<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

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破門宣告

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 フラッシュバックを起こし、大学に戻ることが出来なくなった私に、秀一さんはこう告げた。

『3日後、一緒にオーストリアに行きますよ』
 
 日本をいったん離れて別の空気に触れることで、私の気持ちも少しは晴れるかもしれないと考えたと言っていた秀一さん。けれど、その心中にはザルツブルク音楽祭に向けて半年間の滞在、そして将来的にオーストリア移住の考えもあったかもしれない。

 ううん......秀一さんのことだから、私と恋人になる前から既にそのことを頭に入れていた可能性だってある。私はそんな秀一さんの思いなど知らず、初めての二人きりの旅行にすっかり浮かれ、高揚していた。

 秀一さんの全ての言動に胸をときめかせ、翻弄され、秀一さんに触れたい、触れて欲しいと強く求めた。
 その時は、もう事件のことなんてすっかり忘れていた。ただ、秀一さんが欲しい......その思いだけだった。

 久しぶりに感じた秀一さんの熱、感触にゾクゾクするほどの昂りを感じた。

 また、以前の私たちに戻れるのだと信じて疑わなかった。

 それが......

 秀一さんの指先によって呼び戻された悪夢。

 信じられなかった。秀一さんに対して拒否反応を起こしてしまったことがショックだった。
 慰めてくれる秀一さんに身を委ね、暗闇の底から引き上げて欲しいと願った......

 秀一さんが、私に拒否されたことにどれ程傷ついていたのか気づきもせずに。

 そして起こった秀一さんの拒否反応。

 重ならない、触れられない、届くことのない秀一さんの指先が……辛くて、悲しくて、苦しくて、仕方なかった。

 私があの事件で穢れてしまったせいなのだと思った。そんな私に、秀一さんが秘事の際に気付いたからなのだと。

 私は、秀一さんが焦燥し、苦悩し、葛藤していることなど考えもしなかった。

『秀一さん……抱いて、下さい……』

 もし秀一さんに触れてもらえないなら……それは私にとって一番苦しいこと、だから。
 また以前のように秀一さんと心だけでなく……躰も、繋がりたい……

 そんな思いで、恐れながらも必死で秀一さんに私の思いを伝えた。

 そこで明かされたRTS(レイプ外傷症候群)という病名。これから対峙していかなければならない深い過去の傷。

 いつ回復するのかも分からない。一生、背負っていかなければならないかもしれない。
 秀一さんはその事実を知った時、二人の未来をどのように捉えたのだろう......

 帰国したらカウンセリングに連れて行ってくれると言った秀一さんは、オーストリア移住という二人の未来に影が差すのを感じたのではないだろうか。

 私は、秀一さんが自分を受け入れてくれたことしか頭になかった。

 彼の優しい愛撫を私への気遣いなのだと思っていた。再びフラッシュバックを起こすのではないかと、その不安と恐怖を胸に私に触れていたなど、思いもつかなかった。

 秀一さんが突然私の中に入ってきた時ですら、

『ほら……愛し合う方法が見つかったでしょう?』

 そう自嘲気味に言った彼の真意に気づくことが出来なかった。

 繋がることが出来て嬉しいと、単純に私は喜んでいた。

 彼の苦しみを理解していなかった......

 秀一さんが心の奥に閉じ込めていた彼の本心、弱さ、脆さを見せてくれた時、私は今まで完璧で隙のない彼の虚像が崩れるのを感じた。そんな彼の新たな一面に驚き、戸惑った。

 けれど、同時に嬉しさも感じた。

 秀一さんの全てを受け止めたい。癒してあげたいと、初めて思った。
 秀一さんの弱さを知って、これまで以上に彼を愛おしく思った。

 更に深い愛情で繋がって。

 心も、躰も、魂も......幸福感で満たされていた。


 ......それで、ハッピーエンドだと思っていた。

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