<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

文字の大きさ
上 下
304 / 1,014
足枷

しおりを挟む
 私がシューイチを初めて見たのは、まだ彼が9歳か10歳の頃だった。

 その時、日本公演に来ていた私は、日本にピアノの神童がいると聞いて興味が湧いた。しかもその母親は元ピアニストであったエレナだと知り、興奮した。

 エレナとは彼女がウィーン留学時代に知り合った。その頃からゲイだった私には彼女に対しての恋心などはなかったが、彼女の弾くピアノが好きだった。

 透明感に溢れ、美しく繊細でありながら情感豊か。彼女が鍵盤に触れた先から音だけでなく、光が、色が、匂いが溢れ出し、情景を産み出し、聴いたものの心の奥深くにまで入り込む。その奏でに私だけでなく、誰もが強く惹かれたものだった。

 その後彼女は帰国し、私たちの連絡は途絶えたが、お互いピアニストとして活躍していれば必ずまた会えると信じていた。

 ......私は知らなかった。その後彼女がクルスの愛人になり、子供を産み、ピアニストとしての道を諦め、細々とピアノ教室をしていたことを。
 そして若くして事故で亡くなっていたことを......

 それを日本に来てから知った私は、愕然とした。そして、エレナの息子が私の滞在中にピアノコンクールに出場すると聞き、多忙なスケジュールの合間を縫って見に行くことにしたのだ。再びエレナの美しい調べを彼女の息子を通じて聴けるのではないか、と興奮を隠しきれずにいた。

 シューイチは、エレナの特徴をよく受け継いでいた。
 艶やかな黒髪、滑らかで白い肌、華奢な躰つき、すっと筋の通った鼻、聡明そうな顔立ち......しかし何と言っても彼のライトグレーの瞳。それは、エレナそのものだった。

 私はピアノ椅子に座るシューイチに釘付けとなった。

 だが、私の期待と興奮は彼の指先が鍵盤に掛かった途端、見事に裏切られることとなった。

 確かに、シューイチはその若さで言えばかなりの技術力があった。譜面通りにピアノを弾く、その意味では完璧であり、コンクールではまさにそれが問われる。

 だが......

 彼の目は、死んでいる......

 何をも映さない、深く淀んだ彼の瞳を見た途端、私は彼への興味を急速に失った。いくら技術が優れていても、プロのピアニストになるには人の心を動かすようなものがなければ成功しない。彼には、一番大切な心が欠けている。

 私はそこで彼を見切り、会場を後にした。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

義妹のミルク

笹椰かな
恋愛
※男性向けの内容です。女性が読むと不快になる可能性がありますのでご注意ください。 母乳フェチの男が義妹のミルクを飲むだけの話。 普段から母乳が出て、さらには性的に興奮すると母乳を噴き出す女の子がヒロインです。 本番はありません。両片想い設定です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...