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復讐の誓い ー久美回想ー

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 昨日の夜......私たちはここで、クリスマスパーティーをした。

 気づくと、いつの間にか美姫がいなくなってた。

 その間に礼音はカラオケを予約していたことを忘れてたと言って、私たちを送り出した。礼音に私も残るって言ったんだけど、すぐに美姫と追いつくからって説得されて、仕方なくカラオケに行ったんだった。

 カラオケに到着し、みんなが盛り上がり始めた頃、スマホが鳴った。美姫からだった。

『ご、ごめん……私、今日は……帰るね。少し、飲み過ぎたみたいだし』

 帰りの心配をして声をかけたら、その途端、声の主が礼音に代わった。

『美姫ちゃんなら、俺が責任持って送り届けるから大丈夫。
 てか、その後そっち合流すると遅くなるし…悪いけど、今日はカラオケ、俺もパスするわ』

 その時、私は......心がもやもやして不安な気持ちになったのに、それを押し込めてしまった。

 あのふたりに、何かあるなんて、そんなことあるはずない。礼音はただ、美姫が夜道を一人で歩いて帰るのが心配だから送って行くだけ......

 そう思おうとしても気になって仕方なくて、カラオケを楽しむどころではなかった。

 一刻も早く、寮に帰りたい。帰って、確かめたい......ちゃんと、美姫が帰ってきているのか。
 美姫がいれば......ほら、取り越し苦労だったって、笑って安心できるから。

 カラオケが終わって、匠が女子寮の入口まで送ってくれた。お礼もそこそこに、急いで寮へ。

 管理人室に顔を出して帰宅を知らせ、走って美姫の部屋の前まで行くと、扉を叩いた。

『美姫。美姫、帰ってる?』

 部屋の明かりはついておらず真っ暗で、扉に耳を当ててもなんの音も聞こえてこない。急いでスマホを取り出し、美姫に電話を掛けるものの、一向に出る気配がない。

 それなら、礼音に......そう思ったものの、それは出来なかった。

 礼音に電話することで、ふたりが一緒だと認めてしまうことになる気がして、こわかったから......

 美姫!美姫!
 何、してるの? どこにいるの?
 ......誰と、いるの?

 私は一睡も出来ないまま、何度も何度も美姫の部屋を訪ねた。

 そして、そのまま朝を迎えることとなった。

 美姫は結局、帰ってこなかった。私の不安は、ますます大きくなるばかりだった。

 それでも、まだふたりが何かしたとは決まってない。そう思いながらも、いても立ってもいられなかった。

 朝食の時間になってもまだ美姫が帰って来ていないことを確認した途端、私の足は一心に礼音のアパートへと向かっていた。

 美姫は、私が礼音を好きなことを知っている。それに、他に好きな人がいるとも言ってた。
 もし礼音が誘ったのだとしても、美姫にかぎって私を裏切るなんて、ありえない。

 知りたい。ちゃんと、真相が知りたい。
 そこに、私が望んでいない光景があったとしても......

 けれど、私がその扉の奥で見たものは.......予想を遥かに覆す光景だった。

 昨日の夜、一体何があったの!?
 なんで礼音が襲われたの!?

 強盗?男性を狙ったレイプ魔?精神異常の通り魔?
 部屋は荒らされた形跡はないから、強盗であることは考えられない。レイプ魔や通り魔にしては、用意が周到すぎる。礼音のことを知っていて、狙ったのだとしか思えない。

 美姫、は......美姫も、事件に巻き込まれてるの?
 もしかしてこれは、美姫を狙った誘拐が目的だったの!?

 わか、らない......
 美姫、今......どこに、いるの?

 スマホを手にし、何度美姫に電話しても、やっぱり繋がらない。

 お願い......どうか、無事でいて......

 震える両手でスマホを握りしめ、祈るように胸に抱き締めた。
 
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