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美姫への想い ー大和過去編ー
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美姫はレストランから出ると、くるりと俺に振り向いた。
「大和、今日はありがとう。みんなでもっと話せなくて残念だったけど、また集まろっ!」
俺の元から一刻も早く立ち去りたい、そんな雰囲気だった。
「待てよ、美姫……」
美姫の手首をギュッと握り、引き止めた。俺を見つめる美姫の瞳に怯えた色が浮かんだ。
俺は......このままお前を、帰すわけにはいかねぇんだ。
「話があるから、もう一軒付き合って……」
重い沈黙の後、美姫の囁くほどの小さい声が落ちた。
「うん、分かった……」
カラオケBOXの狭い空間に重苦しい空気が立ち込めていた。隣から聞こえる大音量の歌声やタンバリンの音がやけに耳について、それが俺を更に苛つかせていた。
隣のやつらはあんな楽しそうにしてんのに、俺と美姫はなんでこんなとこで顔を突き合わせて深刻な話しなきゃいけねぇんだ......
「何か、飲むか?」
この重苦しい空気をなんとかしたくて口にしてみたが、美姫は青ざめた顔で小さく首を振るだけだった。
「ううん、いい……」
そんなビクつくぐらいなら、なんであいつと付き合ってんだよ。誰にも知られちゃいけねぇ後ろ暗いことしてるって意識、あんだろ。
なんで、あいつなんだよ......
先程の美姫と来栖秀一のキスしてる光景が脳裏に浮かんで、膝の上で組んでた手に力を込めた。
俺は...お前の口から、ちゃんと聞きたいんだ。
「美姫……あの人と付き合ってるのか?」
「え…あの人、って……?」
なに今更、シラ切ろうとしてんだよ......
あくまで知らないフリをしようとする美姫に、苛ついた声を上げた。
「……言わせんなよ。来栖、秀一……だろ」
美姫は、明らかに動揺していた。目線は落ち着きなく、震えた声はいつもより早口になっていた。
「な、何言ってるの?そ、んな訳...ないでしょ。しゅ、いちさんは、私の叔父だって、大和だって知ってるじゃない。ほ、ほら、秀一さん、私のこと娘みたいに思ってるから、きっとそれで...」
「っざけんなよ!普通の叔父と姪が車の中でキスするわけねーだろっ!!!」
感情が昂ぶって、やつとキスしてたことをぶちまけちまった。
もう、後には戻れねぇ......
「あ、あれ、は......た、だのあいさ、つで......」
「分かんだよっ!!!」
それでも言い繕おうとする美姫に感情が制御できず、思わず怒鳴っちまった。美姫は躰をビクリと震わせ、口を閉ざして黙って俯いた。
「遠くからでも、すぐ分かった......お前があいつを見るときの目......あいつの美姫への態度......
あれは、恋人同士のやり取りだった」
そう言いながらも、まだ俺はそれを認めたくない気持ちが心の中で鬩ぎ合っていた。
「......」
もう言い逃れ出来ないと思ったのか、美姫はギュッと瞳を閉じ、拳を固く握った。俺は深く息を吐き、心を落ち着かせようとした。
俺は、お前を怒りたいわけじゃねぇ。話が、したいんだ......
「...お前が来栖秀一を好きなのは、ずっと知ってた......俺と付き合い始めたのも、一線を越えたのも......あいつへの当てつけだって...分かってた」
「っ!!!」
それまで俯いていた顔を上げ、瞳孔を見開き、美姫が俺を見つめる。その顔は真っ青だった。
美姫は、想像もしなかったんだろうな。俺が、来栖秀一を好きなお前をずっと見ていたなんて。
それを知りながらも、お前への恋心を抑えきれなかった、なんて。
「大和、今日はありがとう。みんなでもっと話せなくて残念だったけど、また集まろっ!」
俺の元から一刻も早く立ち去りたい、そんな雰囲気だった。
「待てよ、美姫……」
美姫の手首をギュッと握り、引き止めた。俺を見つめる美姫の瞳に怯えた色が浮かんだ。
俺は......このままお前を、帰すわけにはいかねぇんだ。
「話があるから、もう一軒付き合って……」
重い沈黙の後、美姫の囁くほどの小さい声が落ちた。
「うん、分かった……」
カラオケBOXの狭い空間に重苦しい空気が立ち込めていた。隣から聞こえる大音量の歌声やタンバリンの音がやけに耳について、それが俺を更に苛つかせていた。
隣のやつらはあんな楽しそうにしてんのに、俺と美姫はなんでこんなとこで顔を突き合わせて深刻な話しなきゃいけねぇんだ......
「何か、飲むか?」
この重苦しい空気をなんとかしたくて口にしてみたが、美姫は青ざめた顔で小さく首を振るだけだった。
「ううん、いい……」
そんなビクつくぐらいなら、なんであいつと付き合ってんだよ。誰にも知られちゃいけねぇ後ろ暗いことしてるって意識、あんだろ。
なんで、あいつなんだよ......
先程の美姫と来栖秀一のキスしてる光景が脳裏に浮かんで、膝の上で組んでた手に力を込めた。
俺は...お前の口から、ちゃんと聞きたいんだ。
「美姫……あの人と付き合ってるのか?」
「え…あの人、って……?」
なに今更、シラ切ろうとしてんだよ......
あくまで知らないフリをしようとする美姫に、苛ついた声を上げた。
「……言わせんなよ。来栖、秀一……だろ」
美姫は、明らかに動揺していた。目線は落ち着きなく、震えた声はいつもより早口になっていた。
「な、何言ってるの?そ、んな訳...ないでしょ。しゅ、いちさんは、私の叔父だって、大和だって知ってるじゃない。ほ、ほら、秀一さん、私のこと娘みたいに思ってるから、きっとそれで...」
「っざけんなよ!普通の叔父と姪が車の中でキスするわけねーだろっ!!!」
感情が昂ぶって、やつとキスしてたことをぶちまけちまった。
もう、後には戻れねぇ......
「あ、あれ、は......た、だのあいさ、つで......」
「分かんだよっ!!!」
それでも言い繕おうとする美姫に感情が制御できず、思わず怒鳴っちまった。美姫は躰をビクリと震わせ、口を閉ざして黙って俯いた。
「遠くからでも、すぐ分かった......お前があいつを見るときの目......あいつの美姫への態度......
あれは、恋人同士のやり取りだった」
そう言いながらも、まだ俺はそれを認めたくない気持ちが心の中で鬩ぎ合っていた。
「......」
もう言い逃れ出来ないと思ったのか、美姫はギュッと瞳を閉じ、拳を固く握った。俺は深く息を吐き、心を落ち着かせようとした。
俺は、お前を怒りたいわけじゃねぇ。話が、したいんだ......
「...お前が来栖秀一を好きなのは、ずっと知ってた......俺と付き合い始めたのも、一線を越えたのも......あいつへの当てつけだって...分かってた」
「っ!!!」
それまで俯いていた顔を上げ、瞳孔を見開き、美姫が俺を見つめる。その顔は真っ青だった。
美姫は、想像もしなかったんだろうな。俺が、来栖秀一を好きなお前をずっと見ていたなんて。
それを知りながらも、お前への恋心を抑えきれなかった、なんて。
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