<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

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再来

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 翌日。

 美姫が秀一のベッドで朦朧とした意識の中、目を醒ました時には、秀一は既にいなかった。

 もう、仕事に行っちゃったんだ……

 あの後、実家から秀一の車で自宅へと戻り、不安と恐怖に怯える美姫を、秀一は一晩中ずっと抱き締めてくれていた。睡眠薬を飲めば、いつもなら強制的に眠りが訪れるはずなのに、その夜はあまりにも神経が昂ぶりすぎて薬でさえも効き目がなかった。世が明ける頃、体力と精神力が限界に達し、ついに瞼を閉じ、意識を失ったのだった。

 今朝の目覚めはいつも以上に悪い。美姫はベッドの中にいても寒気を覚えた。

 昨日、寒空の下長い時間ベンチで座っていたからだろうか。それとも、昨日、父と秀一の過去を知り、引き摺っているからだろうか。

 凍りついているような足を擦り合わせ、もう一度眠りにつこうとしたが、うまくいかない。まだ靄のかかった頭で、今ごろ秀一はどうしているのかと考えた。

 そうだ、今日は劇場のこけら落し公演だった。
 私も、観たかったな……

 どうして秀一は一言声をかけてくれなかったのかと、美姫が少し恨めしい気持ちでいると、インターホンのチャイムが鳴った。

 通常の訪問者であれば、美姫は出ることなどないが、インターホンは管理室からのものだった。大きな郵便物や宅配がある時などは、管理室から連絡があることを美姫は聞いていた。

 本人でもないのに、受け取っていいのかな。

 そう迷いつつも、もし至急必要なものだったら後で面倒なことになりそうだしと考え、インターホンの受話器を取った。

「はい」
『在宅されていてよかったです。バイク便の荷物の受け取りサインをお願いしたいのですが、よろしいですか』
「あの……本人じゃなくても、大丈夫ですか」

 恐る恐る尋ねると、管理人からは思ってもいなかった言葉が返された。

『それが……受取人は、来栖秀一様ではなく、来栖美姫様となっておりまして』
「えっ!? 私、ですか……?」

 手早く着替えてエレベーターに乗り込んだ美姫の表情は、蒼白だった。

 いったい、どういうことだろう……

 管理人には賃貸契約する際に、秀一が自分の叔父であり、保護者であることは伝えていた。だが、美姫が現在、秀一の自宅に住んでいることは伝えていなかった。

 誰にも、知られていなかったはずなのに。

 美姫の脳裏に、昨日秀一に見せられた茶封筒に入っていた写真が蘇る。

 もしかして……お父様に封筒を送りつけた主が、今度は私宛に何か送りつけてきたんじゃ。

 不安が増幅する中、管理人室へ向かうと、そこにはヘルメットを片手に下げたバイク便の配達人と思われる若い男がいた。

「すみません、サインをお願いします」

 男の手から美姫の視界に現れたのは……実家に投函されたのと同じ、あの茶封筒だった。

「ッ!!」

 思わずたじろぎそうになるが、美姫はなんとか平静を装った。

 もしかして、この人も仲間なのかもしれない……

 そう思って配達人の顔を見上げたが、見覚えのない若い男だということしか美姫には分からない。

「あの……ここに、置いてもらえますか」

 直接手で受け取れない美姫は、配達人の男に受付の机に受領書を置いてもらった。

 いったい、今度は何を送りつけてきたの……

 動揺を悟られないようにして受け取りのサインをするが、指先が震える。
 
 茶封筒には差出人の名前がなかった。

「あ、の……これを送った人、どんな人でした?」

 美姫は、バイク便の男におずおずと尋ねた。

「いや、それがね。指定された集荷先に行ったら料金と荷物が置いてあるだけだったんで、誰かは見てないんすよ。こっちも忙しいからいちいち構ってられないんで、そのまま集荷してきちゃったんですけどね」
「そう、ですか……」

 美姫は配達人と管理人にお礼を告げると、足早にエレベーターに乗り込んだ。

 ひとりになると、美姫の口から重い溜息が漏れる。

 怖い……私の生活が、誰かに覗き見されているなんて。

 軽いはずの茶封筒が、美姫の手の中でズシリと重く響いた。
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