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ベッドで穏やかに眠る美姫を見つめ、秀一は少しの後悔に囚われていた。
昨夜は一睡もすることができず、今日は久しぶりの社交ダンスのレッスンで疲れているであろう美姫を癒してあげるだけのつもりでいたのに、またしてもこんなことに......
どれだけ私は抑制のきかない男なのでしょうか。
美姫は翌日、二重の筋肉の疲労を感じるに違いない。だが、自分の仕掛けた罠に堕ちていく美姫を見るのは、至高のひと時でもあった。
最初は恥じらいを見せながら拒否していたのが、だんだんと快感に支配され、ついには自らそれを求めるようになる......
美姫が欲情に濡れた瞳で見上げ、自分を欲する時、秀一はなんとも言えない恍惚感を味わう。
貴女はどれだけ、私を溺れさせるのですか......
兄様夫婦が予定よりもあんなに早く帰国してしまったのは予定外でしたが、私たちの関係を保つためにもよかったのかもしれません。
秀一は、美姫が見せた不安げな表情を思い出しながら、そう考えた。
それにしても......母親といる時ですらパニックを起こしそうになるとは......
出来れば美姫を片時も離したくないが、そういうわけにもいかない。美姫にはまだ寂しい思いをさせてしまうが、昼は仲田さんになるべく付き添ってもらうように頼んでおきましょう。
夜は、なるべく仕事が遅くならないようにしなければ......
とは言え、秀一ひとりの意思でどうにかなる現場であれば問題ないが、オケとの共演の際などはどうにもならない。
美姫がいつまでも秀一なしで生きられないこの状況が続けばいいと願う一方で、それを続けていくことの難しさも感じていた。
秀一はアロマオイルを手に取ると、先ほど途中でやめてしまった脚のマッサージを始めた。美姫のしなやかで長い脚を、掌で足の付け根から爪先に向かって圧をかけながら流していく。
本当に美しい肢体ですね、貴女は......
足の甲を撫で、足の指に自身の指を絡めると、美姫の躰がピクン、と跳ねた。秀一は美姫の足の甲に口づけを落とすと、絡めた指を捻り回すようにしてマッサージし、それを外すと足の裏を丁寧に揉みほぐした。
美姫の先ほどの質問が脳裏に浮かび上がる。
『あの...秀一さん、今までに誰かにマッサージしたことあるんですか』
自嘲を込めた笑みが溢れる。
あるはずなど、ないでしょう......
美姫、貴女だけですよ。私をこんなにも動かすことが出来るのは。貴女といると、何でもして差し上げたくなる......
秀一は仕事の合間を縫ってアロマオイルの調合をしてもらいに行ったことを思い出した。
「我ながら...健気ですね」
秀一はマッサージを終え、美姫に掛け布団を丁寧に掛けるとベッドを下りた。
「愛していますよ、美姫......」
夜の深まった闇に響いた甘く囁かな響きは、美姫をふんわりと包んだ。
昨夜は一睡もすることができず、今日は久しぶりの社交ダンスのレッスンで疲れているであろう美姫を癒してあげるだけのつもりでいたのに、またしてもこんなことに......
どれだけ私は抑制のきかない男なのでしょうか。
美姫は翌日、二重の筋肉の疲労を感じるに違いない。だが、自分の仕掛けた罠に堕ちていく美姫を見るのは、至高のひと時でもあった。
最初は恥じらいを見せながら拒否していたのが、だんだんと快感に支配され、ついには自らそれを求めるようになる......
美姫が欲情に濡れた瞳で見上げ、自分を欲する時、秀一はなんとも言えない恍惚感を味わう。
貴女はどれだけ、私を溺れさせるのですか......
兄様夫婦が予定よりもあんなに早く帰国してしまったのは予定外でしたが、私たちの関係を保つためにもよかったのかもしれません。
秀一は、美姫が見せた不安げな表情を思い出しながら、そう考えた。
それにしても......母親といる時ですらパニックを起こしそうになるとは......
出来れば美姫を片時も離したくないが、そういうわけにもいかない。美姫にはまだ寂しい思いをさせてしまうが、昼は仲田さんになるべく付き添ってもらうように頼んでおきましょう。
夜は、なるべく仕事が遅くならないようにしなければ......
とは言え、秀一ひとりの意思でどうにかなる現場であれば問題ないが、オケとの共演の際などはどうにもならない。
美姫がいつまでも秀一なしで生きられないこの状況が続けばいいと願う一方で、それを続けていくことの難しさも感じていた。
秀一はアロマオイルを手に取ると、先ほど途中でやめてしまった脚のマッサージを始めた。美姫のしなやかで長い脚を、掌で足の付け根から爪先に向かって圧をかけながら流していく。
本当に美しい肢体ですね、貴女は......
足の甲を撫で、足の指に自身の指を絡めると、美姫の躰がピクン、と跳ねた。秀一は美姫の足の甲に口づけを落とすと、絡めた指を捻り回すようにしてマッサージし、それを外すと足の裏を丁寧に揉みほぐした。
美姫の先ほどの質問が脳裏に浮かび上がる。
『あの...秀一さん、今までに誰かにマッサージしたことあるんですか』
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あるはずなど、ないでしょう......
美姫、貴女だけですよ。私をこんなにも動かすことが出来るのは。貴女といると、何でもして差し上げたくなる......
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「我ながら...健気ですね」
秀一はマッサージを終え、美姫に掛け布団を丁寧に掛けるとベッドを下りた。
「愛していますよ、美姫......」
夜の深まった闇に響いた甘く囁かな響きは、美姫をふんわりと包んだ。
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