりを見せた。さっきの私が声をかけた時の反応といい、美姫は何かを知っているとしか思えない。
誰が、礼音にあんな酷い仕打ちをしたのか。
誰が、礼音を退学に追い込んだのか。
教えて。教えてよ......
いったい、誰が礼音をあんな目に合わせたの!?
進み寄ろうとする私に対して美姫は、血の気のない顔で足を一歩後ろに退いた。
逃がさない!!!
美姫の両腕を掴んで迫る。
『美姫!!!答えてよ!!!あの夜、何があったの!?何で礼音は退学になったの!?何で美姫は2週間も寮に戻って来なかったの!?
……どうして……何も……ウッ、ウッ……言って……ウグッ…ッグ…ぐれ、な…い…ヒグッ…ッグ…』
私の必死の訴えに、美姫は呆然と立ち尽くしていた。
胸の内の更なる怒りの感情が渦を巻き、美姫の腕を強く掴んで、激しく揺さぶった。
『ッグ…ッグ…ねぇってば!!!おじ…ッグ…おじえ…ウッウッ…でよっ!!!ウグッ』
美姫は私の問いに答えることなく、顔を真っ白にして呼吸が荒く乱れ始めた。
え...え......な、に!?
驚いている間にも美姫は痙攣して激しく震え、やがて意識を失って倒れてしまった。
『み、き......?』
まさか美姫が倒れるなんて思っていなかった私は、いきなりの状況に気が動転して崩れ落ち、頭が真っ白になる。呆然と美姫を見つめたまま、固まった。
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