<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

文字の大きさ
上 下
274 / 1,014
聖夜のプレゼント

しおりを挟む
 カミルは「アヴェ・マリア」で美しい演奏と共に歌声で観客を魅了し、ミシェルは個性的なジャズで観客を沸かせ、楽しませた。

 レナードが登場すると、美姫の鼓動が一瞬跳ねた。

 秀一さんとの口づけの場面が脳裏にどうしても蘇ってしまう......

 美姫はその記憶を掻き消し、レナードの演奏に集中しようと努めた。

 音もなく椅子に腰掛け、すっと背筋が伸び、レナードの指がピアノの高音部の鍵盤に触れると演奏が始まった。 

「ラ・カンパネッラ (la Campanella)」 は、フランツ・リストのピアノ曲。ニコロ・パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章のロンド『ラ・カンパネッラ』の主題を編曲して書かれた。永遠にレのシャープが続くかのようなこの曲名のCampanellaとはイタリア語で「鐘」を意味している。

 す、すごい......

 秀一からレナードが12歳からピアノを習い始めたということを聞いていたので、美姫は彼の技術力の高さに圧倒された。

 作曲家としてだけでなく超絶的な技巧をもつ当時最高のピアニストで「ピアノの魔術師」とも呼ばれていたリストの曲は、非常に困難なテクニックを要求する曲が多い。だが、レナードはミスタッチなく流れるような所作で指先から次々と鐘を鳴らすような美しく響くメロディーを紡ぎ出していた。

 観客は皆息を詰めるように彼の指先を見つめ、感嘆の声を漏らした。

 曲の終わりとともにスタンディング・オベーションと拍手が沸き起こった。レナードは真っ直ぐにクリスタルブルーの瞳を向け、美しい所作でお辞儀をした。

 それはどこか、秀一のお辞儀と重なって見えた。

 秀一が舞台の袖から姿を現わすと、一気に観客がどよめき、そして大歓声とわれんばかりの拍手が巻き起こった。今日秀一が特別ゲストで招かれていることはサプライズであり、プログラムには載っていなかったので、観客は誰も秀一の出演を知らなかったのである。

 美姫はその歓声を聞き、秀一がオーストリアという異国の地でも大勢の人々から支持され、愛されていることを嬉しく思う反面、孤立感も感じていた。

 オーストリアで暮らし、活躍していた秀一さんを私は知らない。この人たちはどのようにして秀一さんを知り、ファンになったのだろう......

 秀一は美姫のいる方向に目を向け、一瞬笑みを浮かべた後、優美にお辞儀をした。

 演奏をしたのはクラシック曲ではなく、有名なクリスマスソング「ホワイトクリスマス」だった。

 秀一さんがコンサートでクラシック以外の曲を演奏するなんて、初めて......こんな貴重な機会を見ることが出来て、すごく嬉しい。

 美しく繊細な秀一の指先から紡ぎ出される調べは、雪の降る街を聴衆の脳裏に映像化させ、美しい冬景色が広がっていくようだった。

 高く大きな煌めくクリスマスツリー、街の家々の屋根に雪が降り積もり、窓からそれを見つめる子供たち。銀世界に包まれた、夢のような幸せに包まれたホワイトクリスマス......

 美姫は先日のレナードやザック、モルテッソーニの言葉を思い出していた。秀一の演奏は今までに何度も聴いているが、今の秀一の演奏からは幸せが溢れ出しているのが美姫にも伝わってきた。

「美姫......」

 隣に座っていた凛子が美姫にハンカチを差し出した。驚いて頬に触れると、美姫の目尻からは涙が零れていた。

「す、すみません...」

 慌ててハンカチで涙を拭いながらも、母に何か疑われたのではと焦りを感じた。

「美しい曲ね......」

 凛子は美姫に小声で話しかけ、ハンカチを受け取った。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

義妹のミルク

笹椰かな
恋愛
※男性向けの内容です。女性が読むと不快になる可能性がありますのでご注意ください。 母乳フェチの男が義妹のミルクを飲むだけの話。 普段から母乳が出て、さらには性的に興奮すると母乳を噴き出す女の子がヒロインです。 本番はありません。両片想い設定です。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

処理中です...