<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

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足枷

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 それからシューイチとは、互いに連絡を取るようになった。

 私がコンサートで来日した際には、彼は必ずコンサートに顔を見せた。コンサートが終わるとその日の曲目を一つずつ追いながら解説し、時間のある時には実際にピアノを使って指導もした。

 そして、秀一もこちらにも短い期間ではあるが訪れるようになった。そんな時は、私はスケジュールを調整してなるべく時間を取り、彼に指導する時間に当てるようにした。

 彼は、私が指導するたびにピアノの腕をめきめきと上げ、ウィーンでは高いレベルの音楽に触れ、多いに刺激を受けていた。

 彼にもっともっとたくさんの経験をさせたい。ピアニストとしての高みへと引き上げてやりたい......

 そんな思いで彼に会う度にウィーンに来るよう説得したが、シューイチは首を縦に振ることはなかった。

 その理由は、シューイチが日本での私のコンサートに、ある少女を連れてきたことで明らかになった。

 観客席の前から二列目、真ん中の席に座るシューイチと少女はこちらからでもよく見えた。時々お互いの耳に手を当て、仲良く話すシューイチの姿は、今まで見たことがない程穏やかで幸せに溢れていた。

 それを見ただけで、私はシューイチのピアノは彼女によって変わったのだと確信した。

 それから月日が流れ、秀一が私の公演を聴きにウィーンに訪れた時、ついに秀一が私に師事する旨を伝えた。

『今までウィーンに留学することを拒否していましたが、ようやく決心がつきました。私を弟子として、受け入れて下さいますか』
『シューイチ!何、言ってるんだ!私はお前のことをずっと弟子だと思っていた。ようやくウィーンに来る決心をしてくれて、嬉しいぞ!』

 私は彼がようやくウィーンに来る決意を固めたことを心から喜んだ。

 彼はその際、二年間という期限をつけたが、私は軽く見ていた。

 ウィーンに来て、才能あるピアニストや素晴らしいオケの音楽に触れれば、シューイチは必ずここにもっと長く滞在したくなるはずだ。今は二年と言っているが、いずれは永住することになるだろう......

 そう思っていたのだ。


 ウィーンに来てからのシューイチは、まさにピアノ漬けの生活だった。私も彼に対しては特に熱心に指導をしたが、彼は一人の時でも没頭したようにピアノを弾き続けた。

 彼のピアノからは以前のような幸せに満ちた感情というよりは、聴いているものの胸を切なくさせるような悲哀を帯びていたが、それもまた深く感情を揺さぶられるものだった。シューイチのピアノに対する姿勢は他の弟子たちにも伝播し、それがより一層刺激になって、皆切磋琢磨しながらピアノの腕を磨いていった。

 特に、レオは......

 彼は昔のシューイチにどことなく似た雰囲気を持っていた。高い技術力を持ちながらも、心が抜けている。

 だが、私は今度はシューイチにしたような誤りを繰り返したくなかった。彼のピアニストとしての芽を、育ててやりたいと思った。

 レオは秀一に憧憬の念を抱いていた。そして、シューイチが指導することによって、彼のピアノに色が生まれ、どんどん深みのあるものへと変化していった。

 私は、後進を育てることがこんなにも楽しいとは思わなかった。

 シューイチは、一時帰国してから一時期は様子がおかしくなったものの、少しずつ回復し、以前のような笑みを見せるまでになった。私は、まぁ彼も若いから色々あるのだろうが、またこうして普通に戻ったのだから、ウィーンでの生活を続けるだろうとタカをくくっていた。

 ところが、あと1ヶ月で2年を迎えるという頃、秀一は日本に帰国するという意思を述べた。それを聞いた私も弟子たちも必死にシューイチを説得した。

 私は、引退した私の後釜にはシューイチを、と密かに考えていたし、彼の所属していたオケも彼の能力を高く評価し、彼目当てに通う聴衆も大勢いた。それに、弟子たちはシューイチを中心に纏まっているところが大いにあり、特にシューイチを失ったあとのレオはどうなるのか、不安に思っていた。

 だが、シューイチは帰国すると言って一歩も譲らず、結局予定通り二年間のウィーン滞在ののちに日本に帰ってしまった。それは、私たちだけでなく、ウィーンのシューイチのピアノを愛するファンにとっても大きな痛手だった。


『私はね、ミキ。
 私と弟子たちの為だけじゃなく、彼の音楽を愛するたくさんの人たちのためにもシューイチにウィーンに帰ってきて欲しいと願っているんだ』

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