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復讐の誓い ー久美回想ー
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翌日になっても美姫は帰って来ず、相変わらず電話も繋がらないままだった。もし実家にいるのだとしても電話が繋がらず、寮にすら連絡しないなんておかしい。
やっぱり、警察に連絡しよう。
そう思いながら寮の管理室を通り過ぎると、小川さんに声をかけられた。
『あ、藤井さん!来栖さん、連絡あったわよ。
事情があって、しばらくは寮に戻れないって。ったく、そういうことは、もっと早くに言って欲しいわよねぇ』
『え!?連絡あったんですか!?美姫が、電話してきたんですか!?』
勢い込んで話す私にも小川さんは全く動じず、いつもの調子で答えた。
『男の人の声で保護者だって言ってたから、来栖さんのお父さんでしょ。こっちとしては保護者から連絡が来て、面倒なことにならなくてよかったわぁ』
よかった......美姫、自宅に帰ってたんだ。
安心した途端、全身から力が抜けた。
小川さんにお礼を言って大学へと向かいながら、時間が経つにつれ、私の中でだんだんと釈然としない思いが芽生えてきた。
美姫が無事なのだとしたら、なんで自分で寮に電話しなかったんだろう。本当に連絡してきた人は、お父さんなんだろうか。
美姫が未だ拉致されている可能性を考えて心配しつつも、もうひとつの可能性を考えずにはいられなかった。
ずっと胸の奥に押し込めて否定し、信じたくなかった可能性。
もし、あの日。
礼音が、美姫を襲ったのだったとしたら......
そして、その報復を、美姫がしたのだとしたら......
美姫には、出来ない。
例え......礼音に何かされたのだったとしても......
私が知る美姫が、本当の美姫なら......あんな酷いこと、出来るはずない。仮に礼音に復讐したい気持ちを持っていたのだとしても、あれほどのことを美姫ひとりでやれるはずない。
---共犯が、いたとしたら?
美姫が誰かに頼んで、礼音に復讐を頼んだの?
だとしても......本当に美姫は、ここまでの仕打ちを望んだの?
友達だった、礼音に......
今でも、思い出すだけで全身に鳥肌が立ち、吐き気を覚える。あの、陰惨な姿。
しかも、礼音は翌日に退学処分まで受けている。
そこまで礼音に、憎しみを抱いていたの!?
美姫とは、その後も連絡がつくことはなかった。
麻子は礼音と美姫の間に何かあったんじゃかいかって疑って、何度もそのことで私に聞いてきたけど、その度にはぐらかした。勝と匠は、麻子みたいに煩くは言わないけど、二人共礼音と美姫の行方について心配していた。
一方、大学では、ふたりは駆け落ちしたんじゃないかって密かに噂になっていた。礼音の取り巻きだった女の子たちや、美姫と仲が良かったことを知る友達など、いろんな人から二人のことを聞かれたけれど、私は「何も知らない」の一点張りで、沈黙を貫き通した。
日にちが経過するごとに、秘密を抱えていることへの重圧は増していった。でも、重圧が増すことで、ますます警察にも、誰にも話せなくなっている自分がいた。
話したら……なんでそんなこと、もっと早くに言わなかったんだと責められそうで。怖くて……
警察に言ったところで、ちゃんと対応してくれるのか、疑いの気持ちもあった。
それに、もし美姫が礼音に復讐したのだとしたら......ちゃんと、美姫の口から直接理由が聞きたい……そう、思っていたから。
礼音を襲った犯人については、何も分からないままだった。
礼音は......まともに話を出来る状態じゃ、なかった。
やっぱり、警察に連絡しよう。
そう思いながら寮の管理室を通り過ぎると、小川さんに声をかけられた。
『あ、藤井さん!来栖さん、連絡あったわよ。
事情があって、しばらくは寮に戻れないって。ったく、そういうことは、もっと早くに言って欲しいわよねぇ』
『え!?連絡あったんですか!?美姫が、電話してきたんですか!?』
勢い込んで話す私にも小川さんは全く動じず、いつもの調子で答えた。
『男の人の声で保護者だって言ってたから、来栖さんのお父さんでしょ。こっちとしては保護者から連絡が来て、面倒なことにならなくてよかったわぁ』
よかった......美姫、自宅に帰ってたんだ。
安心した途端、全身から力が抜けた。
小川さんにお礼を言って大学へと向かいながら、時間が経つにつれ、私の中でだんだんと釈然としない思いが芽生えてきた。
美姫が無事なのだとしたら、なんで自分で寮に電話しなかったんだろう。本当に連絡してきた人は、お父さんなんだろうか。
美姫が未だ拉致されている可能性を考えて心配しつつも、もうひとつの可能性を考えずにはいられなかった。
ずっと胸の奥に押し込めて否定し、信じたくなかった可能性。
もし、あの日。
礼音が、美姫を襲ったのだったとしたら......
そして、その報復を、美姫がしたのだとしたら......
美姫には、出来ない。
例え......礼音に何かされたのだったとしても......
私が知る美姫が、本当の美姫なら......あんな酷いこと、出来るはずない。仮に礼音に復讐したい気持ちを持っていたのだとしても、あれほどのことを美姫ひとりでやれるはずない。
---共犯が、いたとしたら?
美姫が誰かに頼んで、礼音に復讐を頼んだの?
だとしても......本当に美姫は、ここまでの仕打ちを望んだの?
友達だった、礼音に......
今でも、思い出すだけで全身に鳥肌が立ち、吐き気を覚える。あの、陰惨な姿。
しかも、礼音は翌日に退学処分まで受けている。
そこまで礼音に、憎しみを抱いていたの!?
美姫とは、その後も連絡がつくことはなかった。
麻子は礼音と美姫の間に何かあったんじゃかいかって疑って、何度もそのことで私に聞いてきたけど、その度にはぐらかした。勝と匠は、麻子みたいに煩くは言わないけど、二人共礼音と美姫の行方について心配していた。
一方、大学では、ふたりは駆け落ちしたんじゃないかって密かに噂になっていた。礼音の取り巻きだった女の子たちや、美姫と仲が良かったことを知る友達など、いろんな人から二人のことを聞かれたけれど、私は「何も知らない」の一点張りで、沈黙を貫き通した。
日にちが経過するごとに、秘密を抱えていることへの重圧は増していった。でも、重圧が増すことで、ますます警察にも、誰にも話せなくなっている自分がいた。
話したら……なんでそんなこと、もっと早くに言わなかったんだと責められそうで。怖くて……
警察に言ったところで、ちゃんと対応してくれるのか、疑いの気持ちもあった。
それに、もし美姫が礼音に復讐したのだとしたら......ちゃんと、美姫の口から直接理由が聞きたい……そう、思っていたから。
礼音を襲った犯人については、何も分からないままだった。
礼音は......まともに話を出来る状態じゃ、なかった。
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