<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

文字の大きさ
上 下
373 / 1,014
それぞれの懺悔

しおりを挟む
 突然白い扉が開き、看護師がストレッチャーと共に出てきた。その上には、様々な管に繋がれた悠が全身を包帯に巻かれた状態で横たわっている。

 美姫と大和は思わず立ち上がったものの、あまりにも悲惨な悠の姿を見て息を呑み、立ち尽くした。

 一方静音は、悠人の制止を振り切ってストレッチャーに縋り付く。

「悠!悠ちゃ!ママよ!目を開けて!!!お願いっっ!!!
 ゆーーーーーーーーーーーーーーうっっ!!!!!」

 悠人と看護師数人で、追い縋る静音を引き剥がす。

「お母様......
 息子さんをこれからICU(集中治療室)へと移動させますから、ここを通してください」

 非情とも思える看護師の言葉に静音は短い呻き声をあげ、膝から崩れ落ちた。

 その奥から手術を担当したと思われる中年の医師が、ゆっくりとした歩幅で現れる。マスクを口から外し、落ち着いた様子で悠人と静音を見る素振りは穏やかでありながらも、こんな時だからこそ、先程の看護師よりも非情な気がした。

「ご家族の方ですね? 息子さんの容体と手術について詳しくお話ししたいのですが......」

 悠人は医師に頷くと、美姫と大和を横目で見た。

 すると、医師は悠人の意思を読み取り、首を振った。

「申し訳ないのですが......友人の方は、ご遠慮ください」

「ここにいても、君たちには何もすることが出来ない。二人は家に帰りなさい。後で、悠のことについて連絡するから......」

 悠人は美姫と大和に向かってそう言うと、静音を支えながら医師について行った。

 残されたふたりは、力が抜けたようにへなへなとベンチに凭れ掛かった。美姫の躰がまた小刻みに震えだす。

 悠......全身が包帯に巻かれていて、表情さえも見えなかった。
 それに......ICUって......それほど、危険な状態...ってこと、なの!?

 目の前が、真っ暗になった。
   
 目の当たりにした現実に打ち付けられ、今まで感じたことのなかった『死』という存在がひたひたと近づき、だんだんと大きく、濃くなり......美姫の目の前に、覆い被さるようにはっきりと立ちはだかる。

 怖い...怖い......
 今まで普通に会えていた友達が...死んでしまう、なんて......考えも、しなかった。

 人は、いつか死ぬということは分かっていたつもりだったけれど.....それは、ドラマの中だったり、誰か自分とは関わりのない人の死を聞くだけで、私には関係のない世界だと勝手に思っていた。

 こうして、いざ直面した時......私は、本当に死というものがどんなものなのか、全く分かっていなかったことを、強く思い知らされた。

「ウッ...ッグ...ウウッ......」

 お願い、です......どうか、どうか... 悠を死なせないで下さい。
 純粋に薫子を愛し、これから新しい人生を歩もうとしていたふたりを引き裂くようなことは、どうか......しないで......

「ヴッ...ヒグッ...ッッ」

 ただただ終わることのない後悔が、大波となって次々に美姫の胸に押し寄せる。

 なぜ、私は...どうして、 私は......!!!

 私の、せいだ。私の、せい......
 悠がこんなことになったのは、私の......

 肩を大きく震わせ、腰を折り曲げて泣いた。

「美、姫......」

 大和が美姫の肩を抱き寄せようと、腕を伸ばす。

 その時、遠くから微かに声が響いてきた。


「美姫!!!」

しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

義妹のミルク

笹椰かな
恋愛
※男性向けの内容です。女性が読むと不快になる可能性がありますのでご注意ください。 母乳フェチの男が義妹のミルクを飲むだけの話。 普段から母乳が出て、さらには性的に興奮すると母乳を噴き出す女の子がヒロインです。 本番はありません。両片想い設定です。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...