441 / 1,014
復讐の誓い ー久美回想ー
6
しおりを挟む
重い躰と心を引き摺るようにして礼音のアパートから寮に戻る途中、電話が入った。着信音から麻子からだと分かったけど、出る気になどなれなくて無視した。
すると、今度はLINEにメッセージが入った音がした。スマホを取り出すのすら億劫だったけど、そこまでして伝えたい、緊急のことなのかと思うと、もう無視するわけにいかない。
コートのポケットからスマホを取り出して、LINEを開く。
『ねぇ久美、今どこにいるの?
礼音が退学になったって......知ってた?礼音を放校処分にするって、学長からの通達が掲示板に貼ってあったの。久美は、なんで礼音が退学になったか知ってる?私、何も聞いてないんだけど。勝も匠も知らないって言うし、美姫には連絡とれないし......
なんかもう、みんな礼音の色んな噂で持ちきりで、大騒ぎになってるよ!』
え......礼音が、退学!?
思わず立ち止まり、何度も麻子からのメッセージを読み、反芻する。
な、んで礼音が退学に......しかも、放校って。
通常の退学であれば取得した単位は有効の為、他大学に行ってもそれを使うことができる。除籍の場合は学籍を抜くことになるため、在籍していた事実そのものを消去されることになるため、単位も無効となる。ただ、理由によっては再入学することもうちの大学では認められている。
けれど放校となった場合、うちの大学においては懲戒における除籍を意味する為、在籍していた事実が抹消されるだけでなく、その後の復学も認められない。
どうして、突然こんなことになったの......
礼音は講義をサボることもあったし、レポートを提出しないこともあったけど、放校にされるほどではない。親が裕福で、十分な仕送りをもらっているはずだから、授業料を滞納している可能性もない。
犯罪に関わるようなことでも起こさない限り、放校になんて、学長であっても出来ないはず......
それは、昨夜の出来事が原因なの?
でも、昨夜起こった事件を受けて、今朝に既に放校の処分が出るなんて......そんなこと、普通に考えて出来るはずない。
寮に戻ってみると、礼音が退学処分になった話題で持ちきりだった。人ごみを避けるようにして通り抜け、美姫の部屋へと向かう。
やっぱり、いない......
その事実を知った途端、私は自分ひとりが大きな秘密を抱えていることに怖ろしくなった。
やっぱり、警察に通報するべきじゃ......私ひとりで、抱え切れる問題じゃない。
美姫の親だって、心配するはず......
そう思った時に、美姫が実家に帰っている可能性もあることに気づいた。
そうだ、もしかしたら何かあってただ実家に戻ってるだけかもしれない。
部屋から出て、管理室へと向かった。
『すみません......』
遠慮がちに声をかけると、管理人の小川さんが面倒臭そうに立ち上がる。
『あの......隣の部屋の来栖さんが昨日から戻ってなくて。連絡もつかなくて。
心配なので、彼女の実家の電話番号を教えてもらいたいんですけど』
小川さんは、学生のプライバシーに関する事項だからと言い、美姫の実家の電話番号は教えてくれなかった。
『いい大人なんだし、あんまり関与したくないんだけどねぇ。外泊届けが出てないから、もし3日過ぎても連絡ないようなら保護者に連絡することになってるから。
まったく、ちゃんと規則は守ってもらわないと困るわねぇ』
『そう、ですか......』
みっ、か......その間に、もし美姫の身に何かあったら......
そう思うと、不安で堪らなかった。
すると、今度はLINEにメッセージが入った音がした。スマホを取り出すのすら億劫だったけど、そこまでして伝えたい、緊急のことなのかと思うと、もう無視するわけにいかない。
コートのポケットからスマホを取り出して、LINEを開く。
『ねぇ久美、今どこにいるの?
礼音が退学になったって......知ってた?礼音を放校処分にするって、学長からの通達が掲示板に貼ってあったの。久美は、なんで礼音が退学になったか知ってる?私、何も聞いてないんだけど。勝も匠も知らないって言うし、美姫には連絡とれないし......
なんかもう、みんな礼音の色んな噂で持ちきりで、大騒ぎになってるよ!』
え......礼音が、退学!?
思わず立ち止まり、何度も麻子からのメッセージを読み、反芻する。
な、んで礼音が退学に......しかも、放校って。
通常の退学であれば取得した単位は有効の為、他大学に行ってもそれを使うことができる。除籍の場合は学籍を抜くことになるため、在籍していた事実そのものを消去されることになるため、単位も無効となる。ただ、理由によっては再入学することもうちの大学では認められている。
けれど放校となった場合、うちの大学においては懲戒における除籍を意味する為、在籍していた事実が抹消されるだけでなく、その後の復学も認められない。
どうして、突然こんなことになったの......
礼音は講義をサボることもあったし、レポートを提出しないこともあったけど、放校にされるほどではない。親が裕福で、十分な仕送りをもらっているはずだから、授業料を滞納している可能性もない。
犯罪に関わるようなことでも起こさない限り、放校になんて、学長であっても出来ないはず......
それは、昨夜の出来事が原因なの?
でも、昨夜起こった事件を受けて、今朝に既に放校の処分が出るなんて......そんなこと、普通に考えて出来るはずない。
寮に戻ってみると、礼音が退学処分になった話題で持ちきりだった。人ごみを避けるようにして通り抜け、美姫の部屋へと向かう。
やっぱり、いない......
その事実を知った途端、私は自分ひとりが大きな秘密を抱えていることに怖ろしくなった。
やっぱり、警察に通報するべきじゃ......私ひとりで、抱え切れる問題じゃない。
美姫の親だって、心配するはず......
そう思った時に、美姫が実家に帰っている可能性もあることに気づいた。
そうだ、もしかしたら何かあってただ実家に戻ってるだけかもしれない。
部屋から出て、管理室へと向かった。
『すみません......』
遠慮がちに声をかけると、管理人の小川さんが面倒臭そうに立ち上がる。
『あの......隣の部屋の来栖さんが昨日から戻ってなくて。連絡もつかなくて。
心配なので、彼女の実家の電話番号を教えてもらいたいんですけど』
小川さんは、学生のプライバシーに関する事項だからと言い、美姫の実家の電話番号は教えてくれなかった。
『いい大人なんだし、あんまり関与したくないんだけどねぇ。外泊届けが出てないから、もし3日過ぎても連絡ないようなら保護者に連絡することになってるから。
まったく、ちゃんと規則は守ってもらわないと困るわねぇ』
『そう、ですか......』
みっ、か......その間に、もし美姫の身に何かあったら......
そう思うと、不安で堪らなかった。
0
お気に入りに追加
343
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
義妹のミルク
笹椰かな
恋愛
※男性向けの内容です。女性が読むと不快になる可能性がありますのでご注意ください。
母乳フェチの男が義妹のミルクを飲むだけの話。
普段から母乳が出て、さらには性的に興奮すると母乳を噴き出す女の子がヒロインです。
本番はありません。両片想い設定です。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる